おおさかナウ

2023年07月15日

富田林
市立幼稚園・保育園大幅削減案
市議会 全会一致で否決

 富田林市議会は定例会最終日の7日、本会議を開き、現在13ある市立幼稚園を4園に統廃合する条例改正案を全会一致で否決しました。常任委員会(先月27日)で可決された議案が本会議で否決されるのは異例のこと。1万7千人の署名を提出した保護者と市民の願いが市政を大きく動かす結果となりました。


廃園対象だった富田林幼稚園は1914年創立。長年、地域の人たちに見守られてきた市立園を統廃合する計画が否決されました=富田林市内

署名1.7万人 届いた市民の声

 「七夕の日。みんなの願いが届いたね!」「一緒に声を上げて本当に良かった!」。市議会閉会後、傍聴席から出てきた保護者や市民は涙をあふれさせて喜び合いました。
 市立青葉丘幼稚園に4歳の子を通わせる母親(34)は、出産を機に「生まれ育った地元で子育てしたい」と大阪市から富田林に引っ越したと話し、「こんなに素敵な幼稚園がなぜ廃止なのか? 強引に進めるやり方が納得できなかった」と振り返ります。自身も通園した園舎と園庭、樹木など当時の面影を残す幼稚園は「宝物」だと話し、1歳の第2子も同じ幼稚園に通わせたいと話しました。

あまりもに拙速な手法に批判が

 市は5月、少子化などを理由に市立幼稚園と保育園の〝統廃合〟方針を発表。「1クラス20人が適正」とする独自基準を設け、13ある市立幼稚園(3園は休園中)を2026年度に4園に減らすなどの計画で、パブリックコメントを締め切った翌日に、条例案を提出する強引なものでした。
 保護者たちは、方針発表とパブリックコメント手続き、条例提案に至る決定過程の強引さ、素案が「20人以上とする」根拠の不明確さなどを指摘。市民と集めた1万7千人の反対署名を提出し、再検討を訴えてきました。

いったい誰のための計画なのか

 本会議の採決に先立つ討論で、「パブリックコメントは形式的に行ったに過ぎない」「周知期間は不十分で強引すぎる」「市民の意見を軽視していると言わざるを得ない」「計画段階から時間をかけて、丁寧に説明すべきだった」など当局の進め方に批判が集中しました。
 「1クラス20人以上」の統廃合基準には、「市民の理解は得られていない」との意見や、統廃合による財政効果や跡地活用を巡る不透明さなども指摘されました。
 反対討論で日本共産党の寺尾千秋議員は、3歳保育や給食、預かり保育など市立幼稚園に魅力を感じて引っ越してきたとの保護者の声も示し、「子どもたちや保護者の気持ちを置き去りにした再配置計画は、一体誰のためなのか」と計画中止を求めました。

委員会で賛成した維新・公明も

保護者や市民が短期間で集めた署名。市政に声を届ける力になりました。

 委員会で賛成した議員たちも一転して反対の態度表明を行い、「無用な混乱を招く結果になったことを申し訳なく思う」などと釈明しつつ、「市民の意見を反映した計画を策定し理解を得るべきだった」(維新)などと発言。条例改正案は全会一致で否決されました。
 議会閉会に当たりあいさつした吉村善美市長は、「条例案が否決されて残念。改めて提案したい」などと述べました。

市民が声を上げれば行政動かす

 4人の子どもを育てる母親は条例改正案否決を受けて、「市民が声を上げれば、行政を動かすことができることが実感できた。誰もが安心して住み続けられる富田林になるよう、多くの市民と一緒に頑張りたい」と語りました。

議会の良識を示せた
日本共産党の寺尾千秋議員

寺尾千秋議員

 統廃合条例案を否決したのは、まぎれもなく〝幼稚園を守れ!〟と頑張った保護者と市民の声。住民の願いを行政に反映させるのが市議会の責務であり、最終日の採決で議会の良識を示すことができたのは画期的でした。
 立案からパブコメ制度、予算・議案の策定など政策決定のあらゆる場面で市民参加を進めることが必要。教育や子育て分野はもちろん、市政全般で市民の声が反映する行政となるよう、今後も力を尽くします。

(大阪民主新報、2023年7月16日号より)

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