日本共産党躍進府内キャラバン 東大阪へ
たつみ参院議員が町工場を訪問・懇談
ものづくり支える確かな〝技〟
日本共産党のたつみコータロー参院議員は8月23日、中小・零細企業が集まる東大阪市の町工場を訪問し、卓越した技術力で日本の製造業を支える「ものづくり」の現場を視察しました。下請け単価の切り下げや後継者問題など、厳しさを増す経営環境の実態と産業振興の課題や国政への要望を聞きました。
最新鋭はないがここしかできない
東大阪市長田西の小さな鉄工所。金属特有のにおいが漂う工場内は、鋼鉄から削り取られた無数の切りくずが残されています。
この日、吉富鉄工の代表、吉村誠弐さんが加工したのは、重量200㌔ほどの円柱形をした巨大な鉄材です。発電プラントの部品になるといいます。
高重量の鋼鉄を旋盤機械に固定し、高速回転させながら刃物で削り取る工程は、精度を出すのが困難で、熟練の“匠の技”を有する小さな町工場に発注が舞い込んでくるといいます。
吉村さんが使用する旋盤は、ハンドル操作など手作業中心の汎用工作機。「ノギスで計測しながら、手作業でミリ単位の精度を出していく。最新鋭の機械はないが、ここでしかできない仕事がある」と吉村さんは胸を張りました。
削れない場合刃物そのものを自作
ものづくりの町・東大阪市には金属やプラスチック加工、板金、ネジ製作など多種多様な中小企業が集積。とりわけ金属部品製造や部分加工で技術力を誇る零細企業が多く、自動車や家電製造、航空産業など日本の製造業を土台から支えてきました。
一行が次に訪問した藤川達也さんの鉄工所も、高い技術力で日本のものづくりを担ってきました。
精度生み出すのは高い技術
電子制御のNC工作機や汎用工作機、フライス盤と呼ばれる加工機械が所狭しと置かれた工場で、藤川さんは、複数の工作機械を駆使して、自動車生産ラインの産業機械に使用する部品を製造しています。
棒状の金属素材の表面を削り取る工程を説明した藤川さんは、「最新鋭の機械だけでは精度は出せず、手作業の高い技術が必要。市販の刃物では削れない工程があるため、刃物まで自作しています」と語りました。
一行は続けて精密金属加工業を営む中西薫さんの工場を見学。印刷会社を経営する京谷慶次郎さんの工房も訪ね、1枚1枚手作業で版を重ねるシルク印刷の技術や経営実態などについて懇談しました。
中小企業の疲弊は経済根幹に関わる
安すぎる単価と先行き不安
懇談では、「時間単価が8千円あれば安定経営が可能だが、現状は4~5千円。必要な額の半分に過ぎず、生活を考えればばからしくなる」、「最新機械を導入したいが、先行き不安で設備投資は不可能」など、厳しさを増す経営環境が示されました。
たつみ議員は、「日本の製造業を土台から支える技術力の高さと、町工場が担う役割の大きさを痛感します。中小・零細企業を応援する施策の充実が必要ですね」と強調しました。
各工場の代表からは、「工作機械や部品の99%を作っているのが中小零細企業。発注元メーカーは組立て屋に過ぎず、零細企業の疲弊は日本経済の根幹に関わる問題です」などの指摘もありました。
庶民の懐を温める政策求められる
産業空洞化と後継者不足で
東大阪市の製造業は、1998年の約1万軒をピークに、2017年には約6千軒まで減少。大手メーカーの海外移転加速や単価引き下げ要求の影響、後継者不足は深刻の度合いを深めており、とりわけ小規模・零細事業所が廃業に追い込まれるケースが増えています。
東大阪市では日本共産党東大阪市議団や大阪自治体問題研究所、民主商工会などで構成する東大阪産業政策会議がシンポジウム開催や調査・提言活動を継続しています。長尾市政時代、約3万軒の全事業所実態調査を踏まえた産業振興施策が進み、2013年には中小企業振興条例が制定されました。
この日の町工場見学は、たつみ議員を先頭にした「日本共産党躍進府内キャラバン」の一環で、うち海公仁府議候補(元東大阪市議団長)、神野淳一東大阪市議、笠井亮衆院議員秘書らが参加しました。
町工場の視察に先立って、たつみ議員は布施民主商工会、東部民主商工会の各役員と懇談し、▽地域内の経済循環▽人材育成と後継者対策▽販路拡大に向けた戦略と高付加価値の産業構造への転換など――直面する課題や展望が出されました。
各民商の役員は、「産業集積地としてのネットワークなど、東大阪の魅力を生かして地域でお金が回る循環型経済を実現したい」、「業者が元気になれば税収も増える。中小企業を支え、庶民の懐を温める政策立案が求められている」などと語りました。
消費税10%の打撃計れない
来年10月の消費税10%増税に関し、「アベノミクスの恩恵を受けたのは大企業だけ。8%増税で零細企業は大きな影響を受けた。10%になれば打撃は計り知れない」との声もあり、大増税による経営悪化の懸念、複数税率とインボイス方式導入の問題点が指摘されました。
(大阪民主新報、2018年9月2日号より)