おおさかナウ

2025年02月01日

高すぎる国保料
来年度も全国最悪水準
「標準保険料率」公表 共産党府議団が試算

 大阪府が全国に先駆けて進める国民健康保険(国保)制度の「都道府県化」で、24年度に府内全市町村で値上げとなった全国最高額レベルの国保料が、25年度も同水準のままで府民生活に重くのしかかることが、日本共産党大阪府議団の調べで分かりました。府が公表した2025年度国民健康保険「標準保険率料」を基に試算したものです。

国保料「都道府県化」前(17年度)との比較 日本共産党府議団調べ(年間・円)

  30代夫婦と就学児2人の4人世帯で年収300万円 70歳独り暮らしで年金月12万円
25年度 17年度 値上げ額 値上げ率 25年度 17年度 値上げ額 値上げ率
大阪市 376,819 299,243 77,576 25.90% 26,937 21,612 5,325 24.60%
堺市 295,806 81,013 27.40% 19,584 7,353 37.50%
岸和田市 360,044 16,775 4.70% 21,090 5,847 27.70%
豊中市 290,434 86,385 29.70% 18,441 8,496 46.10%
池田市 365,902 10,917 3.00% 20,890 6,047 28.90%
吹田市 304,092 72,727 23.90% 26,922 15 0.10%
泉大津市 309,452 67,367 21.80% 18,201 8,736 48.00%
高槻市 253,904 122,915 48.40% 24,578 2,359 9.60%
貝塚市 324,410 52,409 16.20% 19,650 7,287 37.10%
守口市 327,021 49,798 15.20% 24,984 1,953 7.80%
枚方市 295,758 81,061 27.40% 18,648 8,289 44.40%
茨木市 325,632 51,187 15.70% 20,745 6,192 29.80%
八尾市 327,757 49,062 15.00% 19,122 7,815 40.90%
泉佐野市 332,520 44,299 13.30% 18,792 8,145 43.30%
富田林市 331,375 45,444 13.70% 19,860 7,077 35.60%
寝屋川市 298,626 78,193 26.20% 16,686 10,251 61.40%
河内長野市 325,380 51,439 15.80% 20,070 6,867 34.20%
松原市 349,662 27,157 7.80% 20,736 6,201 29.90%
大東市 316,896 59,923 18.90% 21,762 5,175 23.80%
和泉市 305,694 71,125 23.30% 19,080 7,857 41.20%
箕面市 348,237 28,582 8.20% 17,100 9,837 57.50%
柏原市 339,201 37,618 11.10% 20,016 6,921 34.60%
羽曳野市 314,023 62,796 20.00% 18,483 8,454 45.70%
門真市 312,822 63,997 20.50% 17,100 9,837 57.50%
摂津市 300,853 75,966 25.30% 19,504 7,433 38.10%
高石市 359,229 17,590 4.90% 22,140 4,797 21.70%
藤井寺市 327,870 48,949 14.90% 19,980 6,957 34.80%
東大阪市 321,855 54,964 17.10% 17,964 8,973 49.90%
泉南市 332,735 44,084 13.20% 19,290 7,647 39.60%
四條畷市 316,451 60,368 19.10% 18,289 8,648 47.30%
交野市 317,034 59,785 18.90% 20,214 6,723 33.30%
島本町 324,207 52,612 16.20% 22,392 4,545 20.30%
豊能町 303,714 73,105 24.10% 21,960 4,977 22.70%
能勢町 312,024 64,795 20.80% 19,170 7,767 40.50%
忠岡町 319,902 56,917 17.80% 21,717 5,220 24.00%
熊取町 304,479 72,340 23.80% 19,019 7,918 41.60%
田尻町 301,004 75,815 25.20% 17,802 9,135 51.30%
阪南市 346,464 30,355 8.80% 20,656 6,281 30.40%
岬町 315,950 60,869 19.30% 21,477 5,460 25.40%
太子町 294,543 82,276 27.90% 19,530 7,407 37.90%
河南町 292,797 84,022 28.70% 19,530 7,407 37.90%
千早赤阪村 275,688 101,131 36.70% 18,103 8,834 48.80%
大阪狭山市 296,757 80,062 27.00% 19,080 7,857 41.20%

「都道府県化」で大幅値上げ

 試算は①30歳代夫婦と就学児2人で年収300万円の世帯、②70歳独り暮らしで年金月12万円の世帯の二つのケースで行いました。
 年間保険料は①37万6819円、②2万6937円となりました。府内全市町村で国保料を一本化した24年度からはわずかに下がるものの、全国最高水準の〝高すぎる国保料〟に変わりはありません。
 国保は、2017年度まで各市町村が独自に財政を運営し国保料を決める仕組みでした。しかし府は、18年度から全国に先駆けて「都道府県化」を進め、全市町村に対し、24年度までに府が示す「統一国保料」導入、市町村独自の国保料減免制度や財政支援の解消などを要求してきました。「都道府県化」前の17年度に各市町村が定めた国保料と25年度国保料を比べると、全市町村で大幅値上げとなります。
 ①の場合、最も激しい値上げとなるのが高槻市で、5割近くの値上げです。②の場合、寝屋川市が最大で、6割以上もの値上げ。「都道府県化」までに値下げ努力を払ってきた市町村ほど、大きな値上げとなっているのが特徴です。

大幅な黒字の見通しなのに

 自治体が国保料を算定する際に基準とするのが、保険給付費(医療費から窓口負担などを引いた額)の見込みです。府は24年度に加入者一人当たりの保険給付費を37万5080円と見込んで国保料を算定しましたが、実際の1人当たり給付費は1万円以上少ない36万4千円程度となり、大きな黒字となる見通しです。
 府は、「2025年度国保料を抑制するために、府国保会計剰余金約132億円の半分を取り崩す」としていますが、この「剰余金」は23年度までのもので、24年度の給付費減分は含まれていません。
 昨年9月の府議会で、国保料引き下げを求めた石川たえ・日本共産党大阪府議に対し、吉村洋文知事は「国保は加入者によって成り立たせていくことが前提」と繰り返し、負担軽減に背を向けました。
 知事はその後も、高齢者の社会保障費負担増や医療・介護の保険外しなどの持論を主張しています。

公費投入で引き下げを
石川たえ府議が談話

 「月収17万円で子ども2人を育てるシングルマザーに毎月2万5千円もの国保料を払わせる」――これが今の大阪の国保です。2024年度の保険給付費が見込みより大幅に減るのも、物価高や年金削減、社会保障の負担増などにより、「病院に行くお金が残らない」状況が広がっているためではと思います。
 「加入者によって成り立たせていく」などという知事の主張は、民間の自動車保険などと国保を同一視し、社会保障としての国保を否定するもので、断じて認められません。
 〝払える国保料〟にするための国、府の財政出動が急務です。24年度国保料「取りすぎ分」をすぐに加入者に還元することは言うまでもありません。
 府は「府内統一料金」の市町村への押し付けをやめ、国保料や減免制度の設定、法定外繰り入れや基金活用などを市町村が独自に行うことを認めるべきです。
 「府内統一料金」が押しつけられる中でも、加入者負担を事実上軽減する措置を講じている市町村が府内にもあります。府は昨年、これらを「不適切」だとしてやめるよう求める通知を出しましたが、これは撤回するべきです。
 国保料の決定権は市町村にあります。25年度の国保料が最終的に決まるのは、各市町村の国保運営協議会や議会です。国、府、市町村それぞれで、全国一高い大阪の国保料の軽減を迫る取り組みが大事です。

(大阪民主新報、2025年2月2日号より)

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