「悪政4党連合」の政治を
許さず、希望ある日本に
21日会期末の第211回国会 宮本岳志衆院議員に聞く
第211回国会が21日に会期末を迎えるのを前に、日本共産党の宮本岳志衆院議員に、今国会の特徴と今後のたたかいについて聞きました。
――21日に国会が会期末を迎えます。今国会の特徴は。
宮本 日本の政治情勢が一層浮き彫りになりました。数々の重要法案が、わずかな審議で数の多数で押し切られて可決されるという、まさに「悪法製造マシン」ともいうべき状況です。
岸田政権は当初「新しい資本主義」などと言って、安倍さんや菅さんよりもましなイメージで出てきましたが、安倍・菅政治以上の強権性をあらわにしています。同時に、維新と国民が自公に合流して「悪政4党連合」がアクセルを踏む動きが、とりわけ最終盤になって鮮明になってきました。
原発依存に戻す原発推進5法案
原発推進等5法案(GX電源法案)が、自民・公明・維新・国民などの賛成で可決しました。福島第1原発の事故の教訓を投げ捨てて原発推進を国の責務と定め、日本を原発依存社会へと引き戻すもので、実施を許さないたたかいが求められています。
安心安全と無縁のマイナ保険証
健康保険証を廃止し、マイナンバーカードの取得を強要するマイナンバー法等改正案も自民・公明・維新・国民などの賛成多数で可決されました。
マイナンバーはトラブルが相次ぎ、保険証と紐付けられた人の情報に別人の保険証情報や医療情報などが入っていたなど、万一間違って処方されていたら、命に関わる事態が生まれています。
なりふり構わずマイナンバーを国民に広げようとする中で起きたもので、国は安心・安全、きちんとやりますと言っていましたが、「怖いから使うのは嫌だ」など国民の不安が広がっています。
保険証廃止を巡っても、医療現場から廃止は絶対にやめてくれという声が広がっています。
なぜここまでマイナンバーカードと保険証を一体化させるのかというと、医療情報カルテの情報などを一元的に国がつかむこと以外に、民間の保険会社が各人の健康状態に合わせた保険料額を設定し、全員保険に入らせることを狙っているのではないかと識者が警鐘を乱打しています。そんなことのためにポイントで国民にカード取得をあおり、制度を無理やり通すのは断じて許せません。
今からでもいったん中止させ、総点検を求めてたたかいます。
立法事実総崩れで入管法を改悪
改悪入管法も数の多数で採決が強行され、自民・公明・維新・国民などの賛成多数で可決されました。
3回以上の難民申請で認められなければ、母国への送還を可能にするなど、日本に住む難民や移民の命と人権を脅かす多くの問題をはらんでいます。
この問題では、わが党の仁比総平参院議員が、大阪入管の常勤医が酩酊状態で被収容者を診察したことを証明する内部文書を暴露しました。
難民審査参与員の「日本には難民はいない」発言、「しんぶん赤旗」がスクープにした送還忌避者削減ノルマ問題など、立法事実が総崩れする中で、悪法が成立したことは許されません。
共産党は立憲、社民、れいわなどと共に、国際水準に合わせた野党対案を出しました。法律を通したとしても廃止させるたたかいを広げましょう。
差別増進法と化したLGBT法
「LGBT理解増進法」は、維新・国民案をほぼ丸のみした修正案が突如出され、9日の衆院内閣委員会でわずか3時間足らずの審議で、自民、公明、維新、国民などの賛成多数で可決しました。
われわれ野党は差別解消、性的少数者の権利保護などを内容にした超党派議連案を出し、私も答弁者になりました。ところが委員会採決直前に与党案からも大きく後退した修正案を持ち出し、4党で通すというひどいやり方で強行されました。
修正案は取り組みの実施にあたって、「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう留意する」などという条文を追加することによって、まるでLGBTの方々が国民の安心を脅かしているかのように言い、もはや「理解増進法」ではなく「差別増進法」とでも呼ぶべきものにさせられました。当事者が裏切られたと怒るのは当然です。廃案に追い込むべきで絶対に成立させてはなりません。
敵基地攻撃能力の保有と大軍拡
軍拡財源法案は本当にひどいものです。
政府は異次元の少子化対策と言いながら財源も具体策も示していません。一方、軍拡財源は5年間で43兆円かけると決めました。復興財源や医療・介護のために積み立ててきたお金を回すなど、本当にひどいやり方で財源の裏付けをつくろうとしています。
岸田政権は「敵基地攻撃能力」保有で、アメリカと一緒に先制攻撃をするという、従来の政権ではありえなかったことをやろうとしています。危険な動きを許さないたたかいを広げていく必要があります。
矛盾だらけのカジノ計画の認定
――国会会期中に国は大阪府・市のカジノ計画を認定しました。
宮本 国が認定したのは、造ってもよいとしただけであり、しかも無条件に造っていいというのではなく、ギャンブル依存症対策や地盤問題、市民の合意などを巡って注文もつけています。
IR予定地の不当鑑定疑惑もあり、認定取り消しを求める住民代表訴訟も起きています。容易に進めることはできないはずです。
これまで国会で追及しても、大阪府や大阪市の問題だから国に責任はないと言ってきましたが、国自身が認定したことで国会での論戦の主要テーマになってきました。たたかいはこれからです。
自公をけしかけ支える維新国民
――「悪政4党連合」の姿が際立っています。
宮本 軍拡財源法案を巡って、維新・国民は衆院で最終的には反対しましたが、私たちが委員長解任決議や財務大臣不信任決議案を提出し、衆議院で通させないとたたかった時、維新は「昭和のやり方だ」だと鼻であざわらって反対しました。
これまでも、核兵器を持つことも検討すべきだと大変危険なことを言ってきたのが維新です。
維新・国民は「LGBT理解増進法」を「差別増進法」に変質させ、入管法の問題でも、支援者を非難した大阪選出の梅村みずほ参院議員の発言は、幹部がチェックしてのことだったことも明らかになっています。
どの点をとっても、維新、国民が悪い方から自公政権をけしかけ、支えている姿がはっきりとしました。
鋭い論戦をしてきた党の値打ち
――解散含みの情勢になってきました。
宮本 大軍拡・大増税、入管法、どれ一つとっても国会を解散し国民に信を問うべき悪法の目白押しです。
入管問題を巡る大阪入管の内部文書をわが党が入手したことも、権力との関係を一切持たず、弱い人の立場に立って追及し、鋭い論戦をしてきた日本共産党の値打ちを示しています。
「4党連合」による悪政でなく、平和で誰もが安心して暮らせる、希望ある日本をつくるために共に頑張りましょう。
(大阪民主新報、2023年6月18日号より)