大阪府大・市大「統合」計画の撤回求める 教育研究条件の拡充こそ
大阪府大・市大「統合」計画の撤回求める 教育研究条件の拡充こそ
大阪府議会は昨年12月22日の本会議で、松井一郎府知事が提出していた府立大と大阪市立大の「統合」を準備する議案(府大の中期目標を一部変更)を大阪維新の会などの賛成多数で可決強行しました。日本共産党は反対しました。
現在開会中の大阪市議会には、同様の議案(市大の中期目標を一部変更)が提出されています。同趣旨の議案は2013年11月の市議会で、府大・市大「統合」方針を含む「大阪都」構想は昨年5月の住民投票でそれぞれ否決されており、これらの民意を尊重することが求められます。
両大学の学生がつくる「大阪の公立大学のこれからを考える会」は、学長あてに大学統合計画の撤回を求める署名運動を行っています。このなかで、「受験生にとっても、比較的安い授業料で学べる二つの公立総合大学が減らされれば、選択肢が奪われます。家族にとっても子や孫の学ぶ場が奪われる」と訴えています。
府大・市大名誉教授ら21氏が2013年10月に発表した声明では、「大学には独自の建学の精神と伝統があり、専門分野も独自に発展を遂げて」おり、「大学の統合はそれぞれの大学の内発的要求が合致し、財政的保障が十分なされなければ難しい」として、「高度の有機的な研究教育機関である二大学の統合計画をこのまま進めるというのはあまりに拙速」だと指摘。大学関係者が実施した学内アンケートでも、回答した教員の7割が統合を「進めるべきではない」としています。
昨年11月1日に開催された多様な分野の研究者による「豊かな大阪をつくる」シンポジウムは府大・市大統合問題をテーマに取り上げ、「大学統合は、大阪の文化、教育、福祉、経済等の様々な領域において長期にわたって多大な影響を与える」として、学生と教員らが活発な議論を行いました。
日本共産党の石川多枝府議は12月21日の府議会教育常任委員会で、「関係者の合意形成もないままで統合ありきで進めるのは拙速だ」と批判しました。
この間の経過からみて、「維新」が主導する府大・市大「統合」計画の重大な問題点は、安倍政権の「大学改革」を先取りし、憲法が保障する学問の自由・大学の自治を蹂躙(じゅうりん)して、強権的に両大学に統廃合を押し付けていることです。こうした「統合」計画は撤回すべきです。大学改革は府民・市民の意見を聞き、大学関係者の議論と合意により進められることが大切です。いま府と市がやるべきは、運営費交付金を増やすなど大学の教育研究条件を拡充することです。
私たちは引き続き、広範な府民・大学関係者と共同して、安倍政権の補完勢力である「大阪維新」政治と対決し、府大・市大の存続・発展へ力を尽くします。
(日本共産党大阪府委員会学術文化委員会責任者 小林裕和)
(「しんぶん赤旗」2016年1月6日付)