統一協会問題
苦しむ家族なくして
長男を脱会させた母親 被害体験を証言
「多くの人の協力を得て、大切な家族を取り戻すことができました」。家族の絆と協力者の尽力で、息子を統一協会からの脱会させた府内の女性(70代)が17日、体験を証言しました。大学生をターゲットにしたマインドコントロールや関連企業による行商ビジネスの実態とともに、説得と脱会に至った経緯を語りました。日本共産党の宮本岳志衆院議員と辰巳孝太郎元参院議員が聞き取りをしました。
宮本衆院議員・辰巳元参院議 員が聞き取り
「あなたの名前は、世界の不幸な出来事を解決できる素晴らしい名前です」。女性の長男が他県の大学に在籍していた1995年頃のこと。下宿を訪ねてきた信者が「姓名判断」を行ったのをきっかけに、長男は統一協会と関わりを持つようになりました。
案内されたビデオセンターでは、教祖・文鮮明夫妻を賛美するビデオ映像を繰り返し視聴。決してこのことを周りの人に話すなと念を押され、担当上司だけに「ほう・れん・そう=報告・連絡・相談」を行うルールが言い付けられました。
ある日、長男は家系図が必要だと言い始め、統一協会の関連企業で魚介類の行商にも従事。家族に知らせず下宿先を引き払って、統一協会のホーム(宿泊施設)に移っていました。
長男のことで頭を悩ませていた家族の支えになったのは、統一協会信者の脱会・救出活動に奔走するキリスト教会・牧師らの支援でした。
家族は毎週教会に通って、脱会した元信者・家族の体験談を繰り返し聞きました。長男への感情をレポートにまとめるなど、脱会させることへの気持を家族みんなで確認。そんな準備期間で数カ月経ちました。
救出行動への牧師の許可が出て、両親が職場を休職。統一協会の妨害を避けるため、自宅とは違う場所のマンションで、長男と一緒に統一協会の『原理講論』と『聖書』の教えの違いを学ぶ生活がスタートしました。
「なんでこんなことをするのか」と長男が激高する中でも、家族は毎日学習を継続。2日おきに訪れる牧師の献身的な支援もあって、しばらくすると長男は「他の本も読みたい」と話すようになり、3カ月経ったころ、「もう統一協会に未練はない。脱会届けを書く」と言いました。
長男の脱会から27年。現在も統一協会による被害が続く現状に、女性は「統一協会は正体を隠し、相手を褒めることから勧誘を初めて、マインドコントロールします。〝息子の脱会は無理なのか〟と思う時もあり、家族みんなが苦しみました。私たちと同じような家族がなくなるよう、統一協会の実態を知ってほしい」と語りました。
(大阪民主新報、2022年10月23日号より)