おおさかナウ

2017年09月03日

堺市長選10日告示・24日投票
自治の歩み進めるか〝堺市消滅〟か
竹山市長 維新の「都」構想隠しを批判

 9月10日告示24日投票の堺市長選は、3選を目指す竹山修身市長と、維新の会の永藤英機元府議の事実上の一騎打ちの様相です。2年前に実施された大阪市の住民投票で「大阪都」構想が否決されたにもかかわらず、来年秋に再び実施される動きが強まる中、最大の争点は、政令指定都市堺を存続させ自治都市としての歩みを進めるのか、それとも「大阪都」構想を掲げる維新政治で堺市消滅の道を許すのか。竹山氏は「『都』構想は『堺市消滅』構想だ」と断固反対を表明し、「堺の自治、市民の暮らしを守る堺市の発展へ全力を尽くす」と訴えています。

堺市を守り新しい堺をつくろうと訴え、満場の参加者の声援に応える竹山修身市長(中央)=8月28日、堺市北区内

堺市を守り新しい堺をつくろうと訴え、満場の参加者の声援に応える竹山修身市長(中央)=8月28日、堺市北区内

暮らし充実させた政令市のメリット

 「いま政令指定都市の権限と財源を失うことは、あってはならない」。

 政令指定都市となり12年目を迎えた堺市政について竹山市長は、住民に最も身近な基礎自治体の役割を強調し、加えて政令市が持つ権限と自主財源が、市民生活の向上に大きな力をたしたと強調しています。

 例えば美原区の場合、下水道普及率が68%から99%に向上、バス路線は4経路増えて、利用者は64万7千人と約3倍になったと指摘。「市民生活と利便性は大きく向上している」と述べました。

 維新が目指す「都」構想は、政令指定都市である大阪市と堺市を廃止し、中核市や一般市、町村より権限の弱い「特別区」へと解体するものです。堺市の場合、市税収入1300億円のうち300~400億円、政令市に認められた独自財源約130億円が大阪府などに吸収され、まちづくりや子育て、下水道整備など市民の暮らしに密接に関わる行政権限を失ってしまいます。

 「市民の暮らしの向上だけでなく、いま新たな発展が始まっている」と訴えている竹山氏。都市計画の権限と自主財源を活用して前進し始めた都市開発や区画整理事業に加え、堺市東西を結ぶ公共交通網の整備構想では「政令市として費用負担の覚悟をして大阪府と一緒につくっていく」と強調。「これらの動きは、政令市の権限と財源があるからできること。いま堺市がこの権限と財源を放棄することはできない。市民の生活をレベルダウンするわけにはいかない」と訴えています。

「都」構想を隠してごまかしを重ねる

 「大阪都」構想は「大阪維新の会」の党是であり看板政策。維新候補の永藤英機元府議や堺市議らも2015年の「堺マニフェスト」で、「未来を創る3ステップ」で堺が羽ばたくとして、「都」構想を公約に掲げていました。

 今回の市長選で「4年間都構想は議論しない」と言い出したのは、松井一郎知事が「争点にしたら竹山さんの思うつぼ」と本音をもらしたように、「都」構想隠しのごまかしに過ぎません。

 4年前の堺市長選で維新は「だまされないでください。大阪都になっても堺は無くしません」などと宣伝する一方、維新代表だった橋下徹大阪市長(当時)は、「名前が残るか心配だったら残しますよ。『大阪都堺北区』『大阪都堺南区』でもいいじゃないですか」と言い放ちました。

 「都」構想の根拠法である「大都市地域における特別区設置法」は、「道府県の関係市町村を廃止」と明記。大阪市の住民投票で特別区設置が可決されれば、隣接する堺市は議会決議だけで堺市を廃止し、「都」構想に参加可能となります。

 「勝つまでジャンケン」と批判の声が上がる再チャレンジの住民投票を、来秋にも実施したい維新にとって、堺市長選は最重要選挙。維新国会議員が「都構想を考えれば何が何でも勝たなくてはならない」と発言したように、どんな手段を使ってでも、維新候補を市長にしたい狙いが見えてきます。

