おおさかナウ

2018年02月18日

住民投票許すな!2・7決起集会
再度の住民投票に道理なし
山中智子日本共産党大阪市議団幹事長の報告(大要)

 明るい民主大阪府政をつくる会と大阪市をよくする会が7日開いた「住民投票許すな!2・7決起集会」では日本共産党大阪市議会議員団の山中智子幹事長が、大阪市廃止・分割をめぐる議論の状況や情勢について報告しました。その大要を紹介します。

無理を重ねて市民を愚弄し

報告する山中氏

報告する山中氏

 「『大阪都』構想、大阪市廃止・分割はもう決着済み」「もう一度住民投票なんてありえない」、これが多くの皆さんの声です。昨年11月の「読売」の世論調査でも、大阪市民に関しては「大阪市廃止反対」が賛成よりも10ポイントも多い状況です。

 ところが吉村洋文市長は、「任期中に住民投票をやるという公約を守る」の一点張りで、無理に無理を重ねて、スケジュールありきで法定協議会などを急ピッチで進め、2月22日の会合で「特別区」の区割り案を絞り込もうとまでしています。

 今回の「特別区」素案は、何のメリットも見せることができません。一方でどの案でも、何百億円ものイニシャルコスト(初期費用)がかかり、職員増による毎年のランニングコスト(運営費用)が増えます。

 どんなにごり押しをしようとしても、維新だけではできません。公明党に賛成してもらって住民投票にこぎ着けるために持ち出しているのが、公明党が主張する8区への合区を前提にした「総合区」です。

 住民投票で「特別区」が否決されれば、その「総合区」にするという「基本議決」をあらかじめ市議会で上げておくということも言い出しています。

 吉村市長は維新の集会で、「総合区」は「特別区」をやるための「カムフラージュ」とまで言いましたが、これほど市民を振り回し、愚弄(ぐろう)するやり方はないではありませんか。

分権の流れに逆行の特別区

 地方自治は、大阪市なら大阪市という基礎自治体が、自分たちでできることは自分たちで決めるのが当たり前。都道府県の権限や財源を、なるべく身近な市町村に下ろしていくのが、いまの地方分権の流れです。

 ところが大阪市廃止・分割はこれと正反対で、大阪市の権限・財源を府に持っていってしまいます。府は「広域機能」とともに、旧大阪市域だけは消防や下水、都市計画など基礎自治体の機能を併せ持つ、いびつな「大大阪」になります。

 一方、「特別区」は、東京の「特別区」が一般の市になりたいという運動をしていることに見られるように、権限・財源も一般市町村に及ばない半人前の自治体であり、大阪市廃止・分割は、時代遅れ・時代錯誤の最悪の制度いじりです。

 松井知事や吉村市長は、府と「特別区」との間で「仕事見合い」でお金を分けるので、「特別区」では財源不足は生じないと言いますが、とんでもありません。「特別区」には何百億もの設置コストがのしかかるわけです。素案の財政試算に入っていない、カジノや万博、なにわ筋線などの負担が生まれれば、敬老パスや幼児教育の無償化など、大阪市の独自サービスが続けられる保証はありません。

施策の拡充は大阪市存続で

 今回、府と大阪市の「広域機能の一元化」で「大阪の成長」を図るということを「大阪都」構想の目玉にしていますが、「広域機能の一元化」と「統治機構」とは無関係です。しかも、知事や市長が「広域機能の一元化」で目指すのはカジノ誘致。それで大阪経済がよくなるはずがありません。半分以上の市民が反対するカジノを、「統治機構ありき」で「一人の指揮官なら何でもできる」と強行するのは、民主主義の否定です。

 これからの大阪市の財政は、明るい光が見えています。昨年2月に出した収支見通しと現時点では大きく変わっています。

 大阪市を存続し、無駄な巨大開発などを行わず、ちゃんと市政運営をしていけば、橋下市長時代の「市政改革プラン」で削減した施策などを取り戻しながら、市民の暮らしを守れる展望があります。不毛な制度いじりに終止符を打ち、その道を進める大阪市政に切り替えたいと思います。

 大阪市廃止・分割がどれほど市民にデメリットをもたらすのかを広く明らかにし、二度と住民投票をやってはいけないという声を、皆さんと一緒に広げるために全力を尽くして頑張ります。


  (大阪民主新報、2018年2月18日号より)

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