最低賃金引き上げ人間らしい生活を
大阪地方最低賃金 審議会総会始まる
〝最低でも時給1千円以上に〟大阪労連が座り込み
現状は「最低限度の生活」不可能
地域最低賃金の引き上げ額を審議する大阪地方最低賃金審議会総会が開かれた7月28日、大阪労連は同市中央区の合同庁舎前で、最低賃金1千円以上、全国一律最低賃金制度の実現を求める座り込み行動に取り組み、「人間らしい生活ができる最低賃金に」と、こぶしを突き上げて訴えました。
早朝宣伝に続いて午前9時半に座り込み行動がスタート。約100人の組合員らは、強い日差しに吹き出す汗をぬぐいながら、「生活できる最低賃金に」「今すぐ1千円に、1500円を目指そう」とアピールしました。
大阪商工団体連合会、全大阪生活と健康を守る会連合会、新日本婦人の会大阪府本部、大阪府歯科保険医協会、民主法律協会の代表が、雇用破壊や生活悪化の現状を述べ、「最賃引き上げで世代を超えて子どもにつながる貧困を解決しよう」などと連帯あいさつ。日本共産党の石川多枝府議が、府の労働政策に触れながら、「誰もが安心して暮らせるよう社会実現へ全力を挙げる」と決意を語りました。
8時間労働で暮らせる社会に
野田堺労連副議長が陳述
審議会総会では、堺労連の野田雅一副議長が意見陳述しました。
野田氏は、600人の生活実態を調べた最低生計費調査の結果を示し、20代単身者で月額約21万円の賃金が必要だと指摘。今の最低賃金では、毎日8時間働いても、憲法や最低賃金法が掲げる健康で文化的な最低限度の生活は保障できないと述べた上で、「最低賃金の抜本的引き上げで、8時間働けば誰もが安心して暮らせる社会を実現してほしい」と求めました。
現状883円(府) 国際的に低い日本の最低賃金
現在の府の最低賃金は時給883円で、1日8時間・月20日間働いても、税と社会保険控除前で月額14万1280円にとどまります。
大阪に示された厚生労働省の中央最低賃金審議会の目安は26円で、月額にすると14万5440円。全国平均では時給848円を目安としました。しかし日本の最低賃金は、国際的にも低い水準です。フランス9.76ユーロ(約1218円)、ドイツ8.84ユーロ(約1103円)と軒並み1000円を超えています。アメリカのワシントンDCやカリフォルニア州は15ドル(約1667円)への引き上げを決めました。韓国でも来年度16.4%の引き上げが決まりました。
中小企業支援してでも引き上げを
最低賃金で共産党が申し入れ
日本共産党府議団(宮原威団長)と、わたなべ結衆院比例・大阪3区候補、堀内照文衆院議員は7月26日、府と大阪労働局、大阪地方最低賃金審議会に、府の最低賃金の引き上げや中小企業支援などを申し入れました。府には辰巳孝太郎参院議員も参加しました。
府議団は府に対し、▽最低賃金を当面時給1千円とし、1500円を目指すよう政府に求める▽賃金引き上げのための中小企業への支援の強化を国に求めるとともに、府としても検討する▽労働法制はこれ以上改悪せず、労働者を守る立場での改善を図るよう政府に求める▽ブラック企業規制条例、公契約条例を制定する――の4点を求めました。労働局には「下請いじめ」など大企業による不法行為の監視・取り締まりを強化することも合わせて求めました。
宮原府議は「(雇用側の)支払い能力だけ言えば、いまだって苦しい企業は多い。しかし中小企業を支援してでも最賃を上げていくことが、労働生産性の向上や経済活性化に繋がる」と指摘し、政治の役割発揮を求めました。
石川府議は、「府による子どもの貧困調査では、削った支出の上位に食費があった。給料が足りない証拠だ。食費を削らなければならない家庭を生み出さないようにしないと、経済は回っていかない」と主張。また保育士不足についても、賃金の低さが有資格者の離職を招いていると指摘し、「真面目に働けば家族を支えられるだけの賃金が得られるようにすべきだ」と訴えました。
(大阪民主新報、2017年8月6日付より)