「カジノ誘致計画」
訪日観光客の大幅減 需要予測根拠示せず
これでも申請・認定するのか
大阪連絡会が緊急学習会 大門みきし参院議員が講演
カジノは、ギャンブル依存症患者を生み出し、人の不幸の上に成り立つ賭博そのものです。そのカジノを核とする統合型リゾート(IR)を大阪湾の埋め立て地・夢洲(ゆめしま)に誘致する計画が3月の府議会・大阪市議会で、維新や公明党などの賛成多数で強行可決されました。国への誘致計画の申請期限は4月28日。大阪府が申請すれば、国が認定するかどうかの審査を始めるという新たな局面に入ろうとしている中、カジノに反対する大阪連絡会が16日、大阪市中央区内で緊急学習会を開き、日本共産党の大門みきし参院議員(参院比例候補)が講演しました。
参院選の大争点 「ノー」の審判を
実施法強行時の大前提は崩れた
大門氏は、2018年7月の国会で自民・公明・維新がカジノ実施法を強行可決した当時、今後ますますインバウンド(訪日外国人観光客)が増えることが大前提だったと強調。さらに日本ではカジノ・賭博に国民の大きな反発がある中、「IRはカジノだけではない」として国際会議場などの施設を造り、さまざまなイベントを行うとしていたと述べました。
ところが新型コロナの世界的な大流行で、かつてのようなインバウンドの増加は起きず、カジノ自体もハコモノに人を詰め込んで賭博をさせるのではなく、オンラインカジノなどへ形が変わってきていると指摘。「ロシアのウクライナ侵略で世界経済の形も変わる。2018年当時の前提は崩れ、誘致計画の認定審査基準も過去の基準だ」と断じました。
3万人規模催しを2日に1度?
大阪の誘致計画は、IR全体の来訪者数を年間2千万人としています。大門氏は、IR推進局の担当者に聞き取りをしたが「事業者が委託して出した数字なので、根拠は分からない」と答えたことを紹介。国は有識者会議を開いて誘致計画を審査するが、国の担当者は「根拠は示してもらう」と説明していることを示しました。
また夢洲で年間600万人を集めるためには、警備を含めて3万人規模のG20世界首脳会議を2日1回開く計算になるなど、「荒唐無稽な計画だ」と力説。和歌山県の誘致計画ではIR全体の来訪者数は年間650万人だが、大阪と和歌山で需要予測が重なるという矛盾があるなど、「このまま認定するなど、あり得ない話だ」と語りました。
事業者が嫌がるのは住民の運動
大門氏は、大阪進出を狙うIR事業者のMGMリゾーツが債務超過に陥って経営が大変になっていることや、カジノ事業者が嫌がるのは住民の反対運動だと指摘。「誘致計画を国に提出させない、提出すれば国に認可させないというたたかいを。私も国会論戦で頑張りたい」と述べました。
認可を巡る国の決定が秋ごろになるとの見通しも示し、「誘致問題を参院選の大きな争点とし、推進勢力に審判を。大阪選挙区での、たつみコータローさんの勝利も含め、『カジノはノー』の声をきっぱり突き付けよう」と語りました。
たくさんの不幸生み出すカジノ
学習会では、カジノ問題を考える大阪ネットワークの桜田照雄代表(阪南大学教授)と、日本共産党大阪市議団の山中智子団長も参加し、発言しました。
桜田氏は、松井一郎大阪市長が夢洲の土壌対策に790億円の公金投入を決めて以来、全国紙や週刊誌の取材が相次ぐなど「潮目が変わっている」と指摘。同時に、MGMがスポーツ賭博(バスケットボール)の権利を持っていることや、デジタル技術などの発展を土台に、ゲームに親しんでいる世代が新たな賭博に巻き込まれる恐れがあると警告しました。
山中氏は、市議会の参考人質疑でMGMの代表取締役が2%のギャンブル依存症が発生すると認めたことに触れ、「府立高校生に『ギャンブルは娯楽だ』とするリーフレットを配った大阪で、まともな依存症対策はとられない。市民負担が青天井に増えることや、たくさんの不幸を生み出す問題をどんどん知らせ、カジノをストップさせよう」と語りました。
(大阪民主新報、2022年4月24日号より)