政策・提言・声明

2014年08月18日

大阪市の公募校長問題
党府委小林文教委責任者のリポート

 大阪市で問題になっている市立学校の公募校長をめぐる現状について日本共産党大阪府委員会の小林裕和文教委員会責任者がリポートします。

 大阪市教育委員会は7月31日、昨年4月に採用された公募校長2人の懲戒処分を発表しました。西淀川区の小学校長(51歳)は「応募の際に虚偽の職歴を記載した」などとして懲戒免職。生野区の中学校長(38歳)は「校長として重大な信用失墜行為を行った」として減給3カ月、同日付で辞職しました。

過半数が不祥事

 橋下徹市長の肝いりで導入された校長公募制で昨年4月採用の民間人校長11人のうち6人が不祥事を起こしており、これで辞職・免職は4人になります。

 生野区の中学校長は昨年から数々の問題行動を起こしていました。保護者らの強い批判をうけた市教委事務局が3月24日、更迭案を提出したものの、橋下市長の意向を受けた市教育委員会議が留任を決めました。橋下市長は、同校長が校内選挙による校内人事問題を提起したことを「大金星」だと評価し、擁護していました。

 5月大阪市議会は、日本共産党、自民党、公明党、民主系会派などの賛成多数で、生野区の中学校の保護者が提出した、校長の更迭撤回の経緯説明と保護者の声を聞く場を求める「陳情書」を採択(5月15日の教育こども委員会)。さらに来年度校長公募関連経費(約2800万円)を削除する修正案を可決(5月27日の本会議)し、「原則公募」を「公募できる」と改める条例改正案も可決しました(同、再議で30日に否決)。ここには、校長公募制についての市民世論を受けた市議会の多数意思が表れています。
 5月30日の本会議討論で日本共産党の小川陽太市議は「不祥事もここまでくると、もはや採用だけの問題ではない。“校長には教員免許も教職経験もいらない、教育の専門家など求めない”という公募校長制度の問題だ」と指摘しました。さらに、日本共産党は6月12日の参院文教科学委員会で田村智子議員が、大阪市の中学校の民間人校長が「修学旅行の川下りで生徒を川に突き落とした」とされる実態などを示し「こういう校長は教育者として失格ではないか」とただしました。
 下村博文文科相は「不祥事がつづいていることは大変遺憾だ。選考のあり方そのものにも改善すべき点がある。指導していきたい」と答弁しました。

 これらを受けて市教委は7月8日、2015年度採用の市立学校長募集要項を発表。「求める人物像」について、教育的識見を有し、教育者として研究と修養に努めることができる人などとし、民間人の受験申込書には「子どもや教育に関わった経験」の記載を求めました。
 また、内部・外部別の採用人数枠を設定せず同一基準により選考するとしました。7月22日までに外部から144人(昨年143人)、内部から348人(同345人)が応募。採用予定は合わせて70人程度です。

抜本見直し提案

 党大阪府委員会は昨年10月に提言「学校長の選考は子どもと教育の立場で―学校教育での校長の役割を踏まえて」を発表。4月の教育改革提言で、校長は教育の専門家として、教職員への適切な指導・助言や学校での合意形成、必要な教育条件整備、保護者や地域との協力・連携を行うことなど学校教育で重要な役割を担っていることを述べ、①校長公募制は抜本的に見直し、公募校長(民間人校長)の大量採用は中止する②校長選考は憲法と教育の条理、教育関係法令にもとづいて行う―ことを提案しています。

 

(「しんぶん赤旗」2014年8月6日付)

月別アーカイブ