おおさかナウ

2025年04月19日

メタンガス、暴風雨、長蛇の列
大阪・関西万博開幕
夢洲開催 矛盾くっきり

 大阪・関西万博が開幕した13日、「カジノ問題を考える大阪ネットワーク」代表の桜田照雄阪南大学教授と会場に入りました。

 朝10時過ぎに地下鉄森ノ宮駅から夢洲行きに乗車すると、隣に座った二人連れの女性も万博に行くと話し、どこのパビリオンに行くか相談しながら、「メタンガス、まだ出てるらしいで。その近くにキッチンカーがあるらしい。こっちは行かんとこな」と地図を指して話していました。

待たされすぎて入場前から疲れ

「並ばない万博」が「待たせる万博」になった初日の東ゲート前

「並ばない万博」が「待たせる万博」になった初日の東ゲート前

 10時半過ぎに夢洲駅に着き、12時入場の列に並ぶとすでに長蛇の列。「しんどいわ」と言って座り込んだ70代の男性は、「何が並ばへん万博や。入るまでに疲れるわ。トイレに行きたいけど、行くも地獄、戻るも地獄や」と嘆いていました。通信障害で、スマホでチケットのQRコードを表示できない人があちこちに。こんな状態で、もし災害などが起きるとどうなるのかと思いました。
 11時半ごろから雨が降り出し、並び始めから1時間半でようやく12時2分に入場。ゲート前で困った顔をして身動きできないでいる男女2人に声を掛けると、2人でチケットを頼んだが、1人しか顔認証をしておらず2人で入れず、手荷物検査のスタッフに相談するも対応してもらえないと。「まずは並んで検査を受けた後で相談したほうが」と話すと、並び直していました。
 入場直後、家族連れは開口一番、「休憩する?」と言い合っていました。
 今日のメタンガス濃度が確認できる場所を聞こうと、案内所に行くと長蛇の列が。

IR現場が見えないようにして

 正午に待ち合わせていた桜田教授は、2時間近く並んで午後1時前に入場。会場の隣接地に建設中のIRの工事現場を見ようと大屋根リングに上がると、大阪ヘルスケアパビリオンの向こうに建設現場が見えました。よくに見える位置に進もうとすると、ロープが張られ、三角コーンには「お花を育てています」「立ち入り禁止」と。芝生が植えられ自由に歩ける場所なのに、ここだけ花を植えて先に行けなくなっているのは、IRの建設現場を見せたくないとしか思えないほどの不自然さです。
 会場全体で気になったのは植栽の枯れ。大屋根リングの草もパビリオンのシュロも枯れていました。

雨が降れば強い海風で横殴りに

海からの風で吹きさらしのため、雨は横殴りで傘が役に立たないほど

海からの風で吹きさらしのため、雨は横殴りで傘が役に立たないほど

 次第に風雨が強まり、吹きさらしの大屋根リングの上で傘が何度もひっくり返りました。海からの強風は、同じ大阪市内でも体験しない、台風の時のような強さです。まだましかと大屋根リングの下に降りても、横殴りの雨と風が吹き付けました。
 気温も低く、雨風と寒さとのたたかいになる中、来場者の表情から、テーマパークのわくわく感は感じられません。会場内に、屋根付きで休憩できる場所がほとんどない中、約80の国や地域が共同で出展し、予約なしで入れるコモンズ・パビリオンの中は、雨宿りと暖を取るために多くの人が詰め掛け、座り込む人も。「雨宿りできるだけでもましよ」と話す人がいました。

自由に見られないと不満漏らす

 1時間待ちのコモンズ・パビリオンで一緒に並んでいた外国人男性は、半年前に旅行会社を通して万博を予約したと言い、桜田教授が英語で万博の感想を聞くと、「もっと自由に行きたい所に行って見られると思っていた」と不満をもらしていました。

映像、パネル、民芸品の展示だけ

 コモンズ・パビリオンの各国・地域の展示は、紹介映像やパネル、民芸品や物産品の展示・販売が多く、10代後半の2人連れの男性も「小学生(向けの展示)やん」と話しながら歩いていました。自国の経済発展をアピールし、最後に投資を呼び掛ける国もありました。

高濃度ガス検知も横では営業も

学校から参加する子どもたちがお弁当を食べる団体休憩所のすぐ近くにもガス抜き管が

学校から参加する子どもたちがお弁当を食べる団体休憩所のすぐ近くにもガス抜き管が

 開幕直前には、会場西側の夢洲1区のグリーンワールド・エリアで、爆発危険濃度のメタンガスが検知されました。現場では、ふたを開けたマンホールの周囲が柵で囲まれ、「立入禁止」「STOP! KEEP OUT!」と注意喚起の表示があり、すぐ横でキッチンカーが営業していました。
 学校から参加する児童・生徒たちがお弁当を食べる団体休憩所にも、ガス抜き管が立っていました。

雨や炎天下でも子ども歩かせる

 バス・ターミナルとなっている西ゲートから出ると、第1ターミナルのはるか向こうに、観光バスや学校遠足のバスが停まる第2ターミナルが見えます。バスを乗り降りする客や児童・生徒は、行きも帰りも、殺風景で屋根もない中、雨でも炎天下でも、ゲートとターミナル間の1㎞をひたすら歩かなければなりません。途中、何本もガス抜き管が建っています。
 この日は、旅行会社の観光バスが停まり、疲れた顔をした来場客が黙々と歩いて、バスに乗り込んでいました。

 日本国際博覧会協会(万博協会)は、本紙を現地取材から排除しているため、その対応に抗議し、通期パス証の発行を求めるとともに、当面は入場券を購入し、万博の実相を報道し続けます。

IRありき 維新の責任重大
桜田照雄阪南大教授の話

外国人男性にインタビューする桜田教授(右)

外国人男性にインタビューする桜田教授(右)

 「いのち輝く未来」のテーマとは程遠く、私が回った限りでは、パビリオンの展示も、映像を流したり、物産を売るだけで、最後に投資を呼び掛けるものがあるなど、とにかく全体の発想が貧相で、金権主義と教養のなさを感じました。教育的意義などまったく感じませんでした。
 今回の万博の会場面積は155ヘクタール。目標の2800万人以上が本当に来たら、初日の大混乱が会期中、続くでしょう。爆発すれば大惨事となるメタンガス、海からの強い風、学校遠足では炎天下や雨の中を子どもたちを1キロ歩かせるなど、これほど無計画なものになったのは、IRカジノありきの夢洲万博にほかなりません。維新政治の責任は重大です。

(大阪民主新報、2025年4月20日号より)

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