政策・提言・声明

2017年05月12日

「公設民営」学校
大阪市が法人指定議案提出へ
教育条件改善の施策こそ

 大阪市(吉村洋文市長)は16日開会の市議会に、「公設民営」学校を管理する法人として「学校法人 大阪YMCA」(大阪市西区)を指定する議案を提出する予定です。

 「公設民営」学校は、住之江区・南港南中学校区の統廃合・小中一貫校開校により廃校予定の小学校(南港緑、南港渚)の校地に、国際的な教育課程(国際バカロレア)をもつ中高一貫教育校として2019年4月に開校する方針です。既存校舎の改修や新校舎の増築工事など多額の建設費(約60億円)がかかるとされます。

 大阪府・市は13年9月に「国際バカロレアの認定を受ける公設民営学校の設置」を国家戦略特区の事業として「公教育への民間参入を促すことで、新たな市場の拡大を図る」ことを掲げて提案。15年9月に「公設民営」学校の設置が可能となる特区法が、安倍政権のもと改定・施行されました。今回の議案は、この規定にもとづくものです。

 関西経済同友会は08年3月の提言で「現状の公教育に限界がありこのような英才教育ができないのであれば、特区にて公立学校の民営化・民間委託を試験的に実施し、その展開をはかるべきである」と主張していました。「公設民営」学校の設置は、こうした財界の要求が背景にあります。

 学校教育法(第5条)は、学校の設置者が、その学校を管理し、経費を負担することを定めています。「公設民営」学校は設置者(大阪市)が経費を負担するものの、学校の管理は指定された学校法人が行うことになります。この体制で、学校教育をきちんと担えるのかどうかが厳しく問われます。

 新たな中高一貫教育校の設置は、受験競争の低年齢化をいっそう進めるものだと指摘されています。国際的な教育課程の市立学校への導入は、学校関係者の議論と合意が必要です。

 維新政治は、子どもの学ぶ権利を奪う府立高校・大阪市立高校廃校計画や、地域コミュニティーを壊す大阪市立小中学校統廃合計画などを推進する一方で、全国初の「公設民営」学校を新設しようとしています。

 いま大阪市の教育行政に求められるのは「公設民営」学校の設置をやめて、子どもの成長・発達を保障するため、小中学校全学年に35人学級を広げることや学校維持運営費の増額、公立幼稚園の存続、就学援助費の拡充など教育条件を良くすることです。

(小林裕和・党大阪府委文教責任者)

                      (「しんぶん赤旗」2017年5月12日付)

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