おおさかナウ

2016年10月03日

「維新」政治どうみる Q&A
⑤独裁的手法と破綻

 Q 「独裁」というけれど、改革のスピードが違う?

 「維新」の特異さが際だつのは、その中身とともに、手法です。前代表の橋下徹氏が著書『体制維新―大阪都』で「『独裁』マネジメントの真相」としてとりあげているとおり、その手法は批判の的になり、破たんに直面します。
 大阪市を廃止・解体する「大阪都」構想の住民投票をめぐり、法定協議会で協定書案が否決されると、突然市長を辞職して「出直し市長選挙」の挙にでました。この〝独り相撲〟に「勝利」すると、法定協委員をさしかえ、「維新」だけで可決します。当然、府議会、大阪市議会が否決すると、安倍政権にすがって、公明党の態度を変えさせ、無理やり、住民投票(2015年5月17日)を強行します。
 中身とともに、こんなやり方に市民が「ノー」の審判を下したのは当然でした。
 司直の断罪を受けたのは、橋下市長による大阪市職員への「アンケート」という名による「思想調査」でした。市長の「業務命令」として、「あなたを組合や演説会に誘ったのは誰か」などを答えさせるものでした。勇気ある市職員の告発をはじめ大阪、全国から批判がわきおこり、労働委員会、大阪地裁、大阪高裁ともに「憲法上の権利を侵害」していると断じ、橋下市長を謝罪へと追い込みました。
 旧WTC(ワールドトレードセンター)ビルを85億円で購入し、大阪府咲州庁舎としたものの、東日本大震災でも大揺れ。耐震補強が迫られる一方、空家率は3割。大手町との二重庁舎をこのまま持ち続けると30年間で1201億円かかると試算されています。
 「公務員改革」の名で強行した幹部の「原則公募」も失敗続きです。校長は初年度採用11人のうち、6人がセクハラや経歴詐称などで任期途中でやめ、最近は元公募校長が横領容疑で逮捕されました。大阪市の公募区長もセクハラなどの不祥事で5人が任期途中で交代しています。
 2013年5月に飛び出した橋下氏の「『慰安婦』制度は必要だった」との発言は、大きな批判をあびました。橋下氏は謝罪も撤回もせず、「マスコミの大誤報」と居直りました。しかし、姉妹都市サンフランシスコへの訪問ができなかったことをはじめ、いまなお内外の大きな批判にさらされています。

(つづく)

「維新」政治どうみる Q&A

①「改憲反対勢力」つぶし
 Q 参院選で「おおさか維新の会」が果たした役割は?

②行き詰まり大阪市解体へ
 Q 大阪の「維新」はどこから生まれ、何を狙っているのか?

③「格差と貧困」の拡大
 Q 「維新」で大阪は改革された?

④異常な競争 教育破壊
 Q 教育の分野では、私学無償化など、よくやっている?

⑤独裁的手法と破綻
 Q 「独裁」というけれど、改革のスピードが違う?

⑥「オール大阪」の共同
 Q なぜ大阪では国政と違う共同が?

⑦画期的な共同の勝利
 Q 堺市長選挙や住民投票で「維新」を打ち破った原動力は?

⑧「異質の危険」に共同
 Q 自民と共産・民進が組むのは野合では?

⑨ラストのはずがまた
 Q「大阪都」構想は二重行政を解消する?

⑩民主的な改革を示し
 Q これからのたたかいの展望は?

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