「比例を軸に」「近畿は一つ」
――総選挙躍進を必ず
日本共産党近畿ブロック事務所 林信一郎所長の報告(大要)
日本共産党大阪二区地区委員会が6月22日、大阪市生野区内で「『比例を軸に』総選挙躍進を目指す全党員集会」を開きました。同党近畿ブロック事務所の林信一郎所長が、これまでの近畿ブロックの選挙結果にも触れながら、日本共産党の躍進にとって決定的な意義を持つ比例代表選挙の仕組み、「比例を軸に」したたたかいについて報告しました。大要を紹介します。
大阪二区地区が全党員集会
党への丸ごとの支持を広げよう
来るべき総選挙は、平和・暮らし・民主主義・人権など、日本のあり方の根本が問われる選挙です。自民党政治のゆきづまりを打開し、国民が希望の持てる新しい政治をつくる最大の力となるのは、政治を「もとから変える」変革の党、日本共産党の躍進。その実現を最優先の課題とし、最大の力を集中してたたかいます。
総選挙で躍進を勝ち取ることは、2021年総選挙から始まった支配勢力による激しい反共攻撃を打ち破り、次のステージへと向かう上でも大きな意義をもちます。
そのためには、①国民の切実な願いと結び付けて、日本の政治のゆがみを「もとから変える」党の綱領的値打ちを太く打ち出した論戦を行う②綱領と組織のあり方に対する攻撃を打ち破って、党への丸ごとの支持を広げる――この2つの政治姿勢が重要です。
現有2議席確保・議席増目指し
総選挙では比例代表での躍進を中軸に据え、全国的には「得票数650万票、得票率10%以上」を目標とし、全国で11あるすべての比例ブロックでの議席獲得と議席増を目指します。いま議席を持っているのは7ブロックで、複数議席は東京と近畿だけです。小選挙区では沖縄1区の「オール沖縄」の議席を必ず守り抜き、小選挙区で勝利できる党への成長・発展を戦略的目標にしています。
近畿ブロックの目標は、「得票目標120万票、得票率13%以上」で、現有2議席を絶対確保して、10年ぶりの議席増を目指します。3議席を獲得するには、前回21年の選挙の1・5倍の得票が必要で、大奮闘が求められます。
比例代表選挙は最もやりがいが
比例代表での躍進を中軸に据える、つまり「比例を軸に」とはどういうことか。まず何よりも、日本共産党そのものへの支持を広げ、比例代表選挙で「日本共産党」と書いてもらう人を増やすということです。
この取り組みはいいことだらけです。なぜ自分は日本共産党が好きなのか。「筋を通す党」「反戦平和を貫く党」など、いろいろな思いを語ることは、誰でもできます。
小選挙区選挙は、1人しか当選せず、議席に結び付かない「死票」を大量に生みます。これに対し比例代表選挙は、すべての票、頑張りが議席に結び付きます。すべての府県、地区、支部が「必勝区」の、最もやりがいのある選挙です。日本共産党そのものへの支持を広げることは、すべての選挙(小選挙区、参院選、地方選)の土台になります。
同時に、「比例代表で『日本共産党』と書いて下さい」と訴えるには、情勢と日本共産党への確信が必要で、学習と議論が欠かせません。どんな攻撃にも打ち勝とうという気概も必要です。「比例を軸に」するとは、党を語り、党を強くする活動そのものです。お互い、ここに腹をくくって頑張ろうではありませんか。
「近畿は一つ」で躍進勝ち取ろう
比例代表選挙が議席獲得の主舞台であり、比例代表選挙で議席を取るということです。総選挙では個人名を書く小選挙区選挙と、比例代表選挙の2票があります。比例代表の候補者は「日本共産党」で、個人名を書くと無効です。日本の選挙制度で個人名を書いてはいけない選挙は、衆議院の比例代表選挙しかありません。
比例代表では、政党の得票数に応じて議席数が決まり、あらかじめ決められた名簿の順位に従って、当選者が決まります(ドント式)。
近畿ブロックを構成するのは、大阪、京都、滋賀、兵庫、奈良、和歌山の6府県です。有権者数は約1700万人と、全国11ブロックで最大。定数は28です。大阪の人も近畿の他府県の知り合いに支持を広げるなど、「近畿は一つ」でたたかうことが大事です。
定数28のうち、いま維新が10、自民が8、公明党が3、国民民主が1、立民が3、れいわが1、日本共産党は2です。「悪政4党連合」だけで22議席(78・6%)を占めているのです。日本共産党が2議席とは、あまりにも少なすぎます。
ほぼ全ての票が議席に結び付く
そもそも衆議院は、小選挙区中心の非民主的な制度です。前回総選挙では、大阪で19ある小選挙区全体の死票は50・53%。維新は約5割の得票ですが、19選挙区中、15議席(78・9%)の議席を占めています。
これに対し、前回総選挙で比例代表の有効投票は937万8905票。議席を得た政党の得票は計916万6395票で、死票は2・27%。ほぼすべての票が議席に結び付く比例代表こそ、民意を鏡のように映す最も民主的な選挙制度だということが分かります。それほど大事な選挙制度なのに、小選挙区で落選した候補者の「救済制度(比例復活)」のように見られるなど、誤解されています。大事な選挙制度であることを党員や後援会員自身がよく理解し、有権者にも分かってもらう必要があります。
公明党は比例代表に徹しています。公明党は近畿の45小選挙区で立候補したのは6選挙区ですが、比例得票は日本共産党の1・6倍。ただ、政権与党である公明党には、支配層からの攻撃はありません。攻撃と正面からたたかうことなしに、比例代表での日本共産党の躍進はありません。
