カジノ議決 反対が過半数
カジノ誘致の「区域整備計画」
府民合意得られていない
カジノに反対する大阪連絡会が21日、大阪市北区内で記者会見し、大阪府の吉村洋文知事(大阪維新の会代表)と大阪市の松井一郎市長(日本維新の会代表)が進めるカジノを核とする統合型リゾート(IR)の誘致について、府民1千人を対象にインターネットで実施したアンケートの調査結果を発表しました。それによるとIR予定地への790億円の公金投入に納得が得られていないことが浮き彫りに。吉村知事と松井市長は、誘致のための「区域整備計画」への同意を府市両議会で議決し、国に申請しようと急いでいますが、「府民に知らせないまま、議決すべきではない」との声が過半数になっています。
カジノに反対する大阪連絡会
1千人ネット調査結果を発表
調査は2月12に実施。カジノ誘致については賛成28・9%に対し、反対が32・2%と3・3ポイント上回っています。男性は賛成が36・3%で、反対を6・2ポイント上回っていますが、女性は反対が35・3%と賛成を17・5ポイント上回っています。年代別では20代で賛成はわずか3・1%で、反対は46・9%と多数です。
賛成の理由は「大阪経済が活性化するから」(88・2%)、「税収が増えるから」(58・8%)、「新たな雇用が増えるから」(56・4%)など。反対の理由は「治安が悪化するから」(67・4%)、「ギャンブル依存症の人が増えるから」(65・2%)、「大阪経済が活性化するとは言い切れないから」(46・6%)などとなっています。
IR用地の土壌汚染対策などに大阪市が新たに公金790億円を投入する問題を巡り、松井市長が「IR(そのもの)に対して市が負担するわけではない」と説明していることについて、「納得できない」(44・2%)が「納得できる」(22・1%)の2倍。府・大阪市の計画でIRの経済波及効果を「年1兆4千億円」と試算していることについて、「信用できない」(48・6%)が、「信用できる」(13・4%)をはるかに上回っています。
「区域整備計画」を府市両議会で議決することについて、「府民にきちんと知らせないまま、議決するべきではない」(56・2%)が過半数で、「問題ない」(20・3%)を大きく上回っています。カジノ誘致に賛成と回答した人の中でも「議決すべきではない」が31・1%となっています。
府民の声 議会に反映を
記者会見には連絡会の有田洋明事務局長、中山直和事務局次長、大阪労連の嘉満智子事務局長、大商連事務局の福井朗氏が出席しました。調査結果を報告した有田氏は、カジノ誘致賛成は3割に満たず、圧倒的多数の府民の納得・合意は得られていないと強調。「このネット調査の結果も民意として(府市両議会の議論に)反映してほしい」と述べました。
中山氏は、大阪市議会開会日(10日)にカジノ誘致計画の中止・撤回とコロナ対策と防災・減災対策の強化を吉村知事と松井市長に求める要請署名7万1028筆を提出したと報告。昨年末に呼び掛け、実質1カ月余りで集まったもので、「市民、府民の怒りがここに凝縮している」とし、さらに署名運動を強めたいと語りました。
「区域整備計画」の内容、住民説明会や公聴会の開催について府政だよりや市政だよりで一切伝えられず、コロナの感染急拡大で住民説明会は4回分が中止になるなど、「まったく説明責任が果たされていない。このまま議決を強行することは許されない」と批判しました。
大阪市に負担が強いられる恐れ
中山氏は、府と大阪市が米カジノ企業のMGMリゾーツとオリックスなどで構成する「大阪IR株式会社」が16日に締結した「基本協定書(概要)」にも言及しました。
会社側は夢洲への地下鉄延伸費用(202億5千万円)は負担するが、土地の引き渡し時に支払うのは10%で、残りはIR開業(29~32年)後1年以内に支払うことになっており、開業までに会社が事業から撤退すれば支払わなくて済むことになると指摘。「(土壌汚染対策などでの公金投入)790億円だけでなく、どんどん大阪市が負担を強いられる問題が明らかになっている」と述べました。
(大阪民主新報、2022年2月27日号より)