大和川の治水対策急げ
5年で2度の避難勧告
日本共産党 たつみ参院議員ら国交省に要請
大和川の治水対策の抜本的な強化を求めて、日本共産党大阪国政事務所と大阪市はじめ流域5市の議員団が13日、国土交通省近畿地方整備局と同大和川河川事務所に要請しました。たつみコータロー参院議員、わたなべ結・府国政対策委員長(衆院大阪3区候補)と大阪、堺、藤井寺、柏原の各市議と候補者らが参加しました。
20カ所もの危険個所が存在
大和川は2013年9月の台風18号と17年10月の台風21号による大雨で増水し、氾濫の恐れがあることから、2度にわたり多数の避難勧告が発令されました。
台風21号で遠里小野(おりおの)水位観測所(堺市堺区)では、氾濫注意水位5・0㍍を超える最高水位6・43㍍を記録し、計画高水位(堤防建設時に洪水に耐えられる最高水位)の5・96㍍も超えました。柏原水位観測所(柏原市)では氾濫危険水位5・1㍍を超える最高水位5・78㍍を記録しています。
大和川では、計画高水流量の水位より低い堤防が府内で数十カ所あり、「重要度A」ランクの危険箇所は柏原市内9カ所、松原市内1カ所、堺市(堺区、北区)5カ所、大阪市(東住吉区、住吉区、住之江区)5カ所の、計20カ所に上ります。
中でも右岸では大阪市住吉区遠里小野で計画高水流量水位8・8㍍に対し、現堤防高は7・2㍍。左岸の同区矢田7丁目では同13・5㍍に対し現堤防高は13・4㍍と危険な状況で、住民から不安の声が広がっています。
被害想定では深刻な浸水も
江川繁大阪市議は、台風21号では、大阪市内の4行政区で開設された66カ所の避難所に、3670人が避難したことを紹介。大和川が氾濫した場合の被害想定では、東住吉区内の半分以上が深さ5~10㍍の浸水となることを示し、「こうしたことが分かっているのに、放置するのは大問題。5月に大阪市の吉村洋文大阪市長にも要望したが、国交省としても対応を」と求めました。
岡井つとむ堺市議(北区)は、東住吉区矢田7丁目の左岸堤防で局所的に1㍍ほど低くなっており、氾濫すれば住宅地に水が流れ込み、堺市北区常磐町にも被害が及ぶ恐れがあると指摘。「堤防が低くなった原因を調べるとともに、同じ高さの堤防にするよう改善してほしい」と訴えました。
橋本満夫柏原市議は、柏原市は府内最上流域で川も大きく蛇行し、「重要度A」ランクは同市内が最も多いと強調。台風21号では、野球場が浸水して壊滅的状態になり、復旧のめどが立たないままだとし、「大和川の危険度が増している中で、抜本的な改革が必要だ」と述べました。
木下誇藤井寺市議は、藤井寺市流域の河川敷は災害時の臨時ヘリポートに指定され、日常的にはドクターヘリの合流地となっているが、草が生い茂るなど、整備が進んでいない実態を説明しました。
都市型河川は氾濫で被害大
国土交通省側は、「要望内容は当然と感じている。しかるべき措置をしなければならないが、一つ一つ解決するには相応の時間がかかる」と回答。わたなべ氏は、「抜本的に対応するための予算や職員体制が不足していると思うが、早く対策をしてほしいというのが住民感情。私たちも予算をつけるべきだと声を上げていきたい」と語りました。
たつみ氏は、「国土交通省として認識している危険について対策を急ぐよう要望。「大和川は都市型河川であり、氾濫すれば府内各地に大きな被害が出る。ぜひ予算を確保して対策をしていただきたい」と強調しました。
(大阪民主新報、2018年7月22日号より)