第10回法定協
経費削減 効果は皆無
「特別区」設置 逆にコスト年70億円増
大阪市を廃止して「特別区」に再編する、いわゆる「大阪都」構想の制度設計を議論する大都市制度(特別区設置)協議会(法定協)の第10回会合が4月25日、府庁内で開かれました。第9回会合(4月6日)に「特別区」の名称案や財政試算が示されたのを受け、「特別区」素案について各会派が質疑しました。
共産党・山中智子議員が批判
山中智子議員
市民の間では決着している
日本共産党の山中智子大阪市議はまず、NHKの世論調査(3月下旬)で大阪市民では「大阪都」構想反対が42%、賛成の28%を大きく上回っていることを示し、「住民投票を行うまでもなく、市民の間では決着している」と強調。賛成理由の最多は「二重行政の解消につながるから」となっているが、今回の財政試算では府市統合による経費削減効果は皆無だと断じました。
一方、「特別区」設置に伴う毎年のコスト増を具体的に指摘。▽職員増による人件費は11億円増▽中核市並みの区議会議員定数にすると議員報酬は12億7200万円増、対応する議会事務局職員の人件費は3億3600万円増▽システム運用経費や庁舎維持管理経費などが9億円増と、年68億800万円も増えることになることを示しました。
庁舎の建設でさらに負担増
山中氏は、「特別区」設置時の初期費用も多額だと指摘。素案では現在の区役所の改修経費(109億円)、庁舎建設費(247億円)をはじめ総額558億円に達し、松井一郎知事や吉村洋文大阪市長らがうたう「中核市並み」の職員数・議員数にすれば庁舎建設費はさらに28億円増えることになることを明らかにしました。
しかも素案では基礎自治体である「特別区」の本庁機能が出先庁舎に分散することが前提になっていると追及。副首都推進局側が「コスト抑制の観点から分散配置する。住民の利便性は確保される」と答弁したのに対し、山中氏は「自治体の体をなしていない」と反論しました。
山中氏は「経費削減が見込めないにもかかわらず、初期費用、運営経費が膨大にかかる。市民サービスの拡充などは見込みようがなく、これほどのデメリットはない」と力説。「『都』構想、『特別区』設置は、とても統治機構改革などと言えるものではない。大阪市廃止、地方自治破壊の制度いじりに過ぎない」と批判しました。
(大阪民主新報、2018年5月13日号より)