希望の政治へ
日本共産党VS自民・維新
第4回 ジェンダー平等社会の実現へ(上)
世界経済フォーラムの男女格差を示す2024年度の「ジェンダーギャップ指数」で、日本は総合ランキングで146カ国中118位でした。主要7カ国(G7)では最下位でした。主な課題でみます。
賃金格差の是正
ジェンダー平等の土台 共産党
賃金格差拡大を推進 自民党
最賃1500円に反対 維 新
日本共産党は、男女の賃金格差の是正は、最も根本的な問題、ジェンダー平等社会の土台と主張。自公政権が拒否してきた賃金格差公表制度を繰り返し求め、301人以上の企業での公表制度を2022年に実現させました。さらに「男女の賃金格差ゼロ」に向け、格差の改善計画を作らせ、その履行を国が指導・督励する仕組みを作らせるために頑張っています。
低賃金に置かれている非正規雇用の7割を女性が占め、男女間で1億円もの生涯賃金格差や、女性の低年金の要因にもなっていると指摘。非正規ワーカーの雇用の安定を図り、正規と非正規での賃金などの格差をなくし、ジェンダー平等を促進する包括的な法案=非正規ワーカー待遇改善法を提案しています。
女性が多いケア労働者の賃上げが大きな課題と指摘。さらなる賃金引き下げにつながる2024年度の医療・介護・障害福祉サービス報酬の改定は、「物価高に負けない公的賃上げ」を求める国民の期待を裏切るものとなっていると批判。国費による賃上げ、報酬の再改定を迫っています。
女性の多い職種、窓口業務や接客業では、契約社員、派遣社員が当たり前で、まるごと非正規化され、低賃金に置かれていると指摘。大企業の内部留保活用による最低賃金1500円実現に奮闘しています。
自民党は、男女の賃金格差の公表を拒み続けました。しかし、世論と市民や日本共産党の運動に押され、公表制度を受け入れざるを得なくなり、2022年から実施するようになりました。
公表の結果、日本経団連役員企業の女性の賃金は男性の4~8割と低く、企業規模が大きくなるほど男女格差が大きいことが判明。格差是正計画の作成・実行の必要性が鮮明になりました。
しかし、自民党は、格差是正計画作成の義務化などは拒否。男女の賃金格差がなくならない要因=「低賃金・使い捨て」の非正規雇用を拡大する「三位一体の労働市場改革」を推進しています。低賃金で担い手が減っている介護保険の報酬改定で、訪問介護の基本報酬を引き下げることまでやっています。
男女の賃金格差の公表問題では、2019年の女性活躍推進法等改定案は、男女間格差是正に必要な賃金格差の公表を含まないものでしたが、維新はこれに賛成しています。
非正規が多い女性の賃上げを進める上で重要な「最低賃金の1500円」に反対しています。かつて、総選挙で「最低賃金制の廃止」の公約を掲げ批判され、「市場メカニズムを重視した最低賃金制度への改革」に改めました。
しかし、「文言を変えただけ」「公約変更ではなく表現を変えただけ」と廃止公約は変わらないとしています。
労働法制の規制緩和―雇用破壊の政治によって、働く女性の半分以上が、賃金が低い非正規雇用にされていますが、維新はさらなる規制緩和を自公政権にけしかけています。
夫婦別姓・差別撤廃条約選択議定書
基本中の基本と奮闘 共産党
古い価値観で拒否 自民党
同姓の強制は変えず 維 新
世界で夫婦同姓を法律で義務付けている国は、日本だけです。「朝日」の世論調査では、選択的夫婦別姓に73%が賛成、反対21%となっています。国連からは「同姓義務付けは女性差別であり、ただちに改正を」と繰り返し勧告を受けています。
日本共産党は、選択的夫婦別姓の導入は、ジェンダー平等の基本中の基本、と主張。1997年に民法改正大綱を発表するなど導入を求めてきました。2022年には他の野党と民法改正案を衆議院に提出しました。
女性たちの運動と力を合わせ、今年6月に日本経団連が、選択的夫婦別姓の早期実現を政府に求める要望書を提出する状況をつくり出しています。
また日本共産党は、「女性差別撤廃条約選択議定書」を批准させるために頑張っています。同条約で保障された権利が侵害された場合、個人や団体が国連に通報し、救済を求めることができるもので、労働分野での間接差別なども是正される力になります。
選択的夫婦別姓は、明治時代の古い家族観、男尊女卑の考え方に固執する自民党内の勢力によって妨げられてきました。
1996年に法制審議会が選択的夫婦別姓制度導入の答申を出してから28年になりますが、一度も法案の提出をしていません。岸田首相は、同じ姓でないと「家族の一体感がなくなる」などと家制度の残滓にしがみつき拒否してきました。
また女性差別撤廃条約選択議定書の批准も、拒否しています。
維新は、選択的夫婦別姓に反対しています。
2014年の総選挙では、「反対」を掲げていました。21年「維新八策」以降は、「戸籍制度及び同一戸籍・同一氏の原則を維持しながら、旧姓使用にも一般的な法的効力を与える制度(維新版 選択的夫婦別姓制度)の創設」と記載しています。
「同一戸籍・同一氏の原則を維持」は、夫婦は同じ姓を名乗らなければならないという「強制的夫婦同姓」の現状は変えないということです。「旧姓使用にも一般的な法的効力を与え」たとしても、どちらかが生来の姓を失うという個人の尊厳への侵害は避けられません。「同姓か別姓を選べるようにしてほしい」の願いに反します。「すでに通称使用しており、通称使用の拡大で事足りるものではない」と批判されています。
経団連の5月調査では、役職者に旧姓の通称使用を認めている企業は96%に上っていますが、通称使用ができるとしても「何かしらの不便・不都合、不利益が生じると思う」が88%にも上っています。「『選択的夫婦別姓制度』を導入し、本人が望めば別姓を選べるよう選択肢を増やした方が良い」が82%、「現行の夫婦同姓制度を維持したうえで、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」は15%、「現行の夫婦同姓制度を維持し、法改正はしないでよい」は1%です。
女性差別撤廃条約選択議定書の批准では、「速やかな批准を求める請願」が2001年から16年まで参院で採択されてきましたが、維新が17年に「保留」を主張したため、不採択にされました。「保留」の理由は、「サンフランシスコ市で慰安婦像の設置が問題になっている。請願採択は設置を応援することに」なるというものでした。23年の通常国会でも、自民党と維新の反対で批准を求める請願を審査未了にしています。
ジェンダー平等社会への各党の対応
共産党 | 自民党 | 維新 | |
男女の賃金格差の公表 | 求め続け、2022年に実現させる | 拒否し続けたが2022年に受け入れ | 「公表項目」の義務化がない法案に賛成 |
女性の賃金をぐっと引き上げる最低賃金1500円への引き上げ | 今すぐ引き上げ | 2030年代半ばまで先送り | 反対 |
選択的夫婦別姓制度 | 賛成 | 反対 | 反対 |
女性差別撤廃条約選択議定書の批准 | 賛成 | 反対 | 反対 |
(大阪民主新報、2024年9月22日号より)