性暴力救援センター存続を
大阪SACHICO 公的病院拠点で
請願署名4.8万人分を提出 真に寄り添う支援のために
性暴力被害の相談と診療、心のケアを1カ所で継続的に行える府内唯一のワンストップ支援センター、NPO法人「性暴力救援センター・大阪SACHICO」が存続の危機にある中、被害者やその家族、支援者らでつくる「大阪SACHICOの存続と発展を願う会」が4日、公的病院での拠点存続を求める請願書と署名4万8463人分を府議会議長宛てに提出しました。
〝ワンストップ〟で全国初の施設
同センターは、性暴力被害者の相談と診療、証拠の採取と保存、緊急避妊薬提供、心のケア、関係機関との連絡など、〝ワンストップ〟で継続的に支援を行える全国初の施設として、2010年4月に阪南中央病院(松原市)に開設されました。
運営費の多くや医療スタッフを同病院が善意で担い、24時間365日無休で運営を続けてきましたが、医師不足などで今年度は電話対応のみとなり、来年3月末に同病院からの退去が決まっています。
府議会への請願は、▽府の責任で活動拠点を速やかに確保し、運営費用を保障すること▽公的な病院を拠点とするワンストップ支援センターを設置すること――を求める内容。「大阪SACHICOの存続と発展を願う会」は、8月から11月末に街頭署名やオンラインで、署名を呼び掛けました。
継続的な支援で自己嫌悪拭えた
府庁での署名提出後に開いた会見で、子どものころに家族から受けた性被害を20年以上たってSACHICOに相談した女性は、「助けて欲しいと声を上げることができたのが、SACHICOとの出会いだった」と振り返り、1年半に及ぶ継続的な支援を通じて、〝死にたい〟という気持ちを振り払うことができたと語りました。
女性は、「あなたは決して悪くない」と支援員が声をかけ続けてくれたことで、自己嫌悪をぬぐうことができたと言い、「性暴力被害の専門知識を持った医療従事者がいる病院に拠点がどうしても必要」と語りました。
どこに助けを求めればいいのか
娘が小学生の時に被害に遭い、SACHICOで支援を受けた母親は、「あなたは何も汚れていないし、病気にもなっていない。安心して」と医師から言われ、診察室から出てきた娘がほっとした表情を見せたことが忘れられないと語りました。娘の診察後、母親自身も医師と話すことができ、本当に心強かったと言い、「娘は今もフラッシュバックに襲われることがある。病院拠点型のSACHICOがなくなれば、被害者は一体どこに助けを求めればいいのか」と訴えました。
佐藤晴美代表は、「全国から署名とともに応援のコメントが多く寄せられ、本当に励まされた。この声を府議会が受け止めてほしい」と語り、「公的な病院を拠点にした『ワンストップ支援センター』でこそ、これまでのように真に被害者に寄り添った支援が可能」と話しました。
24時間受けられる態勢が不可欠
久保田康愛・センター理事長は、病院に拠点を置かない「連携型」での運営課題として、相談窓口と離れた病院では情報のやり取りなどが難しくなると指摘。「被害者への十分なケアのため、24時間いつでも必要な相談と診察が受けられる態勢が不可欠。支援を続けられる場所が確保できるよう活動を続けたい」と語りました。
(大阪民主新報、2024年12月15日号より)