「総合区」と「特別区」 次元違うもの 比較は論外
大阪市議会特別委 山中共産党市議団幹事長が指摘
大阪市議会大都市・税財政制度特別委員会が7月29日開かれ、府と大阪市が共同設置する「副首都推進局」がまとめた「総合区」素案などについて集中審議がありました。日本共産党の山中智子幹事長は質問の中で、「総合区」と「特別区」の根本的な違いを解明。吉村洋文大阪市長らが大阪市を廃止して「特別区」を設置する「大阪都」構想に再挑戦するため、「総合区」を利用しようとしていることを厳しく批判しました。
「都」構想実現に利用 維新
住民自治の拡充が目的
「副首都推進局」は8月末から、「副首都にふさわしい新たな大都市制度」を検討するとして、「総合区」素案と、昨年5月の住民投票で否決された「特別区」(「大阪都」構想)の両方について、市民の意見を聞く住民説明会を開くとしています。
山中氏は、地方自治法の改正で「総合区」の設置が可能になった目的は、住民自治の拡充にあると指摘。一方、「特別区」は大阪市を廃止して府の内部団体となる「統治機構」を変更する問題であり、「まったく次元が違うものであり、誰が考えても比べてはいけないものを並べるのは論外だ」と断じました。
さらに吉村市長や松井一郎知事が、「総合区長は予算編成権がない」「総合区は保育所をつくれない」などと、「特別区」の優位性をアピールしようとしていることに触れ、「結局、『大阪都』構想にもう一度挑戦したい知事、市長の言い訳づくりとしか思えない」と批判しました。
住民投票で決着済みだ
「特別区は住民投票で決着が付いている」と述べた山中氏は、「特別区」は、大阪市の権限や財源が府に吸い上げられ、住民サービスが低下することなど数多くの欠陥が明らかになり、維新が違法を重ねて住民投票に持ち込んだが、否決されたと強調しました。
住民説明会用の資料では、「特別区の制度案はない」と言いながら、住民投票に至る経過がなかったかのように、「特別区」をバラ色に描いていると批判。「行政が公金を使ってこんな説明会をしていいはずがない。大阪市の都市内分権の問題に知事が出席するのは越権行為だ」と抗議しました。
制度いじりから離れて
山中氏は、区長の権限強化を論じることより、住民意見を市政に反映させる住民自治の仕組みづくりこそ求められると力説。「本当にやらなければならないのは、市民の暮らしと福祉の向上、大阪経済をどうするのかということ。制度いじりから離れて前に進むべきだ」と主張しました。
「総合区」素案
「副首都推進局」が7月22日に示した素案は、現在の大阪市を残したまま行政区の権限を強化する「総合区」を導入。現在の24区を合区し①5区(1区当たり人口45万人程度)、②8区(同30万人程度)、③11区(同20万人程度)の3つの区割りを設定しています。
「総合区」が担う事務に応じて5区では「一般市並み」と「中核市並み」、8区では「ほぼ現行の行政区並み」と「一般市並み」、11区では「ほぼ現行の行政区並み」の計5案があり、今年度中に1案に絞り込むとしています。
松井知事は「総合区か特別区かを問う住民投票」を2018年秋までに実施する考えを表明。「副首都推進局」が8月末から開く住民説明会には、吉村市長と松井一郎知事も出席する予定です。
(大阪民主新報、2016年8月7日付より)