大阪市議会開会
〝民意の切り捨てやめろ〟
維新が定数11削減案 市対連が集会・デモ
4月の統一地方選後初めての大阪市議会が18日、開会しました(6月9日閉会)。市議選で市議会単独過半数を占めた大阪維新の会は、議員定数を現行の81から一挙に70へと11削減する条例案を提案し、まともな議論もしないまま、今議会での強行を狙っています。
開会日の18日、大阪市対策連絡会議(市対連)は大阪市役所前で集会を開き、「安易な議員定数削減は民意の切り捨て」と各団体の代表がリレートークで批判。日本共産党の山中智子、井上浩両大阪市議も参加し、それぞれ訴えました。
井上氏は、カジノ中止や暮らし最優先の本来の地方自治体の姿を取り戻すために奮闘すると述べると共に、「定数削減は『身を切る改革』ではなく、多様な声を切り捨てる大改悪。絶対に許さない立場で奮闘する」と決意を語りました。
維新が狙う定数削減に対して、大阪市をよくする会は民主法律協会と共催で20日夜、定数削減に反対する緊急シンポジウムを開催。今議会での定数削減を行わず、市民の意見を聴取する場を行政区ごとに設けることを求める陳情書の提出などの取り組みを呼び掛けています。
議員定数削減は民意切り捨て
大阪市議会定数削減案 よくする会と民法協が緊急シンポ
問題浮き彫り 中止を
18日開会した大阪市議会で、大阪維新の会が議員定数の削減(別項)を強行しようとしていることに対し、大阪市をよくする会(よくする会)と民主法律協会が20日夜、緊急シンポジウムを開きました。大阪市北区内の会場に41人が参加し、ユーチューブの生配信は49接続。「多様な市民の民意を切り捨てる市会議員定数の削減中止を求める決議」を採択し、定数削減の問題点を多くの市民に知らせ、削減中止を求める陳情書を提出することなどを確認しました。
よくする会の福井朗事務局長の進行で、民主法律協会事務局長の西川大史弁護士、日本共産党の山中智子大阪市議団長、全大阪生活と健康を守る会連合会の大口耕吉郎会長、大阪経済大学の柏原誠准教授が、それぞれ報告しました。
チェックされる首長が削減主導
西川氏は、維新は定数削減を「身を切る改革」と言うが、多様な民意を切り捨て、首長に対するチェック機能を形骸化させる暴挙だと指摘。住民自治を政治に反映させることは人権保障と民主主義を貫くために重要で、憲法の要請だと力説しました。
横山英幸大阪市長(大阪維新の会幹事長)が定数削減を「できるだけ速やかに進めてもらいたい」と述べたことについて、「議会にチェックされる対象である首長自身が定数削減を主導することは許されない」と批判しました。
全く道理がなく恣意的な削減案
山中氏は、これまで市議会では人口の少ない区の方が議員定数が多い「逆転現象」などの解消に取り組み、先の市議選は20年の国勢調査結果から2減で実施されたと報告。維新の削減案は同じ国勢調査結果で4年後の定数を決めるなど、全く道理がないと批判しました。
維新案は行政区ごとの削減は恣意的で、1票の格差も逆に広がると指摘。「二元代表制や議会を否定し、維新の首長が決めたことだけが進めば、市民の声、とくに弱者の声が届かなくなる」と強調し、定数削減反対で市民と共に頑張ると述べました。
定数を削減してさらなる改悪が
大口氏は、もし大阪市議会の定数が大幅削減されれば、運動団体と大阪市の「協議マニュアル」が全廃されて市民要求が通らなくなる可能性や、生活保護の申請権の権利侵害はじめ制度の改悪が進む恐れがあると警告しました。
維新市政の下で、生活保護を敵視し、利用者を追い込む違法・異常な生活保護行政が進み、市営住宅が不足する一方、家賃減免件数も大幅に減少していると告発。カジノ誘致計画の撤回など、維新政治を転換するたたかいを広げることが重要だと述べました。
少数派の意見を切り捨てるのか
柏原氏は「そもそも政治は、生活が困っている人たちなど少数派のためにある。その少数派の意見を切り捨てていいのか」と問い掛け。今回の削減には明確な理由がなく、維新が「身を切る改革」を実現するスピード感を示すためだけのものだと述べました。
議会の役割は、首長に対して複数の議員が公開の場で自由に議論することにあると強調。「大阪維新の会の幹事長である横山市長を、市議会の過半数を占める維新がチェックできるのか。その上に定数を削減すれば二元代表制を根底から覆すことになる」と語りました。
維新の議員定数削減案
大阪維新の会は市議会各会派に、総定数を現行81から70へと11削減する案を示しています。削減が狙われている選挙区は次の通り。
〇定数6→5=平野区
〇定数5→4=住吉区、城東区、東淀川区
〇定数4→3=生野区、東住吉区、住之江区、北区
〇定数3→2=東成区、西淀川区、旭区
(大阪民主新報、2023年5月28日号より)