政策・提言・声明

2016年04月08日

わたなべ結の「大阪女性提言」

誰もが安心して暮らせる政治をみんなの力で――わたなべ結の「大阪女性提言」

                                          2016年4月8日

 

  •  わたなべ結からあなたへ

  「保育園落ちた。日本死ね」――保育園に子どもを預けられない問題で、ママたちが切実な思いをストレートに政治にぶつけました。その声にこたえて3月、5野党が共同で国会に「保育士給与の引き上げ」をめざす法案をだすなど、政治の変化をつくりだしています。

 また、昨年から続く安保法制(戦争法)を許さない運動では、「安保関連法に反対するママの会」が全国で立ち上がり、「だれの 子どもも ころさせない」というよびかけが共感をひろげています。

 大阪では、「大阪都」にノーを突き付けた大阪市の「住民投票」や前大阪市長の「慰安婦は必要だった」暴言を許さない問題などで、女性のパワーが市民運動を引っ張ってきました。

 私は、さまざまな問題で声をあげる女性たちの力強い動きに、平和で安心して暮らせる社会を切りひらく希望はここにあると感じています。

 

 残念ながら、日本での女性の立場は、社会的に特別に弱い状態におかれています。私が最初にそのことを実感したのは、学生時代の就職難の中で直面した女子学生に対する就職差別でした。「就職難に泣き寝入りしない女子学生の会」で、改善を求めて仲間と声をあげました。その後、非正規雇用で働く中でも、低賃金で不安定な雇用で働く女性の多さと実態を目の当たりにしてきました。

 

 昨年、参院選出馬表明以来、多くのみなさんから切実な実態をお聞きし、庶民の暮らしの実態に寄り添う政治の実現が必要だと痛感してきました。とくに私たち女性がおかれている実態がとりわけ深刻だと実感してきました。

 職場では、非正規雇用が増え、その7割が女性。低賃金と長時間労働、男女差別に苦しめられています。待機児問題が大きな社会問題になり、子育てママの不安を増大させています。年収184万円のあるシングルマザーの国民健康保険料と年金保険料の負担が約40万にものぼる(大阪市)ように、シングルマザー世帯の生活苦も深刻です。高い学費と「奨学金ローン」、「ブラックバイト」に追われ、将来展望をもてずに心と体を傷つけられる女子学生。「みてこ」(身分証を提示できない子)と呼ばれ、風俗に追われる未成年女性の存在にも衝撃を受けました。高齢者は低年金のうえに、「介護するのも、されるのも女性」といわれています。

 「女性の貧困」は「見えない貧困」ともいわれます。女性の誰もが家族や本人の病気や失業などに直面すると、いつでも「経済的困難」に陥る可能性があります。そして、頼る人がいない場合、孤立化し、簡単にぬけだせない事態になっています。

 

 こうした現状が生まれているのは個人の問題でしょうか。けっして個人の問題ではなく、政治と社会のあり方にこそ問題があります。

 大きな要因の一つは、大都市部のなかでも、大阪がもっとも「貧困と格差」に陥る地域になっている問題があります。実質賃金は東京や首都圏、愛知、福岡など大都市部の都府県と比べても低下し、非正規率は高くなっています。そのなかで女性の賃金は低く抑えられています。妊娠・出産を機に職を離れ、子育てが終わってからまた働きだす割合も、他府県よりも高くなっています。

 これに「政治の貧困」が追い打ちをかけています。安倍内閣は「女性活躍」をいうものの、賃金の引き上げや格差是正には実効ある手立てをとらず、社会保障の切り捨てをすすめてきました。大阪の「維新政治」は、350人の学校事務非常勤職員を真っ先に切ったことに象徴されるように、雇用を不安定にさせ、非正規労働を増やしてきました。また出産、小児医療にかけがえのない役割を果たしている住吉市民病院つぶしをすすめ、女性支援のための施設(ドーンセンターやクレオなど)や施策への予算を削り、民営化をすすめてきました。

 

 私は、いま女性がおかれている現状を改善することは、女性のみならず、誰もが安心して暮らせる社会をつくっていくためには避けて通れない「みんなの問題」だと考えています。さまざまな問題で立ち上がっている女性たちの運動に連帯して、さらにその輪を広げながら、誰もが安心して暮らせる政治を実現するために力を尽くします。

 

