堺市長選挙にあたって
住民福祉の増進と自治都市・堺を守り発展させるために
市民のみなさんの討論と共同を広くよびかけます
2013年3月3日
日本共産党堺地区委員会
2月22日、竹山修身堺市長が、今秋の市長選挙への再選出馬を表明しました。これに対して、橋下・「維新の会」は、「大阪都」づくりをかかげ、対立候補を立てる構えです。
いまの市政をどうみるか。橋下・「維新の会」による「堺市政つぶし」「堺市のっとり」を許さず、市民目線で動く市政の前進のために何が必要か。日本共産党としての見解を明らかにし、市民のみなさんの討論と共同をよびかけるものです。
1.竹山市政をどうみるかー市民目線での評価と課題
竹山市政は2009年10月に誕生しました。市長選で、竹山氏は橋下知事(当時)の全面支援を受けましたが、勝利の背景には、長年続いてきた大規模開発優先・福祉切り捨ての冷たい市政への大きな市民批判がありました。
この声を反映し、竹山市政は、LRT計画(425億円)、堺東再開発(350億円)など大規模公共事業を中止する一方、いち早く中学校卒業までの医療費助成を実現し、国保料の連続引き下げ(4年間で約8000円)、各種ワクチン接種への助成、「お出かけ応援バス」の充実などに取り組んできました。これらは前回市長選で「住みよい堺をつくる会」の候補がかかげた政策に一致し、長年、市民運動がすすめられ、日本共産党が求めてきたものでもあります。
また、竹山市長は、「市民の目線で市政をすすめる」をモットーに、庁議や予算編成過程を公開し、タウンミーティングの開催や各種地域の行事に参加し、市政の透明化を図り、市民の声に耳を傾ける努力をすすめてきました。とりわけ重要な変化は、竹山市長が橋下・「維新の会」による「大阪府・市統合本部」や「大阪都」構想にくみせず、市政運営でも彼らと一線を画す態度をとってきたことです。
これらは、堺市政の流れを市民本位に前へすすめるうえで、きわめて積極的なものです。
同時に、竹山市政について、堺市独自の一斉学力テストを実施していることや少人数学級、中学校給食の実施に消極的で、障害者・児関係者が切実に求めるショートステイやグループホーム・ケアホームの整備などでは遅れた取り組みとなっているなど、厳しい指摘があります。 市職員の大幅な人員削減と給与カットで、「住民の奉仕者として頑張っているが現状のままでは限界がある」との声も寄せられています。
いま安倍・自公政権による消費税増税、原発再稼働、TPP問題など、いのちとくらしにかかわる大問題が押し寄せています。堺市政が、こうした悪政からの防波堤の役割を果たすことが強く求められます。「住民目線」にたち、住民福祉の向上を図るには、国による「自立・自助」や「適正化」の名による社会保障切り捨て攻撃に抗して、市民の暮らしを守る確固とした姿勢が問われます。
竹山市長がこれにどう対応をするか。市民の熱い目が注がれています。
2.橋下・維新による「堺のっとり・堺つぶし」は許せません
市長選を前に、橋下大阪市長は、「堺市にも(大阪都に)入ってもらわないとダメだ」「同じような考えた方の市長が誕生しなければ『大阪都』構想はすすまない」(1月大阪市会で)とのべ、「堺市のっとり・堺市つぶし」へ、むきだしの構えを見せています。
「大阪都」構想とは、大阪市や堺市をつぶし、その権限・財源を「大阪都」の「一人の指揮官」にゆだね、リニア・カジノなどの「成長戦略」に注ごうと橋下・維新が描く戦略です。
橋下氏は、前回市長選挙で、府庁幹部だった竹山氏を支援しました。橋下氏が「大阪都」構想を叫びだしたのは、その翌年2010年1月です。ところが、竹山氏が市民の声を背景に、「大阪都」にくみしない態度を鮮明にするや、今度は竹山市政が邪魔だというのです。こんな勝手な堺市政への介入が許されるでしょうか。
しかも、橋下・維新が大阪府政・市政などですすめている実態はどうでしょう。
大阪市政では、橋下市長がうちだした「市政改革プラン」のもとで3年間に400億円近い市民サービス削減案を実行に移しつつあります。地下鉄・市バスの「敬老パス」は公約違反の「有料化」が強行されました。大阪市が独自に設けていた保育料・国保料減免を打ち切った上、国保料をさらに引き上げようとしています。区民過半数の反対署名が集まっているにもかかわらず、住吉市民病院の廃止を強行しようとし、市社会福祉協議会への交付金や地域生活支援事業など、地域のコミュニティーをささえてきたきめ細かな事業が切り捨てられています。
