市民の暮らし応援する市政に
日本共産党 小川市議が主張
大阪市議会代表質問
2日の大阪市議会本会議で日本共産党の小川陽太議員が代表質問に立ち、カジノ・万博誘致、地下鉄・市バスの民営化、大阪市を解体する特別区設置のための法定協議会などの問題で吉村洋文市長(大阪維新の会政調会長)を追及しました。小川氏は無駄な巨大開発の失敗を繰り返し、決着済みの「大阪都」構想を蒸し返すことは許されないと批判。「市民の暮らしを応援する大阪市本来の仕事にこそ、税金・人・エネルギーを注ぐべき」と主張しました。
カジノ誘致
市民は損重ね不幸に
成長につながらない
小川氏は、府市・経済界の「夢洲まちづくり構想」がカジノを核とするIR(統合型リゾート)の集客人口の8割を国内観光客と想定していることは、「(カジノ業者の)ターゲットは大阪周辺の2千万人近い市民」と指摘。「カジノ業者が利益を上げれば上げるほど、一般市民は損を重ねて不幸になる。どうして大阪の成長につながるのか」と迫りました。
小川氏は、韓国ではギャンブル依存症対策で7兆7千億円ものコストが発生しているとし、「市長は経済効果ばかり強調するが、マイナスの経済効果や社会的コストへの認識不足がある」と批判。夢洲への地下鉄中央線延伸(540億円)は「IR事業者に負担」(吉村氏)との説明には根拠がなく、税金で出さざるを得なくなると警告しました。
吉村氏は「カジノ施設もあるが、国際会議場などさまざまな施設が一体だ」と答弁しました。
これに小川氏は、IRはカジノが利益の8~9割を占めており、「カジノの隠れみのに過ぎない」と反論しました。
無駄な開発
なにわ筋線や延伸部
市の財政にしわ寄せ
「無駄な巨大開発が目白押しだ。市長は90年代の大阪市の巨大開発を批判していたではないか」と小川氏。なにわ筋線(市負担1千億円)、淀川左岸線2期(同300億円)、淀川左岸線延伸部(同300億円)、カジノ・万博関連(鉄道建設以外で同500億円)などを挙げました。
吉村氏は「大阪、関西の成長に資するインフラについては、将来の投資を進める」と答弁。小川氏が「市の財政状況でこれらの負担に耐えられるのか」と詰め寄ると、「必要な投資をして将来の税収増を図り、住民サービス増加の好循環を生み出す」と無責任な答えに終始しました。
小川氏は、市の財政推計で前提になっていない、なにわ筋線やカジノ・万博関連の負担が加われば、「必ず他にしわ寄せが来る。過去に大型開発で庶民の懐が豊かになったとは聞いたことがない」と批判しました。
民営化問題
地下鉄は超優良企業
株式売却は許せない
小川氏は、地下鉄は経常利益三百数十億円を上げ、1600億円もの現金・預金を有する超優良企業であり、バスとの交通ネットワークで、市民の足の利便をはかるために、市営交通の使命はますます大きいと強調しました。民営化後の収支シミュレーションは、地下鉄職員を5千人から4500人に削減し、安全対策などの建設投資は極力抑え、有利子負債を減らすものなっていることから、「大阪市100%出資であれ、株式会社化することは、早期に株式上場し、売却をはかることに変わりない」と迫りました。
吉村氏は「将来的には完全民営化が理想の姿だが、任期中に上場・売却することは考えていない」と答弁しました。
小川氏は、「大きな黒字を出している公営企業体の株式会社化は、上場・売却が目的であることはNTTなどの事例が示す通り。地下鉄の民営化、即ち株式上場・売却は絶対認められない」と反対しました。
法定協設置
「都」構想を蒸し返す
不毛の〝制度いじり〟
特別区設置協議会の設置条例案について小川氏は、市民から「勝つまでジャンケンするつもりか」との批判もあるとし、「多くの市民が悩んだ末に、大阪市をつぶしてはならない、特別区という半人前の自治体をつくらせてはならないと、ノーの最終審判を下した。蒸し返しは許されない」と批判しました。
吉村氏が特別区に固執する一方で、合区ありきの「総合区」の制度設計を進めていることに、「これほど市民も議会も愚弄(ぐろう)するものはない」ときっぱり。「総合区・特別区住民説明会」では、「24区を守ってほしい」という切実な市民の声も多く寄せられたとし、「特別区と総合区をてんびんにかけて、何が何でも特別区の住民投票に持ち込むようなことはやめるべき」と追及しました。
吉村氏は「選挙での民意(「都」構想を掲げる自分自身の当選)をしっかりと実行するのが市長の役割」と強弁しました。
小川氏は、「不毛の制度いじりに人も金もつぎ込むのはやめ、都市内分権の拡充や市政の中身について真摯(しんし)な議論をすべきだ」と主張しました。
(大阪民主新報、2017年3月12日付より)