大阪市議会決算特別委
カジノ誘致計画は取り下げを
日本共産党・山中智子団長が質問
2021年度の大阪市一般会計決算を審議する市議会決算特別委員会が10日開かれ、日本共産党の山中智子団長は、大阪湾の埋立地、夢洲(ゆめしま)へのカジノを核とする統合型リゾート(IR)の誘致計画や、IR用地の不動産鑑定評価を巡る疑惑を追及しました。
山中氏は、「世界中から新たに人・モノ・投資を呼び込む」としてIR誘致を進めてきたが、核となるカジノはいまや斜陽産業だと指摘。コロナ禍の収束が見通せない中、中国をはじめ海外からの観光客がコロナ前の水準に回復することもないとし、「IR実現の課題について見通しが立たない以上、(誘致は)断念するほかない」と述べました。
山中氏は、IR用地(49万平方㍍)の年間賃料25億円の元になった更地価格の不動産鑑定評価額は1平方㍍当たり12万円だが、専門家から「低すぎる」との意見が出ており、類似の物流用地の売却価格よりも非常に安値だと指摘しました。
さらにIR用地は、やがてできる地下鉄駅前の一等地で、IRにはホテルもできるのに、市が鑑定評価に際して鑑定士にIRを「考慮外」とするよう指示した理由をただしました。
IR推進局は、これまで国内でIRの実績もなく、鑑定業者から評価の前提にするのは適切でないとの意見があったとし、「市の判断で考慮外とした」と答弁。「IR用地の一部をホテル用地とするなどの具体的な土地利用は、IR事業者が計画して決まるもの」などと強弁しました。
山中氏は、不動産価値が最大限に引き出される使用方法である「最有効使用」を、ショッピングモールなどの「大規模商業施設」とすることで、低い価格に誘導したとしか思えないと指摘。「ホテルのないIRなどあり得ない。大阪市の財産が安い値段でずっと貸し続けられることに、市民は納得しない」と述べました。
山中氏は、市が2021年に鑑定評価を依頼した3者のうち、2者が1平方㍍当たり12万円で一致したことに、不動産鑑定評価審議会の委員からも疑問が出るなど、「年間賃料25億円、1平方㍍12万円ありきで官製談合だと言われても仕方がない」と批判。「夢洲IRはもはや存在意義もなければ、市民や経済、市財政の面でもデメリットしかない。(国に申請した誘致計画は)今からでも取り下げるべき」と求めました。
(大阪民主新報、2022年11月20日号より)