衆議院の比例代表は、完全に政党選択の選挙です。そして政党選択を重視することは、時代の流れだということも強調したいと思います。京都市選管が23年の京都市議選について調べたところ、投票に当たって「政党を重視」が43・4%、「候補者を重視」が26・9%。選挙のたびに「政党を重視」が増えており、京都市選管は「この傾向は39歳以下の若年層で顕著」と分析しています。
躍進を勝ち取る歴史的チャンス
比例代表で総選挙が初めて行われたのは1996年で、これまで9回行われています。近畿ブロックで日本共産党の議席が最も多かったのは96年の6議席(京都3区で当選した寺前巌氏を合わせると7議席)で、最近は2回連続で2議席にとどまり、得票も半減しています。これを単に後退とみるのではなく、日本共産党が躍進すれば支配勢力からの攻撃を受け、それを乗り越えて日本共産党も強くなるという「政治的対決の弁証法」に基づいて、攻防のプロセスの一断面とみることで重要です。
近畿ブロックは日本共産党と革新民主勢力の力が強く、それだけに支配勢力の攻撃も激しいものがあります。日本共産党が躍進した後には、近畿ブロックの定数が必ず減らされています。96年は定数33で6議席、次の2000年は定数30(3減)となりましたが、5議席を獲得しました。03年は定数29(1減)で3議席です。
14年は定数29で4議席を獲得し、清水ただしさんと堀内照文さんが初当選しました。投票数で前回比1・48倍と押し返しての躍進です。次の17年は定数28(1減)で2議席にとどまり、清水さんは得票率0・18㌽差で落選です。このとき定数29のままなら、清水ただしさんは当選していました。こういう攻防があるのです。
維新はいま近畿ブロックで10議席です。最初に衆院に進出した12年も10議席でしたが、17年は5議席に後退しました。維新は自民党批判の受け皿になったときは伸びますが、自共対決、本当の対決構図が鮮明になった時は、落ち込むのです。
馬場伸幸代表を先頭に維新が野党共闘を攻撃しているのは、野党共闘が怖いからです。近畿ブロックでも自民党政治を終わらせ、維新政治を追い詰め、日本共産党の躍進を勝ち取る歴史的なチャンスなのです。
1支部当たりで1票、2票の差
近畿ブロックの全国最大の定数28を巡って、国政に議席を持つすべての政党がぶつかり合う、激しい選挙区です。その様相は、個々の小選挙区からの目だけでは見えてきません。「比例を軸に」してこそ、つかむことができます。
近畿ブロックは大きな「選挙区」なので見えにくいですが、激戦の中では1票、2票が勝敗を決します。
清水さんが競り負けた17年は、近畿ブロックで活動する日本共産党支部でいうと、1支部当たり5票差でした。一方、元衆院議員の吉井英勝さんは05年の選挙で、1支部当たり15票差で競り勝ちました。
吉井さんは翌年の国会で、原発の過酷事故が起こる可能性があると追及しました。福島原発事故(2011年)で東京電力は「想定外」という言い訳を通用させなくする歴史的な質問でした。日本共産党の議席には、それほどの重みがあるのです。そして1支部当たり1票、2票の積み重ねが、当落を左右するのです。だからこそすべての支部が得票目標を決め、達成することが決定的なのです。
いつあってもおかしくないのが総選挙です。大阪は有権者数でも得票でも、近畿ブロックの4割を占めており、大阪のたたかいが近畿の勝敗を左右します。常在戦場で、緊張感を持って「比例を軸に」を貫き、選挙活動を日常化して、必ず日本共産党の躍進を勝ち取ろうではありませんか。
衆院比例近畿ブロックの選挙結果と「政治対決の弁証法」
定数 | 日本共産党 | 自民党 | 維新 | ||||||||
議席 | 得票数 | 得票率(%) | 議席 | 得票数 | 得票率(%) | 議席 | 得票数 | 得票率(%) | |||
1996年 | 日本共産党「戦後第2の躍進」 | 33 | 6 | 1,539,172 | 17.4 | 10 | 2,497,411 | 28.4 | |||
2000年 | 反共謀略宣伝 | 30 | 5 | 1,458,970 | 15.8 | 7 | 2,185,236 | 23.7 | |||
2003年 | 「自民か民主か」政権選択選挙 | 29 | 3 | 992,142 | 10.7 | 9 | 2,833,181 | 30.7 | |||
2005年 | 郵政選挙 | 29 | 3 | 1,051,949 | 9.7 | 11 | 4,003,209 | 36.8 | |||
2009年 | 政権交代 | 29 | 3 | 1,067,443 | 9.6 | 9 | 2,592,451 | 23.2 | |||
2012年 | 維新が国政に初進出 | 29 | 2 | 732,976 | 7.5 | 7 | 2,326,005 | 23.9 | 10 | 2,999,020 | 30.8 |
2014年 | 日本共産党「戦後第3の躍進」 | 29 | 4 | 1,084,154 | 12.8 | 9 | 2,442,006 | 28.9 | 8 | 2,202,932 | 26.1 |
2017年 | 共闘破壊の大逆流 | 28 | 2 | 786,158 | 9.3 | 9 | 2,586,424 | 30.6 | 5 | 1,554,821 | 18.3 |
2021年 |
市民と野党の共闘で政権交代に挑戦。 共闘と日本共産党に大規模な攻撃 |
28 | 2 | 736,156 | 7.9 | 8 | 2,407,699 | 25.7 | 10 | 3,180,219 | 33.9 |
(大阪民主新報、2024年7月7日号より)