感染拡大 過去最大に
新型コロナ「第7波」
医療逼迫 検査も受けられず
新型コロナウイルス「第7波」が過去最大の感染の広がりを見せています。大阪では、1日当たりの感染者数の発表が7月26日には過去最多の約2万5762人に。死者数は7月だけで138人に上り、累計が5348人と全国最悪です。そんな中、発熱外来の体制が追いつかず、高熱などを発症しても検査を受けられない人が相次いでいます。
家族が次々発症して
大阪市西淀川区Aさん
「区内の発熱外来に電話しても、話し中か『大変混みあっています』のアナウンス。やっとつながったと思ったら、明日もすでに予約でいっぱいだと言われました」
1日午後、Aさん(71)=大阪市西淀川区在住=はこう言いました。
糖尿病の夫(72)が2日前の7月30日朝、発熱。インターネットで調べて区内の発熱外来に電話をかけましたが、予約でいっぱいか、「かかりつけの患者優先」と言われるなどして断られました。
「急変したら救急車を呼ぶしかない」と思いながら、家にある解熱剤を飲んでしのぎ、月曜朝から夫婦それぞれがスマートフォンと自宅の電話でかけ続けましたが、どこも話し中。やっとかかったクリニックも翌日含め予約でいっぱいで、対応した職員は「テレビで言われているように、医療難民が生まれています」と話しました。
同区内に住むAさんの娘夫婦は7月21、22日、相次いで発熱。先に発症した娘の夫はクリニックで検査して、陰性でした。翌22日夜に発熱した娘は23日、区内の発熱外来がどこもいっぱいで諦めました。
23日夜に2歳の孫が発熱し、24日にAさんが休日診療所に連れて行きました。診療所では、「月曜(25)日に最寄りの病院で診てもらって下さい」と言われ、薬を処方されて帰りました。孫は発症から2日たった25日、近くの診療所でようやく検査でき、陽性が判明しました。
その夜、Aさんも発熱。翌26日、区内の発熱外来は満杯で診てもらえませんした。自宅から離れたクリニックが、一般診療終了後なら検査をすると言ってくれたので、高熱を押して自転車で行きました。検査の結果は陽性でした。その後、今度は夫が発熱。検査を受けられのは3日後で、結果は陽性でした。
「幸い私たちは重症化していないけれど、熱が出ても検査さえ受けられない状態はおかしい。病院も開業医も、コロナ以外の患者にとっても必要なところ。医療関係者の負担はかなりのものだと思う。大阪市も大阪府も感染症治療の体制をつぶしてきたから、本気で再建してもらわないと困ります」とAさんは言います。
対応に追われる医療従事者
内科二次救急の役割を担っている西淀病院(大阪市西淀川区)では、先月中旬から発熱外来がパンク状態で、職員が受診の電話対応に追われているといいます。
「救急搬送依頼も、通常の診療圏を超えた大阪市南部や北摂地域からも受け入れるようになっていて、普段のように『断らない』病院の姿勢を保つのに、かなりのストレスがかかり、心理的にハードルが上がってしまう」と大島民旗副院長は言います。
大島さんは、大阪府が府内の医療機関に対し、自院で入院中に発生したコロナ患者は、自院の届け出コロナ病床を使用せず、他病床で診るように求めていることも問題視します。「これは『病床使用率』を上げないための政策。入院翌日にコロナと判明する事例が頻発し、届け出病床数以上のコロナ患者を診なければならない」と訴えます。
府は7月15日、感染拡大期は65歳以上でも軽症者は原則入院させない方針に変えるとともに、中等症Ⅰでも肥満や基礎疾患がなければ入院させず、ホテルや自宅療養を検討すると入院基準を厳しくしました。また、同27日には「医療非常事態宣言」を出し、高齢者への外出自粛要請などを打ち出しましたが、市民からも専門家からも実効性に疑問の声が上がっています。
「第7波」から府民の命守れ
共産党府議団が知事に緊急要請
日本共産党の石川たえ、うち海公仁府議は3日、吉村洋文知事に対し、「第7波」から命を守るための緊急要請を行いました。
要請では、高熱でも検査も診察も受けられない、陽性と判明しても入院も宿泊施設入所も断れられた、保健所に電話がつながらない、などの事例が頻発していると指摘。
その上で、①検査キットの大量確保と府民への配布、無料検査場を全中学校区に設置、高齢者施設検査の受検率引き上げ、②65歳以上の感染者は原則入院対象にする、病床削減・転換は中止、介護付き臨時医療施設を2次医療圏ごとに設ける、宿泊療養施設を緊急に増やす、③保健師増員など保健所体制強化、④ワクチンの迅速な接種、⑤新型コロナに対応する診療報酬の減額・廃止をやめ、引き上げ・存続することなどを求めています。
(大阪民主新報、2022年8月7日・14日合併号より)