政策・提言・声明

2017年12月14日

大阪府立高校での校則・頭髪指導を考える

 大阪府立高校の女子生徒(3年生)が、生まれつき茶色の髪を黒く染めるよう学校に指導され、不登校になったとして、大阪府に対して損害賠償を求めて提訴したことが明らかになりました。国内外のメディアが報道するなど社会問題となっています。

 子どもの人権と学習権にかかわる問題です。関係機関による事実関係の解明と具体的な対応が求められます。

 この問題をうけて府教育委員会は、府立高校に対して頭髪指導に関する緊急アンケート調査を行い、11月29日に結果を公表しました。調査結果によると、校則や指導方針で、定時制・通信制高校では頭髪指導に関する記載がない一方、全日制高校では染色やパーマを禁止する規定を設けている高校は9割前後、地毛が黒くない生徒に入学時に確認している高校は8割にのぼることがわかりました。「髪の毛の色は黒に限る」という趣旨の記載はなく、過去3年間に「生まれつきの髪の色を変える」指導をした例はないとしています。

 校則にもとづく頭髪指導や、染色・パーマ禁止など校則そのもののあり方が問われています。生徒の基本的人権や成長・発達を保障するなどの観点から、学校での十分な議論と合意形成が大切です。

 子どもの頭髪や服装については、憲法と子どもの権利条約の立場から、子どもの人格を尊重し、その自由を認めることが大切です。子どもにこうした市民的自由を認めないことは、人権の侵害であり、子どもを人間として大切にする教育とは正反対のものです。人権無視の厳しすぎる校則は、生徒や保護者の意見をよく聞き、あらためることが必要です。

 問題の背景には、「チャレンジテスト」や学区撤廃など維新政治による全国的にも異常な「競争と強制の教育」の学校への押し付けがあります。安倍政権のもとでの、生徒の言動を問答無用に押さえつける「ゼロトレランス」(不寛容)政策や、挙手や起立の仕方、机の上に出すものの指定など子どもたちの行動をこと細かく型にはめこもうとする「学校スタンダード」の問題もあります。

 学校関係者の議論や府民的討論をつうじて、子どもの人格を尊重する学校をつくることが求められます。

              (小林裕和・党大阪府委員会文教責任者)
 (「しんぶん赤旗」2017年12月9日付)

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