安倍政権 維新府政
「認可ありき」で〝二人三脚〟
安倍政権を揺るがす森友学園疑惑。同学園の籠池泰典理事長が豊中市で開校しようとした私立小学校「瑞穂の國記念小學院」の設置認可申請を取り下げ(10日)、問題の幕引きを狙う動きも強まっていますが、異常な土地取引や政治家の関与、「認可ありき」で安倍政権と二人三脚で暴走した維新府政の責任など疑惑の全容は解明されていないままです。
森友学園の要望通りに
破格で異例な国有地売却
ごみ撤去理由に200万円に
疑惑の核心は、森友学園が豊中市で開校しようとした「瑞穂の國記念小學院」に、国民の貴重な財産である国有地がただ同然で払い下げられた問題と、そこに政治家が関与した疑いです。
学校用地として取引された土地(8770平方㍍)の評価額は9億5600万円。ところがごみ撤去費用など8億円余りが値引きされ、売却価格は1億3400万円に。さらに売却前の貸付期間中に、国は土壌汚染除去費用として1億3200万円を支払い、同学園はこの土地をわずか200万円で入手したことになります。
学校敷地は購入が大前提です。近畿財務局が売却先を公募した2013年当時、同学園の財務状況は、私立学校会計基準で将来の設備投資に充てる「第2号基本金」はゼロでした。
同学園は「借地」を希望し、8年後に購入に切り替える「買受特約付きの定期特約契約を結びましたが、16年3月に「購入」を要請し、6月に売買契約を締結しました。しかも売却代金は一括が原則なのに、10年間の分割払いという前例のないもの。隣にあるほぼ同じ広さの国有地を、豊中市は14億円で買っています。
〝政治力で早く〟と要請し
特定の一学校法人への異常な優遇と奇怪な展開の裏に何があったか。日本共産党の小池晃書記局長は参院予算委員会(1~2日)で暴露した自民党の鴻池祥肇参院議員事務所の面談記録では、籠池氏が鴻池氏に対して「借地」の実現へ「上からの政治力で早く結論が得られるようお願いしたい」と要請します。
近畿財務局は15年1月、賃料を年額4千万円と提示。同年2月の国有財産近畿地方審議会(同年2月)で問題の土地の処分が正式に決まる1カ月も前のことです。
籠池氏は鴻池氏に「2千万円程度に下げてくれないか」と値下げを要望。同年5月の契約で、ほぼその通りの2730万円に決まります。
同年12月に建設工事が着工しますが、16年3月に学園側は工事で新たな地下埋設ごみが見つかったとして近畿財務局に処理を要求。最終的に同局は処理費用を8億1900万円と見積もりますが、その積算は第三者ではなく、売主でもある大阪航空局が行うという、これも前例のないものでした。
疑惑にフタの与党と政府
ごみ処理で近畿財務局の対応に不満を抱いた籠池氏は、財務省と交渉しようと、3月14日に鴻池議員事務所に仲介を求めますが、同事務所は拒否したといいます。それでも15日に籠池氏は財務省と面談し、売却が強行されており、別の政治家の力が働いた疑いは消えません。
日本共産党の小池書記局長は18日、大阪市北区内で街頭演説し、8億円余りのダンピングという異常な取引に関与した政治家は誰なのか、徹底解明が必要だと強調しました。
小池氏は、財務省が面談記録などは「廃棄した」として提出を拒み、安倍首相が同省や国土交通省、自民党国会議員などへの徹底調査に背を向けていることを厳しく批判、「疑惑にふたをするような態度は絶対に許せない」と述べました。
(大阪民主新報、2017年3月26日付より)