枚方市役所移転・再開発NO!
否決されても推進の伏見維新市政
主権者の声反映した街づくりを
京阪枚方市駅周辺の再開発を巡り、同市の伏見隆市長(大阪維新の会)が市議会に提案した市役所移転条例案が否決されたのは、昨年9月のことでした。ところが維新市政は依然として、「移転ありき」の姿勢を変えていません。4月の同市議選でも再開発と市役所移転が大きな争点となる中、市民団体が新たな運動を始めています。
市民が新たな運動へ 市民に説明なく
枚方市は「枚方市駅周辺再整備基本計画(基本計画)」(別項)に基づいて、市役所庁舎の移転を打ち出し、昨年9月市議会に突然、移転条例案を提案しました。市民への説明会などは一切行われていませんでした。
市役所の移転は、出席議員の3分の2以上の賛成が必要な「特別多数議決」となっています。記名投票の結果、木村亮太議長を含む30人の議員のうち、維新と公明など18人が賛成しましたが、日本共産党(4人)や自民系会派の議員など12人が反対し、条例案は否決。枚方市議会で市長提案が否決されたのは、1972年以来50年ぶりのことです。
その後、昨年12月市議会で市当局は、市民への説明不足は認めながら、あくまで基本計画に基づいて手続きを進めていく考えを示しています。
市議選の争点に
「市役所移転と周辺のまちづくりを考える学習会」が11日、枚方市内の会場参加とオンライン配信の併用で開かれました。呼び掛けたのは、移転問題で運動してきた、平和で豊かな枚方を市民みんなでつくる会(枚方市民の会)、市役所移転ノー・大型開発問題を考える会(考える会)、新婦人枚方支部の3団体。約150人が参加・視聴しました。
3団体からの報告で、枚方市民の会の駒木根淑子さんは、「2月8日に基本計画を中止し、市民参画で新たな計画案をつくることを求めて市長に要望書を提出。主権者である市民の声を反映したまちづくりを」と語りました。
考える会の野田隆治さんは「4月の市議選で移転反対の議員を12人以上当選させれば、止めることができる。大きな争点にしよう」と呼び掛け。新婦人枚方支部副支部長の清水杉子さんは、駅前大型開発の中止を求める署名を新婦人として1千筆以上集めたとし、「計画は止まったわけではない。改めて署名を集め、多くの市民に知らせたい」と語りました。
市民と力合わせ
日本共産党の野口光男枚方市議は、「移転ありき」事業を進める伏見市政を批判。「少人数学級や中学校給食、高齢者の外出支援など、市がやるべきことは山積。移転が前提の再開発をやめさせるため、市民の皆さんと力を合わせる」と述べました。
学習会には、新建築家技術者集団(新建)大阪支部が全面的に協力しました。新建は「住民派の街づくり、生活派の建築創造」を掲げて行動する建築・街づくりの専門家の団体です。F・P空間設計舎の一級建築士、大槻博司さんらが、駅周辺開発の経過や問題点を報告するとともに、市民の貴重な財産である駅前の市有地を生かした街づくりのための提案を示しました。
枚方市駅周辺の再開発計画
枚方市は2021年3月に「枚方市駅周辺再整備基本計画」をまとめ、同駅周辺での再開発を始めています。
19年の市長選に大阪維新の会公認で立候補し再選された伏見市長は、同年2月の市議会で「最重要課題の枚方市駅周辺再整備は何としてもやり遂げる決意」と表明しています。
先行して開発が進んでいるのは、京阪本線と交野線に囲まれた土地と駅の北側にまたがる区域。高層ビル群を建設し、ホテルや店舗、事務所、住宅などのほか、行政サービス機能を設けた複合施設を整備するというものです。
市は22年の6月市議会に、現在の北河内府民センターがある位置に市役所を移転し、新築する庁舎と合築で、5千人規模のアリーナ(建築費約90億円)を建てる案を提示しました。現在の市役所周辺の市有地は民間に売却し、旧市民会館は「民間活力エリア」として民間に開発を委ね、タワーマンションを建設する動きも取り沙汰されています。
(大阪民主新報、2023年2月19日号より)