第2章 わたなべ結は提案します

 大阪の女性の「貧困と格差」を解決するための緊急策と抜本策について提案します。

 (1)若い女性の心も身体も大切にするために

  「わたなべ結の大阪若者提言」の「府内1000人若者調査」では、若い女性のなかで、①「非正規」が多数を占め、②「生活費に不安」「将来が不安」「心も身体も不安」との声が5割を超え、現状打開を求めつつも、「政治は変わらない」とのあきらめの声や姿がうきぼりになりました。

 日本共産党は、若者の希望を閉ざす経済的な困難を緊急に打開するため、①国立も、私立も学費を10年間で半額に下げる、②月3万円の給費奨学金をつくる、③中小企業への支援と一体に、最低賃金をどこでもすぐに時給1000円にし、1500円をめざす、という3つの提案をしています。「奨学金ローン」や「ブラックバイト」問題を含め、若い女性がおかれている状況について、国と自治体の責任で実態調査をおこない、若い女性の実態に合った施策の実施・改善をはかります。

 各自治体・行政区に若者たちに寄り添い、話を聞いてくれる相談窓口を増やし、各関係機関・施設との連携、 救済機関の設置・拡充など、若い女性の「居場所」づくり、職業訓練など、サポート体制をきずきます。

 若い女性が「ブラックバイト」で性風俗にひきこまれたり、デートDVの被害が増えています。しかし、安心して訴えられる窓口がありません。性被害を受けとめる女性スタッフを増やし、24時間いつでも相談できるコールセンターをつくります。

 

(2)男女差別をなくし、仕事も家庭も大切に働きたい

  「睡眠時間5時間で仕事。子育てと両立したかったけど、このままじゃ死んでしまうと仕事をやめた」――働きながら安心して子どもを産みたいというあたりまえの願いが踏みにじられています。

 大阪の女性労働者の非正規率は全国より多くほぼ6割、賃金は男性の51.6%で全国よりも男女賃金格差は大きくなっています。時間外・長時間労働は男女ともにまん延し、年休や生理休暇、産休、育児休暇もとりにくく、働きづづけることが困難になり、結婚・出産で、いまも6割が退職しています。妊娠出産異常は非常に多く、出生率も1.31と全国1.42を下回っています。昇任昇格も差別され、女性の管理職は1割以下です。

 雇用の場での男女差別(結果としての差別である「間接差別」を含む)を是正し、均等待遇をめざします。

 最低賃金を時給1000円、1500円に引き上げ、同一労働同一賃金を求めます。コース別人事制度を是正し、非正規差別をなくします。女性が多数を占め低賃金にされている保育・介護などの労働者の賃金を当面月5万円引き上げます。

 労働基準法を抜本的に改正し、1日2時間、月20時間、年120時間の残業規制をつくります。「103万円の壁」をなくし、「生活費には非課税」の立場から、所得税や社会保険料の課税最低限度額を引き上げます。

 生理休暇や男女とも産休・育休などの制度が取れるように環境整備をすすめます。マタハラ、セクハラ、パワハラを根絶します。女性差別による会社からの解雇、退職強要を許しません。

 大阪の業者婦人の調査で6割が「営業だけで生活できない」年収200万円未満で、税金・国保・年金が生活を圧迫しています。女性を古い家族制度にしばる「所得税法56条」を廃止し、自営業者の妻など家族従業者の働き分を正当に評価し、必要経費と認められるようにします。

 

(3)安心して子どもを産み、育てられる社会を

 「非正規の人は収入が低いのに入れず、保育料が高い認可外にいくことになる。正規と非正規の格差をなくしてほしい」「仕事が決まったけど保育所に空きがなかったので断らざるをえなかった」

 保育所に入れない子どもが増え、認可保育所増設と保育士の待遇改善を求める声が大きく広がっています。大阪の待機児童数は昨年10月で3349人ですが、これから仕事を探したいという親の子どもはこの数に入っていません。

 国は、認可保育所の増設ではなく、公立保育所の民営化や、安上がりの小規模保育所を増やし、民間企業の参入をすすめてきました。大阪の公立保育所は10年間に100園以上減らされました。阪南市や八尾市で浮上した公立幼稚園・保育所をつぶし、「子ども園(館)」に統合する計画は、大規模化の一方で総定数を減らすものです。安心して預けられる保育所の増設を求める親の願いに背き、待機児の解消に逆行しています。

