おおさかナウ

2016年03月20日

住吉市民病院廃止計画 厚労省は同意撤回を
辰巳参院議員が要求

住民・医師会・医療審議会が反対

 大阪市立住吉市民病院(大阪市住之江区)廃止に伴う府の病院再編計画に厚労省が同意した問題で、日本共産党の辰巳孝太郎参院議員が10日の参院厚生労働委員会で質問。地域で小児・周産期医療が提供されなくなるなど府医療審議会や地元医師会などから計画への反対が相次いでいることを示し、同意撤回を塩崎恭久厚労相に求めました。

誘致病院の計画は全く非現実的

辰巳参院議員

辰巳参院議員

 計画では市民病院跡地に誘致する民間病院と府立急性期・総合医療センター敷地に新設する府市共同住吉母子医療センター(仮称)が連携し、地域の小児・周産期医療の充実を図るとしています。
 誘致する民間病院は産科医3人で年間600〜700件の出産を扱うとしていますが、辰巳議員は、全国の産科医師1人当たりの年間分娩数が平均117件ですが、計画では233件にもなるとし、「全く非現実的。医療が提供されず計画そのものが成り立たなくなれば、同意は撤回するか」と迫りました。

地域医療を壊す計画に手を貸す

 塩崎大臣は「松井(一郎)知事が地元に丁寧な説明をすると聞いている」と述べ、撤回を否定。辰巳議員は「求められているのは丁寧な説明ではなく、医療が継続される保証。地域医療を壊す計画に手を貸したのが安倍政権だ」と厳しく批判しました。
 辰巳議員は、大阪が地元で薬剤師の渡嘉敷奈緒美副大臣と、かつて「大阪の子どもは自分の子ども」と述べていた元府知事の太田房江政務官に認識を質しましたが、2氏は「今後とも注視して参りたい」と口をそろえました。

維新は躍起になって不便さ否定

 おおさか維新の東徹参院議員は、「市民病院と医療センターは、交通は不便だが直線距離で2キロしか離れていない。私は生まれも育ちも大阪市住之江区で、市民病院は目と鼻の先。娘は医療センターで出産したが、そんなに遠くない」などと述べました。
 市民病院はこれまで未受診妊婦や飛び込み出産を積極的に受け入れ、小児2次救急受け入れ件数は、大阪市南部医療圏全体の約3割を占めてきました。
 誘致される民間病院は小児科と産婦人科ともに経験がなく、それぞれ3人の医師を確保するとしていますが、困難との見方が強いものです。

維新1人だけ賛成の計画なのに

 府医療審議会では計画について、社会的に厳しい環境に置かれた子どもたちの受け入れや、人工呼吸器を装着した在宅小児患者の一時入院、救急対応など、懸念が相次ぎました。異例の採決の結果、賛成は維新府議の委員1人で、「問題をいま知り判断できない」などとした保留4人、「応援したいが、正常分娩でも医師3人ではとてもできない。計画はありえない」などと12人が反対しました。
 計画は18年4月から実現を目指し、府と大阪市の両議会で関連予算を審議しています。


(大阪民主新報、2016年3月20日付より)

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