2015年10月18日
コータローの国会レポート49
デジタルは半永久的か
ところで、今の映画のほとんどはデジタルで撮影されています。従来の35ミリフィルムに比べてコストが安いためです。そして今、文化遺産としての映画をどう劣化させず長期間保存するかが、国政上の課題になっています。
「デジタル」だったら半永久的に保存できるのではないか、と考えるのは早計です。デジタル情報はDVD、ブルーレイ、HDなどの媒体で記録されますが、いずれも技術革新に伴って使えないフォーマットとなり、その度にデータの入れ替えが必要です。またそれぞれの物理的寿命もせいぜい数年から20年ほどと言われています。
2007年、米国の映画芸術科学アカデミーは「ザ・デジタル・ジレンマ」と題する報告書を発表し、「50年から100年の長期間『保存し、放置しても維持できる』ということであれば、現在のところアナログフィルムに変わるデジタル方式の代替手段は存在しない」と結論付けました。またデジタル保存はコスト面でもフィルムの11倍という試算もあります。
結局長期保存にはフィルムが優位なのです。富士フィルムが開発した保存用フィルムは500年の保存が可能と言われています。
文化庁が定める国の映画振興の基本的方向の第一は「映画フィルムの保存」です。国立フィルムセンターでは古い映画フィルムの収集・保存が行われていますが予算不足で進んでいません。黒澤明の「羅生門」も、原版も失われたままです。いい映画を後世に残すためにも、国が先頭に立って予算措置を進めるべきです。(辰巳孝太郎 日本共産党参院議員 月1回掲載)
(大阪民主新報、2015年10月18日付より)