時代をつないで 大阪の日本共産党物語

第88話 自公大敗、民主党政権へ

「自公政権ノー」の風

 2009年8月30日投票の総選挙。「自公政権ノー」の大きな風が吹き、自民党は119議席。公示前の勢力を3分の1に激減させる歴史的大敗を喫します。民主党政権が誕生。情勢の前向きな激動が起こりました。
 大阪では、比例代表選挙で民主党が193万票(41・7%)を獲得。小選挙区は19選挙区のうち、17選挙区で民主党候補が勝利しました。自民党は99万4千票。得票率21・4%は47都道府県のうち、沖縄に次ぐワースト2位でした。大阪府仏教会の会長は「55年の長きにわたる自民党中心の政権が、かくももろく音高く崩れ落ちていく現実は正に無常であります」と語りました。公明党は70万4千票で4小選挙区すべてで議席を失います。「常勝関西」を豪語してきた創価学会で、30年以上君臨してきた関西長が退任しました。
 日本共産党は46万8144票(10・1%)。全国的に比例現有9議席を確保し、得票を前進させました。

「2つの異常」  

 自公政権大敗の背景にあったのは、沖縄・普天間基地問題や憲法違反の自衛隊海外派兵をはじめとした「異常な対米従属」、ILO条約やEUの到達点と比べて、「ルールなき資本主義」といわれる「大企業・財界の横暴な支配」――日本政治に長く続く「2つの異常」でした。
 加えて小泉・安倍政権による靖国神社参拝や過去の侵略戦争を正当化する異常さも加わりました。「慰安婦を強制動員した証拠はない」などの妄言に対し、07年には米国下院で「日本政府に公式の謝罪を求める」決議が採択されました。
 しかし、民主党政権から、これら「2つの異常」を抜け出す立場や政策は示されませんでした。関西経済連合会は民主党新政権に、すぐさま「労働者派遣法をさらに緩和せよ」「法人税は引き下げを」「消費税は大増税しろ」と「提言」しました(9月2日「新政権の政策に望む」)。

「建設的野党」として

真に実効ある派遣法抜本改正を求めて開かれた緊急集会。連合大阪法曹団、民主法律協会、大阪労働者弁護団など大阪の11の法律家団体が共同で開きました=2010年1月29日、大阪市北区内

 日本共産党は8月7日、梅田阪神前で志位和夫委員長が、総選挙で民主党中心の政権が生まれる可能性が高い中、「建設的野党」として奮闘すると訴え、新たな期待と共同の輪を広げました。
 10年1月29日、連合大阪法曹団、民主法律協会、大阪労働者弁護団など11の法律家団体が立場を越えて、労働者派遣法の抜本改正を求める緊急大集会を共同開催しました。民主党政権の「労働者派遣問題に対する基本的な観点は以前と変わっていない」「基本的には経営者側の視点から問題を捉えており、派遣労働者の権利擁護という観点が未だ不十分である」などとする「労働者派遣法の抜本改正意見――派遣労働者の権利擁護を求めて」がだされ、日本共産党大阪府委員会にも要請書として届けられました。
 阿倍野区の亭島増彦区医師会長は、総選挙では医師政治連盟の一部が自民党を離れたと語り、「必要な政党。理想を語り、世界ではこれが常識なんだと語る政党がないと困ると考える人は多い」と共産党にエールをおくりました(「大阪民主新報」10年2月7日号)。
 「党員拡大を根幹」にすえた努力で、大阪の党員数は09年6月に再び4万人をこえました。翌年2月の府党会議では、第25回党大会決定にもとづく新たな「成長・発展目標」として、国政選挙での「得票率25%」をかかげます。(次回は「『維新の会』の出現」です)

(大阪民主新報、2022年4月17日号より)

 

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