政策・提言・声明

2015年10月21日

中3全員に学力テ 大阪市が独自に5教科
来春の公立高入試内申点に反映の方針

 

 大阪市は15日、市立中学3年生全員を対象とした市独自の学力テストを国語、数学、英語、社会、理科の5教科で実施しました。この結果を来春の公立高校入試内申点に反映させる方針です。

 内申点として、各教科ごとに全市の得点分布で上位6%に入る生徒には必ず評点「5」、上位18%に入る生徒には必ず評点「4」以上、上位39%に入る生徒には必ず評点「3」以上を与えるとしています。この方針について市教委は、調査書の評定が相対評価から絶対評価に変更するなかでの「公平性の担保」を理由としていますが、異常な競争を学校と子どもに押し付ける内容です。

 すでに、大阪市は「維新政治」のもと、全国に先駆けて、小学6年生と中学3年生全員を対象とする全国学力テストの学校別結果公表を実施。学校現場では新学期、新しい教科書を横に置いて、子どもに「過去問題」をさせる実態もあるとされます。

 学力テスト結果を内申点に反映させる方針が学校と保護者、生徒に伝えられるなか、競争教育をあおる動きがさらに強まりました。学校関係者からは、子どもへのストレスが強くかかり、学校の「荒れ」など否定的な影響を危惧する声があがっています。

解説
原則逸脱 撤回すべきだ

 教育行政が実施する学力調査(学力テスト)は、あくまで行政調査であって、“生徒の成績評価を目的としない”ことが原則です。大阪府と市による、学力テスト結果を高校入試内申点に反映する方針は許されず、撤回すべきです。また、問題の根本にある全国と大阪府・市独自のいっせい学力テストは廃止することが必要です。

 子どもの教育評価は教育活動の一部であり、憲法が保障する教育の自由、学校による自主的な教育課程編成が前提としてあります。高校入試内申点の評定方法が、相対評価から絶対評価に変わっても、教育評価は学校と教員が自主的に行うべきことで、府や市が学校に対して、「学力テスト結果の内申点への反映」という評価基準を押し付けることは許されません。

 調査書(内申点)は、子どもひとり一人の学習到達度に応じて教科ごとに総合的に行われる教育評価(絶対評価)にもとづくものです。高校入試が、学力検査と調査書の両面(相対評価と絶対評価)で行われることは、子どもの学力を全面的にみるという意味があります。(小林裕和・党大阪府委員会文教委員会責任者)

 

                      (「しんぶん赤旗」2015年10月20日付)

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