おおさかナウ

2023年01月21日

どうする?ごみの最終処分
大阪市自前の処分場・夢洲
容量の89%を埋め立て

 大阪湾の埋め立て地、夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)は2025年の大阪・関西万博の会場予定地で、維新の大阪府・大阪市政がカジノを核とする統合型リゾート(IR)を誘致しようとしている場所です。吉村洋文知事らは、夢洲を「負の遺産」と決め付け、カジノ誘致を「成長の起爆剤」にするなどと叫んできましたが、大切なことについて何も語りません。夢洲は、大阪市から出るごみ(一般廃棄物)の最終処分場であり、市民の貴重な財産ですが、廃棄物の受け入れには限りがあるということです。

大阪府咲州庁舎(旧WTCビル)の展望台から見た夢洲(右)と、フェニックスの大阪沖埋め立て処分場(左奥)

2カ所の処分地

 大阪市は、一般廃棄物は焼却・破砕などの中間処理を行った上で、その焼却灰を夢洲の西側区画の「夢洲1区(北港処分地)」と、その沖合にある「フェニックス(大阪湾広域処分場)」の2カ所で最終処分しています。
 夢洲は、大阪市内で発生する一般・産業廃棄物や建設残土、大阪湾の機能を強化するために必要な、しゅんせつ土砂の処分場として整備され、1977年から護岸工事に着手し、埋め立てられてきました。
 夢洲1区は大阪市の自前の最終処分場で、埋め立て容量は1169万立方㍍。85年から焼却灰を受け入れ、埋め立て率は約89%(2022年11月現在)。受け入れの終了予定は25年11月で、市は必要に応じて延長するとしています。

処分費が必要に

 もう一つのフェニックスは、大阪湾広域臨海環境整備センターが整備。現在は2期計画として整備された大阪沖と神戸沖で、近畿圏の受け入れ区域から廃棄物を受け入れ中(進捗率63%=2021年度末現在)です。受け入れの終了予定は32年度末で、延長の予定です。
 夢洲1区と異なり、フェニックスに処分する場合は処分費が必要です。一般廃棄物1㌧当たりの処分費は、09年4月に4830円から5250円となって以降値上げが相次ぎ、現在は1万1110円です。

カジノより処分場延命を
大阪市議会環境委員会 長岡ゆりこ議員が質問

大事な都市機能

 2022年12月23日の大阪市議会環境対策特別委員会で、日本共産党の長岡ゆりこ議員は、一般廃棄物の最終処分場について質問。「大事な都市機能である最終処分場について、10年、15年、20年後どうなるかが明らかでない現状は大変な問題だ」と述べました。
 フェニックスの処分費は今後も値上げされる可能性があり、市民の負担がどんどん大きくなると指摘。「自前の夢洲の最終処分場はできるだけ延命化して、大事に使わなければならない」と強調しました。
 市環境局は答弁で、今後独自に新たな処分場を建設することはできず、夢洲1区でも、現在の護岸では埋め立て容量を増やすことは難しいと説明しました。

やれることある

質問する長岡ゆりこ議員=2022年12月23日、大阪市議会環境対策特別委員会

 長岡氏は、焼却灰の体積を小さくするなどの技術の活用や、護岸強化など「やれることがある」と提案。「(夢洲で)カジノ建設を強引に進め、土壌対策に788億円もの公金をつぎ込むのではなく、市民生活に絶対必要な最終処分場の延命化にこそ、そのお金を使うべきだ」と主張しました。
 さらに現在、夢洲1区(64万1千平方㍍)内にある万博の駐車場予定地(7万2千平方㍍)に、ポリ塩化ビフェニール(PCB)など有害物質が検出された、しゅんせつ土砂を1・5㍍の高さまで積んでいると指摘。駐車場予定地以外でも、一般廃棄物を1・5㍍積めば、埋め立て実績に照らして9年分以上も容量が増えることも示し、「本気の延命化を真剣に、優先的に進めるべき」と求めました。

(大阪民主新報、2023年1月22日号より)

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