民主主義と教育をめぐっても、大阪市の職員に対する「思想調査」というべき「職員アンケート」が実施され、勇気ある職員が提訴にたちあがっています。桜宮高校事件でも、体罰の要因と責任の究明を横に置いて、「入試中止」を決め、教育への政治介入のテコとしています。
こんな市政を堺に持ち込ませてはなりません。
堺では、「『大阪都構想』から堺市を守る自由と自治・堺の会」など、橋下・維新の堺市のっとり・堺市つぶしを許さない、さまざまな市民の輪が広がっています。こうした輪を広げ、橋下・維新に審判を下し、くらしと自治を守り、新しい政治を起こす流れを、堺から開こうではありませんか。
3.市民のくらしと福祉を第一に、新しい自治体の流れを起こす堺市に
日本共産党は、堺市長選挙に際し、次の政策課題をかかげ、その実現へ、力をつくします。
第1に、くらしと福祉を第一に、市民生活向上へ、市政の持てる力を注ぎます。
国民健康保険料をさらに引き下げます。介護保険料を引き下げ、保険料の減免制度の拡充と利用料の減免制度をつくります。下水道使用料の引き下げをはかります。
すべての駅にエレベーターを設置し、バリアフリー化計画を促進します。
国連「障害者権利条約」を踏まえた総合的な福祉制度を確立し、障害者・児の生活と権利を守ります。
第2に、災害に強い街づくりをすすめます。
東日本大震災の教訓を生かし、地域防災計画を抜本的に見直します。学校・公共施設耐震化を早期に完了させます。コンビナート地域の地震・防災対策・津波対策を強化します。
大和川、東除川、西除川、石津川などについては、水害、高潮などの災害対策として、国・府に整備の促進と責任ある管理体制を要求します。
すみやかに「原発ゼロ」を求め、市として太陽光パネルなどの設置補助金を拡充させ、自然エネルギーへの転換をすすめます。
第3に、大企業本位の産業政策を改め、市内中小商工業者の支援で活気をとりもどします。
大企業優遇となる堺市企業立地促進条例を廃止します。市内中小商工業の全事業所を訪問し、実態を把握するとともに行政への要求を直接聞きとり、期待に応えた実効ある対策を行います。
賃上げ・雇用の拡大を国と大企業に働きかけます。TPP反対を国に求め、都市農業を守り、発展させます。
第4に、子どもたちの健やかな成長・発達を保障する教育を推進します。
いじめや体罰から子どもたちを守ります。国、府に対し教職員定数増と少人数学級実施を強く求め、堺市独自で、小・中全学年に少人数学級実施を計画的にとりくみます。教育をゆがめ、競争にいっそうの拍車をかけるいっせい学力テストに反対します。
安全で豊かな放課後を保障するため、「のびのびルーム」は市の直接の責任で実施します。
安全・安心、豊かな学校給食を中学校でも実施します。
認可保育所を増設し、待機児の解消をはかります。
第5に、憲法を生かし、自治都市・堺をよみがえらせます。
憲法9条の改悪に断固反対します。7月10日の「堺大空襲」を記念し、その日を堺の「反戦・平和の日」とすることをよびかけます。
憲法25条の精神をつらぬき、政令市としての持てる権限、財源を市民生活に生かすとともに、市民参加と自治拡充をさらに探求します。堺市をこわし、地方自治をこわす「大阪都」にも、道州制にも反対します。
4.市政前進へ、広範な市民のみなさんの討論と共同をよびかけます
市長選挙に向け、日本共産党も加わる「住みよい堺市をつくる会」は、市民の手による住民が主人公の市政のあり方の探求と政策づくりへ、真剣な議論をすすめています。
安倍自公政権、橋下・「維新の会」が、くらしと民主主義を破壊する暴走を続けるなかで、今秋の堺市長選挙で市民がどういう結果をつくるかが、熱い府民的、全国的注目を集めています。
日本共産党は、4年前に流れを変えた堺市政を、橋下・「維新の会」によるのっとりを許すことなく、政令市としての権限・財源を生かして市民本位に前進させるため、広く討論をよびかけるものです。そして、「堺は一つ」の立場にたち、この点で一致するすべての団体・個人との共同をよびかけるものです。