おおさかナウ

2023年06月17日

大阪市議会議員定数
維新・公明・自民が共同で11減強行

あまりに拙速で乱暴
議会制民主主義の後退
日本共産党・山中議員が反対討論

 9月の大阪市議会に、大阪市議会議員定数を81から70へと一挙に11も削減(別項)する条例案を維新、公明、自民が共同提案し、委員会付託を省略して賛成多数で可決されました。日本共産党の山中智子市議団長は反対討論で「議会の議席は市民の代弁者としての役割であり、市民のもの。その市民にほとんど知らせることもなく、市民が声を上げる時間も期間もなく強行することに強く抗議する」と主張。本会議開会前の正午から、大阪市をよくする会と大阪市対策連絡会が大阪市役所前で議員定数削減に抗議する緊急集会を行いました。

反対討論に立つ山中議員=9日、大阪市議会本会議場

 山中氏は、議員定数の問題は地方政治における民主主義の基本問題であり、首長と議会の議員の双方を直接選挙で選ぶ二元代表制をとり、それぞれ独自の権限と役割をもっていると指摘。議会は住民の声を代弁し、住民の意思を市政に反映させるパイプ役の役割と同時に、行政の長をはじめ執行機関をチェックし、その独断と横暴を防ぐ重要な役割があると述べました。
 議員数を一定程度確保することは住民自治の発揮のために必要で、275万人もの多様な考えをもつ人々が生活し活動する大都市・大阪市で、市議会の果たす役割は今後ますます強くなるとし、「今回の『減らせばいい』と言わんばかりの定数削減は、議会制民主主義の重大な後退を招くとともに、市民と市政をつなぐパイプを細めるものに他ならない」と断じました。
 山中氏は、全国都道府県議長会の下につくられた都道府県議会制度研究会の報告が、議員定数について「議会は地域における政治の機関であり、行政体制の一部ではない」とし、「議員定数の問題は、単に行政の簡素合理化と同じ観点からのみ論ずる問題ではない」として、単純な定数の一律削減に警鐘を鳴らしていることを紹介しました。
 その上で「『身を切る』と称して、これほどの削減を強行しそれを誇ることは、突き詰めれば『議会は必要ない』と自らの存在を否定するとともに、『少数意見はいらない』と市民の声を切り捨てることにつながる」と批判。大阪市議会の議員数は、現状でも政令市の中で横浜、名古屋に次いで人口当たりの議員数が3番目に少ないなど、「多すぎると言える根拠はどこにもない」と述べました。
 これまでの議員定数の見直しは、会派間で一定の議論・調整が重ねられ、全面的な見直しでは非交渉会派も含めた会議体をつくり、報酬や議会改革などさまざまな角度から検討・議論して実施してきたと強調しました。
 ところが今回、定数の14%に当たる11人もの削減という、議会のあり方さえ変えかねない定数減について、非交渉会派はもちろん、主要会派間でも、ほとんど検討されていないように見受けられると述べました。
 削減案に驚いた市民が短期間に出した33件の陳情を審議する運営委員会では、真摯(しんし)な議論がないまま不採択されたと指摘。「まともな議論もなく、2025年には国勢調査が行われるにもかかわらず、極めて拙速、乱暴に定数を削減することは到底認められない」と主張しました。

多様な民意反映へ引き続き奮闘
よくする会・民法協が共同抗議声明

議員定数削減に抗議する緊急集会=9日、大阪市北区内

 大阪市をよくする会と民主法律協会は9日、大阪市議会の議員定数削減の強行に抗議する声明を共同で発表しました。
 声明は、議員定数削減は、多様な住民の意見を切り捨てるとともに、市長をはじめとする行政機関へのチェックなど市議会の役割を形骸化させ、住民自治を後退させると強調。削減された議員定数の回復と多様な住民の声が反映される大阪市政実現へ、引き続き奮闘する決意を表明しています。

 

 

定数削減される選挙区

平野 6→5
住吉 5→4
城東 5→4
東淀川 5→4
生野 4→3
東住吉 4→3
住之江 4→3
4→3
東成 3→2
西淀川 3→2
3→2

 2027年市議選から適用

 

(大阪民主新報、2023年6月18日号より)

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