 日本共産党は、保育所問題の「緊急提言」で、入所を希望するすべての子どもが保育所に入れるように国や自治体が責任をもって公立保育所をつくること、当面全国で3000カ所の認可保育所を増設することをめざし、民間の保育所に対しては土地の提供や建設資金の負担割合の増額を提案しています。3月に野党共同で提出した法案を実現し、保育士や学童保育指導員などの給与を月5万円引き上げます。

 

(4)虐待・DVをなくす。まずは「居場所づくり」を

  DVを受ける女性は暴力の恐怖から逃げることも、相談することもできずにいます。多くが、話を聞いてもらう人もなく、自己肯定感も生きる希望も失い、心の病を抱えています。子どもの虐待相談件数も大阪は連続してトップです(2013年8092件)。

 すぐに駆け込める「避難シェルター」の拡充、なんでも安心して話せる居場所づくりを緊急にすすめます。すでに居場所づくりや相談活動を行っている民間団体の活動を支援し、連携を強め、駅やコンビニ、スーパーなど身近な場所でその活動を知らせる対策をとります。市・区役所の女性相談窓口を拡充し、正規の専門家を配置します。学校などでDVの被害者・加害者にならない教育もすすめます。

 

(5)老後も安心して暮らせるように

  「いまの年金では、家賃を払うだけ。食べていけない」「冠婚葬祭の付き合いは無理。毎日2食。もう限界」「夫が先立ち、無収入で病気がちの息子の面倒も見ている。この先あるのは不安だけ」

 大阪の65歳以上の女性は、男性より26万人多く111万人。単身女性世帯は男性の2倍で、その貧困率は5割を超えます。厚生年金受給の女性の平均月額は、10.2万円(男性の54%)で、国民年金のみの平均月額は4・8万円と、現役世代の低い賃金が老後につきまとい、生涯を通じて女性の貧困化を固定化しています。国民年金の掛け金が払えない人たちは、業者婦人や非正規労働者にも拡大しており、将来、無年金という予備軍が増加しています。

 年金受給資格期間を25年から10年に短縮すること。最低保障年金制度(当面5万円)を実現することは切実に求められています。安倍内閣が決めた今後30年間毎年、年金を下げていくしくみ(マクロ経済スライド)を廃止して、どんな生き方を選択しても安心して暮らせる年金制度にすることが必要です。

 介護が必要な人の67%、担う人の69%が女性です。介護保険の大改悪に反対し、国民の負担を軽減、介護が必要な人の受け皿づくりをすすめます。大阪で「介護離職」する女性が年1万人というなかで、職場で介護休暇を必要なだけとれるようにします。介護職で働く人の賃金と処遇の改善も緊急な課題です。大阪の特別養護老人ホームの待機者は8601人で施設不足は深刻です。特別養護老人ホームの建設を国と自治体の責任ですすめます。

 くらしを圧迫する国民健康保険料の負担軽減をめざします。

 

すべての女性が希望もって生きられる社会へ

 

 すべての女性が希望をもって生きられる社会にするためには、2つの抜本的対策が必要です。

 その1つは、大阪の庶民のふところをあたためる経済政策へと大きく切り替えることです。

消費税10%への増税はきっぱり中止すべきです。賃上げと人間らしく働くルールの確立で、男性も、女性も、8時間働けば、まともな暮らしができる社会に変えましょう。社会保障は削減から充実へと流れを変えましょう。1機100億円もする米軍のためのオスプレイを4機買うお金があれば、認可保育所を400カ所建設する助成金にまわせます。F35戦闘機6機分(1084億円)で有利子奨学金を無利子にすることができます。また中小企業を守り、発展させるための支援を強化し、そこで働く人の最低賃金引き上げのための助成を拡充します。TPPはストップさせましょう。

 2つは、女性の力を大いに発揮できる社会へと歩みをすすめることです。

 今年、国連女性差別撤廃委員会から、日本のジェンダー平等(男女平等)の遅れがきびしく指摘されました。女性の政治参加も世界から大きく遅れています。

 「女性の活躍」(安倍政権)を求める前に、一人ひとりの女性が自分らしく生きるための社会的条件整備こそ政治に求められています。

 女性が経済的に自立し、その能力を発揮していくためには、男女ともに人間らしい働き方を実現し、普通に生活できる最低賃金の保障、子育てや介護の条件づくりが必要です。そのためにあらゆる政策決定への女性参加、男女共同参画をすすめます。

 女性の希望ある未来へ、「平和なくして平等なし」――安保法制(戦争法)を廃止し、憲法を活かし、平和を守るとりくみを大きく広げましょう。

 

以上

月別アーカイブ