おおさかナウ

2018年08月05日

声を届けて
たつみコータロー参院議員の国会論戦
国会内外のたたかい 行政を動かす

 他にご意見もないようですから討論は終結したものと認めます…

 2013年11月12日の参院厚生労働委員会で、たつみコータロー参院議員が生活保護法改悪案について反対討論を行った直後、自民党選出の委員長が宣言し、わずか数時間の審議で採決を強行。

 翌13日に参院本会議を通過し、論戦の舞台は衆院へ移り12月6日、自公与党に加え民主、維新、「みんな」、生活、「改革」の賛成で「制定以来の大改悪」と批判された同法改悪が成立しました。

答弁と附帯決議を

生活保護法改悪案などの採決後、傍聴に駆け付けた人たちに報告する(左から)小池晃、たつみコータロー、紙智子の各参院議員=2013年11月12日、参院議員面会所【写真提供=しんぶん赤旗】

生活保護法改悪案などの採決後、傍聴に駆け付けた人たちに報告する(左から)小池晃、たつみコータロー、紙智子の各参院議員=2013年11月12日、参院議員面会所【写真提供=しんぶん赤旗】

 生活保護法改悪は、生活保護申請時に、書類提出を義務付けるとともに、扶養義務者に対する調査権限の強化を盛り込む内容。違法行為の「水際作戦」を合法化し、就労強化などの手段で生活保護から利用者を締め出す方向へと制度を変質させると国民の幅広い反発を招きました。

 日本共産党など野党の徹底追及と国民運動が空前の規模で広がったことを受け、11月12日の参院厚労委員会では、▽生活保護制度は生存権を保障する最後の砦▽水際作戦はあってはならないことを地方自治体に周知徹底する▽扶養義務の履行が要保護認定の前提や要件とはならないことを明確にする――など7項目の附帯決議がなされました。

 7項目の附帯決議は、「大幅改正だが総則、保護の原則等々、一切手をいれていない。中身、めざすものは変わらない」、「書類がなくても申請時点を保護開始時とする」、「親族の名前を書かなくても申請を認める。本来保護を受けられる人が受けにくくなるようなことにならないよう限定したい」など、日本共産党の質問に対する政府答弁が背景にあり、たつみ議員による、「(親族による)扶養義務は要件ではないということも誤解を与えないようしっかり書くべきだ」(11月12日厚労委)との質問も附帯決議に反映されています。

省令案が修正され

 日本共産党の国会論戦を通じた「政府答弁」や、参院委での「附帯決議」は、改悪法成立後の生存権保障を求める国民運動の大きな力になりました。

 翌14年2月末、改悪生活保護法の実務指針として示された省令案は、「運用は変わらない」と繰り返してきた政府答弁に反し、申請時に書類提出が必要だとする表現や、扶養義務の権限を強化する内容に後退していたのです。

 国会における予算や法案審議の「政府答弁」は、民主主義の土台となる重い意味を持ちます。答弁に反する行政運営がまかり通れば立法府の否定につながりかねません。委員会の「附帯決議」に法的拘束力はないものの、行政府に対する立法府の意思として最大限尊重される必要があります。

 学者や研究者、弁護士やNPO法人代表らが省令案に対してパブリックコメント(意見公募)で修正を求めようと呼び掛けると、3月末までの期間中、集まった意見は1166件に上りました。厚労省は国民の声に動かされる形で省令案を修正し、4月18日付官報で公布しました。

 修正された省令は、申請の際、保護決定までに書類を提出すればよいと解釈できる内容に変更され、扶養義務の強化については「極めて例外的な場合に限る」との政府答弁に沿って直されました。

 パブコメで厚労省に寄せられた国民意見のほとんどが、国会答弁を守るべきだと見直しを求める内容だったとされ、新聞各社は「反対の声 行政動かす」「生活保護厳格化を修正」などの見出しで記事を出しました。

世論と運動結んで

 生活保護法改悪の不当性を浮き彫りにした日本共産党の国会論戦で、厚労省内は「生活保護法改正案が通らなくなるぞ」と大慌てになったといいます。

 また、生活保護法改悪と併せて審議された社会保障改悪プログラム法案について、日本共産党は、医療、年金、介護、子育てなど社会保障全般にわたる改悪プランだと批判。「憲法25条に基づく社会保障を解体して公的支えをなくし、国民を『自立・自助』に追い込むものだ」と論陣を張り、介護保険サービスの改悪を部分的に撤回させるなど、世論と運動を結んで政治を動かしました。

 党国会議員団の論戦は、府内自治体での議会論戦や府民運動にも影響を与え、たたかいの力として大きな役割を発揮しました。(続く)

(大阪民主新報、2018年8月5日号より)

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