おおさかナウ

2023年02月11日

際限ない軍拡の悪循環を断つ
共同と連帯の力で平和構築を
大阪革新懇 「安保3文書」で学習討論会
最前線で戦争反対訴えよう

安保3文書の問題点について多角的に報告・討論した大阪革新懇の集会=5日、大阪市北区内

 進歩と革新をめざす大阪の会(大阪革新懇)は5日、大阪市北区内で、学習討論会「対話かミサイルか―安保3文書を斬る」を開き、約50人が参加しました。30カ所以上でオンライン視聴されました。

 開会あいさつで大阪革新懇代表世話人の藤永延代氏は、日本が敗戦した5歳当時の記憶に触れ、「戦争の危険があるときに黙っていることはできない。『政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意』し制定された日本国憲法を守る責任を果たさせるため、最前線に立って戦争反対を訴えていこう」と語りました。

変質した自衛権の発動要件

 大阪女学院大学の奥本京子教授、大阪大学大学院の木戸衛一教授、弁護士で元内閣法制局長官の阪田雅裕氏がゲストスピーカーとして発言しました。大阪革新懇代表世話人の冨田宏治・関西学院大学教授がコーディネーターを務めました。
 阪田氏は、戦後の歴代政権の「専守防衛」政策に関し、「攻撃的脅威を与える兵器保有は憲法の趣旨ではない」(1959年3月19日、衆院内閣委)などの大臣答弁を紹介し、集団的自衛権行使を容認した閣議決定と安保法制成立で、自衛権発動3要件(①急迫不正の侵害②他の適当な手段がない③必要最小限の実力行使)が変質したと指摘。「自衛隊が基地攻撃能力を持てば、軍隊と何が違うのか」と問い掛け、防衛予算GNP2%化など軍拡路線を問題視しました。

外交努力を果たさない政府

 木戸氏は、世界の軍事費が2021年に2兆㌦を超えるなど7年連続で増え、第2次安倍政権下、「秘密保護法」「武器輸出原則解禁」「安保法制」「日本学術会議会員任命拒否」「経済安保法」など日本の軍事化が急加速したと指摘。平和外交の努力を果たそうとしない政府の責任にも触れ、「幅広い市民の共同と国境を越えた連帯の力で平和構築を」と語りました。

市民の交流・対話が希望に

 奥本氏は、「平和学」の立場から平和・暴力の概念を説明し、再現のない軍事増強の悪循環を断つ必要性を強調。「コンフリクト(紛争・葛藤などの意味)」の解決を平和と暴力のどちらに求めるかが大切だとし、東アジアで広がるNGOや市民レベルの交流・対話が希望だと語りました。
 冨田氏は、敵基地攻撃能力保有と大軍拡に方針転換する「安保3文書」について「対処力」などのごまかしは許されないと批判。「核抑止力」論を否定した核兵器禁止条約の実現過程に触れながら、外交努力の重要性と可能性を強調し、憲法前文の精神や生存権(25条)、幸福追求権(13条)など日本国憲法の価値を語り、大軍拡を止めるため共同を広げようと呼び掛けました。

(大阪民主新報、2023年2月12日号より)

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