コロナ禍・物価高から家計・商売守れ
うち海府議が緊急策提案
吉村知事の無策を厳しく批判
府議会本会議
日本共産党のうち海公仁府議は12日の府議会本会議で一般質問に立ち、コロナ禍と物価高騰から府民の暮らしや大阪経済を守る施策の実行を吉村洋文知事に迫りました。うち海氏のさまざまな提案に、吉村洋文知事は「国の動向を見る」「市町村がやるべき」などと、独自の施策を拒み続けました。
府民の暮らしは厳しい
うち海氏は10月、東大阪市を中心に、暮らしと政治に関する府民へのアンケートを行いました。「(物価高騰とコロナ禍で)生活が苦しくなった」という回答は8割を超えています(グラフ1)。「子ども2人に色々なものを食べさせたいが、できない。野菜が高くなり、食費は1~2割増えた」など、約1400通の声が寄せられました。
うち海氏は「大阪は成長していないことは明らか」として、府民の実態をパネルで示しました。大阪では過去14年間で約45万円も実質賃金が下がっています。全国の減少額約37万円に比べ、さらに約8万円も落ち込んでいます。(グラフ2)
また年収300万円未満の世帯の割合は、2014~19年の5年間に、関西は14・4%から15・3%へと、全国平均(ほぼ横ばい)を超えて増えています。(グラフ3より)
「府民の実態と切実な声に、政治が応えなければならない。ところが政府の補正予算は限定的で不十分だ」とうち海氏は指摘し、府の対策を求めました。
賃金の底上げこそ必須
うち海氏は「賃金の底上げはどうしても必要」だとし、非正規労働者の賃上げ支援として社会保険料などの中小企業負担の一部補助を提案しました。
吉村知事は「被保険者と事業主が負担すると規定されている。府として事業主の負担を補助する考えはない」と拒否しました。
うち海氏は「知事に法律の説明を聞いたわけではない。賃上げが困難な中小企業に、できる支援をすべきだ」と求めました。
うち海氏は、生計の中心が非正規労働者である世帯への「暮らし支援緊急給付金」を求め、「長く働いても賃金も上がらず、将来の展望もなく、不安定雇用で苦しんでいる。支援が必要だ」と述べました。
しかし吉村知事は、「生活福祉資金の貸付をしている」と拒否。うち海氏は「これまで非正規労働者への支援を求めるたびに、知事は『貸付金の活用」と繰り返してきた。返すめどもない人に、あまりに冷たい態度だ」と批判しました。
時代遅れの子育て支援
うち海氏は、子育て支援策を2つ提案しました。
学校給食費について「1人に月約5千円、3人きょうだいで1万5千円もの負担になる。国の交付金を活用して時限的に無償化した自治体も多いが、これを恒常的な施策にすべきだ」と述べ、そうした市町村への支援と、府立学校での給食費を来年度以降も全額免除することを求めました。
吉村知事は市町村への無償化支援について「市町村が努力し実施すべき。財政措置は考えていない」、府立学校について「国のコロナ対応臨時交付金を活用し、今年度に限り無償とした。国に交付金の延長など要望している」と述べました。
うち海氏は「千葉県は1月から小学校給食費の一部無償化を始める。沖縄県も全ての市町村で無償化の制度設計に取り組む。知事の答弁はあまりに他人事だ」と厳しく批判しました。
うち海氏は、子どもの医療費について、府として18歳まで無償化するよう提案しました。子どもの窓口負担は診察1回500円(月2500円まで)。「いつも月末のピンチのときに子どもが熱を出す。下の子が熱を出したら、上の子も続いて下痢や発熱し、1週間に何度も受診する」と、切実な声が上がっています。
府内の市町村の多くが18歳まで補助していますが、府が財政措置しているのは就学前まで。府が年齢を引き上げることで、負担の減る市町村が子育て支援を充実させることができます。
吉村知事は、府の役割は果たしているとの認識を示し、窓口負担の無償化は「制度の持続可能性の確保や、受益と負担の適正化の観点から困難」と従来の答弁を繰り返しました。
うち海氏は「就学前までの窓口負担無償化に必要な費用は約11億円。少子化などで、2015年から医療費助成の府の支出は約9億円も減っている」と指摘。「『益を受けているから負担は当然』とする発想では、大阪の子育て支援は時代遅れになる」と批判しました。
国保料均等割の軽減を
うち海氏は、生活保護を利用する世帯に、緊急に1万円の給付を提案。「食料品や電気、ガス代などの値上がりは命に直結する。1つの弁当を2回に分けて食べ、電気を消してこたつだけで生活している高齢者もいる」と述べました。
吉村知事は「府民の生活が厳しくなっていることは認識している。国の責任で実施すべき」と応じました。
うち海氏は国民健康保険(国保)料について、家族が増えるごとに保険料が増す「均等割」を、府独自に18歳まで軽減する制度を提案。「人生で一番の感動と喜びを感じる子どもの誕生の日から、数万円の負担が生じる。他の健康保険にはない負担で、世界的にも批判が強い『人頭税』に類するものだ」と指摘しました。
吉村知事はまたも「国の責任。府として措置を講じることは考えていない」と述べました。
国保料と減免措置の府内統一についてうち海氏は、市町村が独自に減免措置を講じた場合、府にそれを停止させる権限がないことの確認を求めました。
18年3月の府議会で、共産党の宮原威府議の追及に、当時の松井一郎知事が「そういう権限は大阪府にない」と認めています。
吉村知事は「一般会計からの繰入は適切でない」などと回答を避けましたが、うち海氏の再質問に「市町村の権限で決定するもの」と認めました。
中業企業支援手厚く
日本共産党のうち海公仁府議は12日の府議会本会議で、中小企業の資金繰りや固定費への支援・補助を提案。「電気・ガス代が1・5倍に。収支の見通しが立たない」と小規模事業者の声を紹介し、吉村知事に判断を迫りました。
また、若者が安心して働くことができる環境をつくるために、企業が取り組む奨学金返済支援について、府が一部を補助することを求めました。
吉村知事はこれらの提案にも、「国の制度ができれば調整する」などと答弁しました。
うち海氏は、「物価高騰から府民と中小企業を守る緊急対策を求めたが、知事の答弁は極めて冷たいものだ。府民の日常生活と実体経済から目を逸らし、万博とカジノ誘致、国際金融都市などに熱中、ごく少数者の利益だけを拡大するものだ」と厳しく批判しました。
統廃合は地元協議を
うち海氏は、府立高校の再編整備(廃校)にあたっては、学校関係者や関係する自治体、議会と協議する仕組みをつくるよう求めました。
府は10年間で17校もの廃校を強行しようとしています(図)。今年度は8月末の教育委員会議で対象校3校を発表し、わずか2カ月後の同会議で決定しました。
府立高校は毎年、約2千人の定員割れを出していますが、その一方で約6千人もの不合格者がおり、中学校を卒業した子どもたちの進路が妨げられています。うち海氏は「学区撤廃と過度な競争で、中学生を不安に陥れている」と指摘します。
「廃校になる高校の生徒から、『この学校が大好き』と熱い思いが寄せられている。学校近くの事業者の社長は『私たちは学校と共存共栄だ。なくなったら困る』と語っている」と紹介し、学校関係者や地域住民、同窓会などの意見を聞く公聴会などを実施すべきだと迫りました。
吉村洋文知事は「議会で議決いただいた」などとし、3年連続「定員割れ」校を再編整備の対象にするとした条例について「改正の考えはない」と述べました。
(大阪民主新報、2022年12月18日号より)