憲法が生きる自治体、日本へ
大阪市「思想調査」裁判 勝利報告集会開く
原告・支援者 新たなたたかいへ決意
〝たたかってこそ権利守れる〟
大阪市の橋下徹前市長が2012年2月に大阪市役所の全職員に業務命令で強制した「思想調査アンケート」国賠訴訟の勝利判決報告集会が13日、大阪市内で開かれました。
大阪市労組の田所賢治委員長が開会あいさつし、4年に及んだ裁判闘争への支援に謝辞を述べ、「勝利判決を力にして、憲法が生きる自治体を目指して、さらに奮闘したい」と決意を表明。日本自治労連の猿橋均執行委員長、大阪労連の川辺和宏議長が連帯あいさつしました。
意義を広げて健全な状態に
弁護団を代表し井関和彦団長があいさつ。「処分」の恫喝に屈せず裁判に立ち上がった原告の怒りと苦しみ、弁護活動の困難や葛藤などを述べながら、「勝ち取った勝利判決の意義を大阪市内部に浸透させ大阪市政を健全な状態に戻すため、さらに力を合わせて頑張りましょう」と呼び掛けました。
高裁判決の内容と意義について西晃弁護団事務局長が報告しました。
橋下氏の行為を明確に断罪
西氏は、「そもそも職務権限と懲戒権を行使しアンケートを実施したこと自体が違法であり、憲法違反と訴えた」とし、訴訟の審理と判断の枠組みがアンケートの各設問ごとの違憲判断にとどまった問題に言及。その上で、アンケート22項目のうち4項目を憲法違反と認めた司法判断について詳細に解説し、判決の中で「職員に違法行為をさせたり、職員の憲法上の権利を侵害したりすることがないようにする職務上の注意義務を持っているというべきである」と認め、橋下前市長が違法な公権力を行使したことが明確に断罪された意義は大きいと強調しました。
高裁判決には限界と課題が
その上で西氏は、1審・大阪地裁判決より後退した判断内容など、「高裁判決には重大な限界と課題が残された」と指摘しました。
西氏は2012年の第1回口頭弁論で、「本件訴訟は法の支配、憲法の保障を確認し獲得することに最大の意義を見出す憲法訴訟である」と意見陳述したことを振り返りながら、「判決はこの意義に沿った部分とまだ足りない部分がある。いま自由な組合活動、市民の自由な意見表明、そして民主主義そのもの自体が危機的状況にある中で、多くの皆さんと力を合わせてこの試練を乗り越え、維新とのたたかいと公務労働の民主化を求めていきたい」と述べました。
集会では各界・各層から駆け付けた来賓が次々と登壇しあいさつしました。大阪市民ネットワークの藤永のぶよさんは、「たたかわなかったら権利は守れない、市民のたたかいが権利を守る力になることを、原告の皆さんは私たちの目の前で身をもって教えてくれた」と語りました。大阪自治労連の荒田功委員長は、「憲法と地方自治を守り発展させ、住民の幸せを願う自治体労働者としてたたかい続けたい」と発言。泉佐野市職労の昼馬正積委員長は、「大阪市労組の皆さんの一歩も引かないたたかいに、勇気をもらい励ましをもらった」と述べ、市当局の不当労働行為を許さず、たたかいを広げる決意を表明しました。
大阪労連民間労働者部会の坂本一朗さん、大阪市をよくする会の福井朗事務局長、大阪争議団共闘会議の松本文男議長、大阪市内地区協議会の守山禎三議長、初代大阪市労組委員長で年金者組合府本部の永井守彦委員長らがあいさつしました。
共同の運動が広がった成果
59人の原告を代表して支援へのお礼を述べた永谷孝代原告団長は、「まっすぐ前を向いてたたかってきたことが私たちの誇りです。つないだ手の先にこんなに多くの仲間がいたことに感動し、背中を押され、頑張ることができました。裁判の勝利は、市民共同の運動が広がった成果です。組合事務所裁判など今後も課題は山積みですが、これからも憲法が生きる自治体、憲法が生きる日本を目指して頑張っていきたい」と述べました。
憲法ないがしろの政治から
憲法と民主主義守る政治へ
わたなべ候補があいさつ
報告集会に来賓として出席した日本共産党大阪市議会議員団の瀬戸一正団長は、職員アンケート問題をめぐり吉村市長を追及した議会論戦を紹介、「職員基本条例と政治活動制限条例撤回へ頑張りたい」と述べました。
日本共産党のわたなべ結参院大阪選挙区候補も駆け付けて、喜びのあいさつを行いました。
あいさつでわたなべ候補は、思想調査アンケートを明確に憲法違反だと断罪した大阪高裁判決の意義と課題に触れながら、「『憲法裁判』と位置付けた訴訟で勝利した意味は大きい」と指摘。「いま国政を見ても憲法をないがしろにする政治が行われています。暴走政治の中、憲法と民主主義を守る政治を実現するために全力を尽くします」と訴えました。
(大阪民主新報、2016年4月24日付より)