おおさかナウ

2022年01月22日

気候危機打開へ政治を変える
「共産党2030戦略」を学ぶ
大阪革新懇が新春学習会開く

 進歩と革新をめざす大阪の会(大阪革新懇)が15日、新春オンライン学習会「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」を開き、同党の原発・気候変動・エネルギー問題対策委員会責任者の笠井亮衆院議員が講演しました。

日本共産党 笠井亮衆院議員が講演
国政の大課題として取り組む

 「気候危機と呼ぶべき非常事態。思い切った緊急行動を」と日本共産党は昨年9月、「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略(戦略)」を発表。10月の総選挙で自公政治を転換する「4つのチェンジ」の一つに掲げました。笠井氏は「訴えが届いたところでは、『未来に希望が灯り、心が熱くなった』などの大きな共感が寄せられた」と報告。とし、今後も国政の大課題として取り組むと述べました。

講演する笠井衆院議員=15日、大阪市北区内

改定綱領での課題を具体化

 「戦略」は第28回党大会(20年1月)で決定した改定綱領で明記した課題を具体化したものだと指摘しました。地球温暖化問題で日本共産党は、08年に笠井氏を団長とする調査団を欧州に派遣し、独・英・EU(欧州連合)の先進的取り組みを踏まえて政策を発表。国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)に出席するなど、環境団体や専門家と思いを一つに取り組んできたと語りました。

危機に向き合って緊急行動を

 笠井氏は、「戦略」は気候危機問題での世界の最新の到達点や日本の各界の提言や取り組みを聞き、半年間かけて練り上げたとし、3つの要点を紹介。第1は、科学的知見に正面から向き合い、CO2(二酸化炭素)削減の思い切った緊急行動が求められていることです。

日本共産党の「2030戦略」のパンフレット

低目標で世界に逆行の自公

 第2は、科学を無視し、低すぎる目標で世界に逆行する自公政権を批判し、2030年までに50~60%削減(10年比)という野心的目標に取り組むこと。第3は、目標実現へ、雇用と暮らしを良くする持続的成長の道を開くこと。その上で笠井氏は、「戦略」の各章に沿って詳しく報告しました。
 笠井氏は、岸田自公政権の2030年度のCO2削減目標は13年度比46%(10年度比42%)にとどまるなど、「口先だけだ」と強調。「岸田政権は『気候危機』と言わず、『クリーン戦略』の名で石炭火力の温存・輸出、原発優先。この日本の政治を転換する時だ」と述べました。

脱炭素がなく再稼働の維新

 日本維新の会は、政策提言「2021維新八策」(別項1)で「脱石炭」を明記せず、原発の再稼働は国の責任を明確化するよう求めて推進する立場だと指摘し、「CO2削減目標も自公と全く同じだ。どこが『改革の党』か」と批判しました。

思想・信条の違いを乗り超え

住民と共に計画策定し実践

 笠井氏は、脱炭素、省エネ・再エネを進めるために必要な、社会の各分野での大改革について詳述。中でも日本のCO2の排出量の6割以上を占める発電所(39%)、産業(25%)の脱炭素化が決定的に重要だと強調しました。
 また、「2050年にCO2排出実質ゼロ」を宣言した大阪の自治体は、環境省の調査(昨年12月28日時点)で1府14市3町(別項2)になっていると指摘。「すべての地方自治体が、宣言するだけではなく、50年にゼロ、30年までにどこまでやるのか、野心的目標を立て、住民と共に計画をつくり、実践する取り組みが大事だ」と述べました。
 最後に笠井氏は「一人一人が気候危機打開の主人公。同時に、個人や家庭の努力だけでは脱炭素は実現できない。石炭火力や原発にしがみつく今の政治を変えるために、思想・信条の違いを超えて力を合わせよう」と呼び掛けました。

革新懇として具体的な運動を

2030戦略は「世界標準」

大阪革新懇が開いたオンライン学習会「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」=15日、大阪市北区内

 学習会は大阪市北区内の会場に26人が参加し、オンラインは46カ所で60人が視聴しました。
 開会あいさつした藤永のぶよ代表世話人は、各地の学習会で「2030戦略は世界標準だ」として政策の内容を語り広げていることを紹介し、「気候危機打開へ、今の政治を変えるために力を合わせよう」と力を込めました。
 また、元代表世話人で関西大学名誉教授の鰺坂真氏が6日死去したことに言及。5日に鰺坂氏と電話し、「藤永さん、元気でやりや」と声を掛けられたことが忘れられないとし、「鰺坂先生の思いをこれからも伝えていきたい」と語りました。
 長谷川道弘常任代表世話人は閉会あいさつで、気候危機の打開へ「何ができるのか、何をしなければいけないのか、私たちは踏み出していかなければならない」と述べ、大阪革新懇としても具体的な運動を進めていこうと呼び掛けました。

(別項1)日本維新の会の政策提言「2021維新八策」から

〇東京電力福島第一原発事故の教訓を踏まえ、原発の再稼働に係る国の責任を明確化するとともに、高レベル放射性廃棄物の最終処分等に係る必要な手続きを明確化するため、①原発の稼働に当たっての政治主導の明確化、② 避難計画への規制委関与の法定、③原子力損害に係る国負担の明確化、④最終処分施設等の確実な整備のための手続き法制の整備を柱とする「原発改革推進法案」の制定を行います。

〇廃炉技術の伝承と使用済み核燃料の有毒性低減のため、小型高速炉など次世代原子炉の研究を強化・継続します。

〇2050年カーボンニュートラル、2030年温室効果ガス46%削減目標に向けては、過度な負担が産業流出を招かないよう十分に配慮しつつ、新たな投資を呼び込み、目標達成に不可欠な技術革新と雇用創出を実現します。

(別項2)「2050年にCO2排出実質ゼロ」を宣言した府内の市町村

大阪市、吹田市、豊中市、枚方市、東大阪市、八尾市、河内長野市、堺市、高石市、和泉市、泉大津市、岸和田市、泉佐野市、阪南市、能勢町、太子町、熊取町。大阪府も宣言している。

(大阪民主新報、2022年1月23日号より)

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