時代をつないで 大阪の日本共産党物語

第91話 知事・大阪市長ダブル選挙

〝独裁3点セット〟 

 2011年10月、橋下徹が大阪府知事を辞職して大阪市長選挙出馬を表明。11月27日に知事・大阪市長ダブル選挙がたたかわれます。橋下と「維新の会」は、〝独裁三点セット〟ともいうべき「政略」をかかげ、大阪府民・市民に襲いかかります。
 ――大阪市を廃止し、大阪府・市を「一人の指揮官」にしてやりたい放題の体制をつくろうという「大阪都構想」
 ――府や市の公務員を「住民福祉のために働く全体の奉仕者」ではなく、首長の顔色をうかがい、「維新の奉仕者」にしたて、従わない者をクビにする「職員基本条例案」
 ――教育に政治が土足で介入し、子どもたちには過度な「競争主義」をもちこみ、教職員には「絶対服従」を強いる「教育基本条例案」
 橋下らは、「この選挙は権力闘争」だと叫びたてました。

「渡司出馬中止」の衝撃        

 「ダブル選挙」へ、「明るい民主大阪府政をつくる会」は弁護士の梅田章二、「大阪市をよくする会」は元市議の渡司考一を擁し、10月4日にはなんば府立体育会館で両会共催の「いのち・くらし第一 大阪から政治変えよう 大阪府民大集合」を開催しました。
 そのなかで大阪市長・平松邦夫は『文藝春秋』11月号に「大阪は独裁・橋下知事に屈しない」と手記を発表。10月29日、日本共産党大阪府委員会は「橋下・『維新の会』によるファッショ的な独裁政治『ノー』の審判を下すため、府民の広大な共同を」の声明をだしました。

記者会見で「平松自主支援」を表明する渡司氏(中央)、山口府委員長(その左)、大阪市をよくする会の福井朗事務局長=2011年11月5日、大阪市中央区内

 11月5日、渡司考一が記者会見し、「大阪市長選挙への出馬中止」と事実上の「平松自主支援」を表明します。「大阪からファシズムの台頭を許してはならないという大阪市民のみならず全国の声を活かすにはこれしかない」「この決断が独裁政治を阻止し、要求実現への道をきりひらいていくための現時点で最善の判断だと確信する」。
 党府委員会には電話・メールが相次ぎます。「共産党は本気や!」「今回の英断は素晴らしい。大阪市を、地域を守っていくために、どうかみなで協力して下さい」「よく判断して下さいました。これは苦渋の撤退ではなく、断固たる闘いになる」。
 共同が急速に広がり、「教育基本条例案」反対アピールは、女優の竹下景子、東京大学教授の小森陽一らがよびかけ人になり、映画監督の山田洋次ら約70人の著名人が名を連ねました。11月16日には大阪労連など労働7団体が連名でアピールを発表。連合大阪事務局長が「私たちも反独裁、反維新の会の立場で行動しています」とコメントを寄せます。

「庶民の大阪、独裁はNO」      

 大激戦となったダブル選挙で、橋下・維新陣営は、大阪市を8~9の「特別区」に分割するのが「都構想」なのに、法定ビラで、「騙されないで下さい。維新は大阪市をバラバラにしません」などと宣伝します。
 選挙結果は松井一郎200万6195票、橋下徹75万813票。維新が知事・市長の座を占めます。しかし、「庶民の大阪、独裁はNO」の一点で、短期間に垣根を超え、府民、市民の共同が大きく広がったことは貴重な成果でした。
 維新は「府市統合本部」を「咲洲庁舎」(旧WTCビル)におき、ここを「司令塔」にした暴走を加速させます。これにたいして開票日翌日の「読売」社説は「相手候補が『独裁的』と攻撃したのは、もっともな面もある。橋下氏は批判票を謙虚に受け止めるべきだ」と指摘しました。(次回は「大阪市職員『思想調査』、『2条例』とのたたかい」です)

(大阪民主新報、2022年5月15日号より)

 

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