市民に何のメリットもない堺市廃止

 前回市長選以降、竹山氏は選挙公約を着実に実行し、国保料連続引き下げや第3子以降の幼稚園、保育園無償化、38人学級、100円乗車のおでかけ応援制度で毎日利用などを実現。各地の演説で、「子育てやものづくり、歴史と文化を生かしたまちづくりが着実に成長している」と語り、「財政難の大阪府が『都』構想で狙っているのは堺市の財政。堺を廃止し分割することは市民の利益にならない。堺のことは私たち堺市民が決める。市民の暮らし、歴史と文化、芸術を大事にするまちづくりを進めていきたい」と訴えています。

「堺は停滞」根拠示せず
維新・永藤氏 「深く考えず漠然と」

 「正直申し上げて、そこまで深く考えていなかった。漠然とした考えの中で…」。大阪維新の会が堺市長選の公約をまとめた「堺マニフェスト」の発表記者会見(8月26日)。「都構想」を封印した維新が争点と言い出した「堺市が停滞している」との主張について、維新候補の永藤英機氏(元府議)自身がまともに説明できない一幕がありました。

 「停滞」について、「どこを起点にした停滞なのか?」と問われた永藤氏は、「堺市の繁栄はこれまで何度もあった」と語り出し、「黄金の日日」の中世・江戸期や戦後に工場地帯化が進んだ成長期を挙げたのに続き、「私の大学時代はカラオケボックスが近くにあり、多くの若者が遊んでいた」「昔の堺東には多くのスーパーがあったが、いまは一軒もないという声を聞く」などと展開しました。

 この日発表した堺マニフェストの1ページ目には、「今の堺に足りないものは『活気』だ」と書いた永藤氏。会見場のボードやマニフェストにも「停滞か、成長か」の文字が躍る中、「私が身を持って感じている停滞は今から20年近く前」「バブル崩壊から25年経過した。堺の停滞が始まったのはやはりその時期じゃないかと思っています」と説明したのです。

 維新の会は、竹山市政が借金を増やしたと事実をねじ曲げて、「停滞」論を演出してきましたが、その大前提となる「停滞」の発端が25年前のバブル崩壊というのは、あまりにも無理があります。

 「バブル崩壊からということですか?」。再び記者から念押しされて飛び出したのが、冒頭の「深く考えていなかった。漠然とした考え」という発言です。市長選の「争点」と言い出した「停滞」論を、具体的な事実で何一つ証明できないでたらめぶりが露呈しています。

きめ細かく足運ぶ竹山市長
堺市北区自治連合協議会会長 天野隆次さん

 竹山市長の市政運営に接して感じるのは、これほどきめ細かく地域へ足を運んでくれる市長は過去にいなかったのではないかということです。住民の暮らしや地域の発展について強い思いを感じますし、私たち市民は、それがとてもうれしいのです。

 まちづくり基金など地域住民が主体のまちづくりの支援策が取り組まれ、私たちの地域では校区の予算を活用して盆踊りをやりたいと考え、小さな子どもたちも楽しめるように「子ども祭り」を一緒に行う計画を立てました。

 学校の校庭にやぐらを設け、音頭取りの方にお願いもして念願の盆踊りが実現。当日は考えてもいなかったほど多くの方が参加する盛況で、小さな子どもたちとお父さんやお母さん、おじいちゃん、おばあちゃんも楽しめる祭りとして大成功しました。

 3年前に始まった公募型まちづくりにも自治会として手を挙げ、住民一体となったまちづくりの事業も地に足がつき軌道に乗ってきています。

 歴史や文化を大切にする竹山市長の市政に、堺市民を誇りにしているのだなと感じます。いま堺市では、多くの地域で住民の目線でまちづくりを進める取り組みが生まれ、広がっています。私たちもこれから、なお一層、堺市の発展に向けてまちづくりを頑張っていきたいと思います。

(大阪民主新報、2017年9月3日付より)

 

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