カジノをストップさせ
命と暮らし守る市政を
日本共産党大阪市議団 予算議会懇談会
山中智子団長の報告(大要)
日本共産党大阪市議団が1日、予算議会に向けた懇談会を開き、山中智子団長が市政の現状や課題、2022年度予算案の問題点などについて報告しました。大要を紹介します。
コロナの犠牲は大阪が全国最悪
大阪のコロナの犠牲は全国最悪で、第6波でお亡くなりになった方は、人口比で東京都の3倍です。
なぜこんなことになっているのか。
松井市政の問題でいえば、この2年間、現場の声を聞かず、思い付きとパフォーマンスに終始していることに原因があります。「市政改革」の名で、住吉市民病院の廃止など施策や施設をカットしてきたことが、大きな打撃になっています。職員数は市長部局だけみても2005年から昨年4月までに1万人以上減らされています。さらにことし4月からは「市政改革プラン3・1」で、ごみの収集や道路補修などを担う技能労務職員は半分に減らすとしています。
コロナ禍の中、一昨年に住民投票を強行したことに見られるように、制度いじりも続けようとしています。松井市長や吉村知事の政治姿勢や、「命よりも経済」「命よりもにぎわい」と言わんばかりの施策やメッセージが、これだけの感染を大阪で広げてきたと思います。このあり方を根本から変えなければ、市民の命と暮らしは守れないと痛感しています。
財政調整基金は2118億円に
2022年度の予算案の基本方針では「豊かな大阪を目指した政策推進」「市民の暮らしの満足度向上を目指した市政改革」「新たな自治の仕組みの構築」の3本柱を掲げていますが、これほど市民の感情とかけ離れたものはありません。
今回の予算案が「収支均衡」になったことで、松井市長は「二重行政を解消して財源を生みだした」などと胸を張りますが、とんでもありません。
「収支均衡」になった原因は、この間の「市政改革」による廃止・削減の影響と共に、市税収入の増加があります。
特に、法人市民税は前年度比39・4%の大幅増。借金にあたる市債残高も18年連続で減少しています。財政調整基金残高はコロナ禍の中でも積み増し、22年度末で2118億円を見込んでいます。
市民にではなく大型開発に注ぐ
こうした市財政の力を、コロナ対策など市民のために使うのかというと、違います。いよいよ本格化する万博やカジノのための大型開発につぎ込もうとしているのが、予算案の最大の問題点です。
内容は夢洲の土地造成・基盤整備(272億2500万円)、万博推進(53億9500万円)、カジノ誘致に向けた国への申請(7400万円)、なにわ筋線(4億8700万円)、淀川左岸線2期事業(336億8700万円)などです。府立大と市立大を統合して4月に開学する大阪公立大学の森之宮新キャンパス整備に67億8800万円を計上していますが、総事業費は1千億円ともいわれ、まさに大型開発というべきものです。
コロナ対策の強化が見られない
一方で予算案には、大阪経済の主役である中小・零細企業には特筆すべき支援策はありません。いま市民にとって最も必要な保健・医療体制の抜本的拡充や、現在のコロナ対策の強化も、どこにもありません。第6波では保健所がひっ迫して発生届が処理できないなど、機能の「目詰まり」が大問題になっています。
ところが松井市政は昨年の戦略会議で、今後の保健所体制について、現在の「1保健所・24保健福祉センター」を維持すると早々と意思決定しています。戦略会議での議論はコスト論に貫かれており、保健所を増やせば「平時に無駄になる」という不見識なものです。
「1保健所」は、ホテル「ヴィアーレ大阪」(中央区)を改修して設置。予算案ではその実施設計に3900万円を計上し、24年に運用を開始するとしています。同時に区役所の保健師を1~2名増やしますが、それは保健所と兼務で、とてもではないが足りないと言うのが現場の声。まったく不足している陽性者への配食サービスの予算は微増で、PCR検査の抜本拡大の計画もありません。高齢者施設などでの感染防止の抜本策もありません。
国民健康保険料は、今年度はコロナ禍の中で値上げを抑えましたが、来年度は4%もの値上げです。基金や財政調整基金を使って値上げを抑えるべきだし、国民健康保険料や介護保険料を引き下げることが必要です。後期高齢者医療保険料も0・08%の値上げです。
競争教育推進と学校統廃合強行
子どもと教育を巡って評価できるのは、小中学校の給食費の無償化の継続(66億6600万円)、こども食堂などの開設を支援する事業(4カ所、計100万円)、ヤングケアラーの相談支援事業(1500万円)、全保育所への看護師配置(3カ年計画)などです。
しかし、コロナ禍の中で、子どもと教育を巡って木川南小学校長が出した切実で鋭い提言はまったく無視し、競争と選別の教育を進めようとしています。「テスト漬け」は変わらず、少人数学級を求める声を無視し、小中学校の統廃合を条例に基づいて強行。市立高校は府に無償譲渡し、4月からすべて府立高校になってしまいます。
「不登校特例校」の設置に合わせて夜間中学を2校廃止しようとしているのも大問題です。
公立保育所は03年に135カ所ありましたが、昨年4月に57カ所になるまで、民営化を強行してきました。公立保育所を26年度までに36カ所にする目標でしたが、なかなか進まないので、30年度までに35カ所にすると後ろ倒しして民営化するとしています。
事業者言いなりで負担は青天井
今回の議会では、カジノ誘致をストップさせるかどうかが、大きな山場です。事業者にMGMリゾーツとオリックスの共同事業体1者しか応募せず、競争性がなくなった中で、松井市政は事業者の言いなりになっています。IR用地の土壌汚染対策などに790億円の公金投入はじめ市の負担は青天井です。
誘致のための「区域整備計画」は当初の基本構想に比べて、来場者数やカジノの収益などがすごく増えています。コロナ禍を経ているにもかかわらずです。IR推進局などは「カジノ事業者が出してきたもの」と答えるだけで、何も責任を持とうとしておらず、こんなとんでもないものを許すわけにはいきません。
問題点が明らかになる中で、IR推進の立場の自民党が、住民投票条例案を提出するなど議会の議論にも変化が生まれています。「区域整備計画」の同意に反対するたたかいを大きく広げるとともに、仮に「区域整備計画」の認定を国に申請しても撤回を求め、「認定するな」と求める運動を広げるため、皆さんと心一つ頑張ります。
カジノではなく、市民の命と暮らしを守り、コロナ対策に力を尽くす大阪市につくり変えましょう。
(大阪民主新報、2022年3月13日号より)