人間らしく住み続けられる街へ
知恵を出し、住民・行政と力合わせ
日本共産党河内長野市議団 丹羽実団長に聞く
河内長野市では1960年代から山間部での大規模な住宅開発が進められました。最後の開発からでも約30年が経過し、高齢化や人口減少に伴う課題への対応が求められています。日本共産党河内長野市議団(5人)は、住み続けられる河内長野を目指し、「知恵を出して、住民・行政が力を合わせて」と政策提案を進めています。その取り組みを丹羽実団長に聞きました。
高齢世帯への対応や支援を
――大規模な住宅開発が行われた地域で生まれている課題は。
丹羽 高齢化や人口減少に伴う問題は全市域共通ですが、入居当時に団塊の世代だった住民が後期高齢期に入るなど、高齢世帯化が急速に進んでいます。
わが党議員団は、入居開始当時から子育て・教育施策の改善、環境を守る活動などに取り組んできました。近年は住民の高齢化に伴う街づくりの課題が増えています。急坂が多いことから、わが党は4年前の市議選での公約に「お出かけ支援チケット」を掲げ、実現しました。75歳以上を対象にバス・タクシーを年1千円分利用できる券です。
高齢者の免許返納が奨励されていますが、返納後の買い物、通院など生活の維持が大切です。河内長野市で注目されているのが、大規模開発住宅の一つ南花台で2019年から実施された「南花台モビリティ・クルクル」です。
ゴルフカートを改造した定員7人の電動カートで最高時速は19㌔。スマホアプリや電話で予約し、街の中心部のスーパーを拠点に、南花台地域を行き来できるオンデマンドタクシーです。
運営体制を自治協議会などが担い、地域住民の皆さんも奮闘。利用者からは好評で、他の一地域でことしからテスト運行が始まり、全国からの視察も相次いでいます。
――「空き家対策課」の設置を要望されています。
丹羽 放置空き家は近隣だけでなく、広く周辺一帯の住環境に関わる問題です。対策には全国に点在する所有者の特定や連絡、合意の取り付けも必要。空き家の樹木が道路をふさぐ場合などは、担当課が複数にまたがります。わが党の提案で、受け止め総合的な対応を行うために、市は「都市づくり部」に「係」を設置。さらに機能強化を求めています。
予算要望でも人口減対策を
――予算要望ではコロナ、公衆衛生対策と共に「人口減対策」を重点項目とし、交通対策の改善・充実、雇用対策を盛り込んでいます。
丹羽 人口は2000年をピークに減り続けています。住み慣れた、いい環境で豊かに人生を送れるようにするには、地域が元気になることが不可欠。国の東京一極集中是正策や地方創生もうまくいっていません。国に政策転換を求めるのは当然ですが、市としても可能な努力をする必要があり、私たちは「知恵と力を出し合おう」との立場で臨んでいます。
大阪への人口流出が進む岡山県や和歌山県に学び、「産・官・学・金(金融機関)」の連携を強め、▽地域雇用、地域消費、地域循環型経済で地元企業と共存共栄の街づくり▽市内学生への市内企業情報の提供▽地元で就職する若者への奨学金返済制度や家賃補助▽保育士・学童指導員・介護士などの賃上げや正規雇用化などを提案。市の工場立地計画構想にも、地元雇用や再生エネルギー活用を進める事業者に奨励金を出すことも求めています。
水道広域化の見送りを表明
――政府は地方に事業の民営化、広域化、効率化などの課題や困難を押しつけています。
丹羽 河内長野の水道は、滝畑ダムなどの自己水が4分の3を占めます。大阪府水道企業団に参加する広域化の動きに対し、貴重な自己水の保全や水道工事の地元発注などを求めてきました。12月議会でのわが党の質問に、市は広域化の見送りを表明しました。
地方都市の河内長野で水道や消防の広域化、窓口の民間委託など目先のコストを追いかければ、地域経済は疲弊します。人口減少期だからこそ、この街で正社員として働き、子どもを産み育て、住み続けられ、経済が循環する街づくりが必要です。
市政を前へと進める立場で
――日本共産党が自主支援する島田市政が5年目に入りました。評価と今後の対応は。
丹羽 島田智明市長には是々非々の立場で臨んできました。島田市長は、どの党でも意見を聞き、自分がいいと思うものは取り入れるという姿勢です。議員団として、チェックだけでなく提案することが非常に大事です。
コロナ対策は15回申し入れ、ほとんどが実施されました。学校普通教室へのエアコン設置、国民健康保険料の抑制、就職氷河期の世代を対象にした市職員の採用も提案し、実現。お互い知恵を出し合い、市政を前に進める立場で頑張ります。
河内長野市では、1996年に山手の住宅地に隣接する日野谷の埋め立てを巡り、9万人余の反対署名が集まる大運動があり、条例を制定して埋め立てをストップさせました。12月議会でわが党は、「熱海市で大惨事を生んだ土砂災害に照らして、日野谷埋め立て反対運動をどう評価するか」と、行政のあるべき姿を問いました。
市は「市民、議会、行政が一体になった結果、しっかりとした条例ができた」と答弁。この立場を貫くよう市政に求めながら、市議会(定数18)で5議席を持つ日本共産党議員団と市民との共同の力で、街づくりを進める決意です。
(大阪民主新報、2022年2月6日号より)