2023年06月03日
夢洲カジノ用地
格安の賃貸契約やめよ
差し止め訴訟で意見陳述
カジノを核とした統合型リゾート(IR)事業を行うためなのに、「IR事業を考慮外」として算定した格安の賃料で、大阪湾の埋め立て地、夢洲(ゆめしま)の市有地をカジノ事業者に賃貸するのは違法だとして、大阪市民10人が大阪市長などを相手取り、賃貸契約締結の差し止めを求めた住民訴訟の第1回口頭弁論が5月30日、大阪地裁(横田典子裁判長)でありました。
同訴訟は、大阪市民5人が賃貸契約の差し止めを求めて昨年7月に提訴した住民訴訟と合同で行われます。口頭弁論では10人の市民を代表して藤永延代氏(大阪市民ネットワーク代表)と、辰巳創史弁護士が意見陳述しました。
藤永氏は、夢洲は「負の遺産」ではなく、一般廃棄物・産業廃棄物の最終処分場で、埋め立てに多額の税金が投入されていると指摘。「仮に賃貸するとしても、原価にふさわしい対価が要求される。それが地方自治体の責任だ」と述べました。
ところが今回の賃貸契約は近隣のUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)の4分の1ほどの低価格であり、カジノ用地の不動産鑑定評価で鑑定業者4社のうち3社の鑑定結果が一致し、市が「IR事業を考慮外」という条件を付けたことなどは違法の疑いがあると訴えました。
藤永氏は「大阪市民の貴重な財産『夢洲』を、IR事業のために、違法な手段を使ってでも賃貸するという事実を、カジノに賛成・反対の意見を超え、決して許さないとの思いで提訴した」と強調。裁判所は調査と事実確認をし、真実の判断を下すよう訴えました。
(大阪民主新報、2023年6月4日号より)