非合意「共同親権」 2年後に本格施行
見直し求め運動を
日本共産党府委 ジェンダー平等委員会
学習会を開催
日本共産党大阪府委員会のジェンダー平等委員会はこのほど、同党の本村伸子衆院議員(衆院東海比例候補)を迎えて、先の通常国会で自民、公明、立民、維新の賛成多数で可決・成立した、離婚後「共同親権」を導入する改定民法の問題点を学ぶオンライン学習会を開きました。
本村伸子衆院議員が講演
わたなべ結同委員会責任者(衆院大阪3区候補)が主催者あいさつし、離婚後「共同親権」の問題点が広く知らされないまま民法改定が強行されたが、家庭内暴力や虐待の当事者や支援者から怒りや不安が寄せられたと指摘。改定民法の本格施行は2年後で、今学習会で問題点をつかんで、見直しを求める運動の力にしようと呼び掛けました。
合意ないのに強制の可能性
本村氏は「ちょっと待って非合意『共同親権』」と題して講演。日本共産党は「親権」の用語・概念そのものを見直すべきだと主張しており、「日本国憲法の下では、親権とは親の支配権ではなく、子どもが安心、安全に暮らせるようにするための親の責務であり、社会による子どもの権利と福祉の保障であるべき」と強調しました。
改定民法の条文は、「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その双方又は一方を親権者と定める」としていると指摘。一方、「裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の双方又は一方を親権者と定める」としており、父母間の合意がないのに「共同親権」(非合意「共同親権」)を裁判所に強制される可能性があると述べました。
単独親権と決まっても、家庭裁判所は子やその親族の請求によって、親権者を変更できると定めていると指摘。DV(ドメスティックバイオレンス)や虐待などのケースは、必ず「単独親権」となるが、家庭裁判所がDVや虐待を正しく判断してくれるのかどうか、当事者や支援者から不安の声が上がっているとしました。
「最善の利益」となぜ言える
本村氏は、非合意「共同親権」は2021年2月に、上川陽子法相(当時)の法制審議会への諮問から始まったと指摘。検討に当たって「子の最善の利益」「チルドレン・ファースト」などがうたわれたが、非合意「共同親権」を含む改定民法には、子どもの意見表明権(子どもの権利条約第12条)の規定がないと強調しました。
DV・虐待のケースについて、児童精神科医師や児童心理士など専門家の意見を踏まえる保証がないと指摘。子どもの人権を保障するための公費による「子どもパートナー弁護士制度」や、政府から独立した子どもの権利救済機関もなく、国による養育費立て替え払い制度も盛り込まれなかったとし、「これでチルドレン・ファーストと言えない」と批判しました。
本村氏は、衆院法務委員会(4月)の参考人質疑で、DV被害当事者の斉藤幸子さん(仮名)が、「勇気を振り絞って、思いを仲間の声も含めて伝えることに決めた」と、徹底した伸長審議を求めたことも紹介。こうした被害当事者・支援者の声が法制審議会や国会で軽視されるなど、立法過程にも重大な問題があったと強調しました。
民法改正求め力合わせよう
本村氏は、今回の民法改定に危機感を持つ父母らが参加する「ちょっと待って共同親権プロジェクト」が、「共同親権とするのは原則ではない。単独親権を主張することができる」「父母間に共同親権の合意がないことは、単独親権と判定する大きな要素になる。合意がないことを主張することが大事」などと発信していることを共有したいと語りました。
本村氏は、「非合意『共同親権』は認めず、民法改正を求めて力を合わせよう。今回、DV・虐待被害の当事者や支援者とつながったことは貴重。暴力による支配を許さず、個人の尊厳が大切にされない不平等をなくそう。命と尊厳、安全、安心が守られ、子どもの真の最善の利益が確保できるよう、全力を挙げる」と決意を語りました。
また、非合意「共同親権」を巡る国会論戦を見届けてきた人たちから、「いままで日本共産党は選択肢になかったが、子どものことを一番考えている党だと分かった。応援する」「政権交代で法律を抜本的に変えよう」との声が寄せられているとし、「個人の尊厳を守るためにも政権交代、日本共産党の躍進を」と語りました。
(大阪民主新報、2024年7月21日号より)