おおさかナウ

2018年09月02日

声を届けて
たつみコータロー参院議員の国会論戦
生活保護法改悪されても生存権は生きている

質問するたつみコータロー参院議員=2013年11月12日

質問するたつみコータロー参院議員=2013年11月12日

 「保護決定前の指導はできないということですが、助言指導書なるものを申請後、決定前に申請者に出しています」

 たつみコータロー議員は2013年11月12日の参院厚生労働委員会で、生活保護申請者に対する大阪市の法違反の運用について質問しました。

 当時大阪市では、保護申請者に対し、「助言指導書」を交付。1週間に3回以上ハローワークで求人検索し、1社以上の会社の面談・面接を受けなければ保護要件に欠くとし、申請却下を検討するというものでした。

 生活保護法第27条は、被保護者に対し、保護実施機関が「生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示をすることができる」と規定。しかし、これは保護認定前の申請者への規定ではありません。

 「行政が助言、指導できるのはどの段階か」とたつみ議員がただしたのに対し、政府担当者は「保護の開始決定前に法第27条に基づく指導及び指示を行うことはできない」と明確に答弁。大阪市の事例について、「面接を受けるというのは27条の指導、指示と誤解される可能性があると思います」「大阪市の状況を詳細に確認して、対応を考えたいと思います」と答えました。

司法が運用を批判

 求職活動をしても就労できなかった男性の保護申請を却下した岸和田市の行政処分をめぐっては、大阪地裁による原告勝訴の判決(13年10月31日)が確定しています。

 判決は「困窮の程度などを総合的に判断して処分を決める必要がある」と指摘。その上で、市の却下処分について、「受給要件を満たすか適切に判断せず、注意義務を怠った」と判断。「男性は働く能力も意思もあったが、就労の場を得られる状況になかった。保護が必要だったのは明らかで、却下は違法」と認定したのです。

 たつみ議員は、この大阪地裁が示した判決に触れ、稼働能力を活用する意思について、「社会通念上、最低限度必要とされる程度の努力で事足りる」と強調。「真摯」な求職活動が必要とした厚労省局長通知は判例に合わないとし、「見直すべきです。誰もが人間らしい生活を営む権利がある。この憲法25条の精神を生活保護制度の運用に入れ込むべきだ」と強く求めました。

実態無視の運用に

 「資力のある方には扶養をという話だが、扶養するのは到底無理という人にも扶養させようという重大な動きが出ています」(14年3月20日参院予算委員会)

 たつみ議員は、改正生活保護法で強化された扶養義務をめぐり、大阪市が生活保護利用者の親族に対し、援助すべき額の目安を示して扶養を求めていた問題を取り上げました。

 年収125万円の親族の場合、月額10万円以下の手取り額から1万5千円の支援を求める内容だと指摘。「生活保護基準以下の生活なのに、扶養を強制するような形で目安が作られている」と批判。「必要な人に確実に実施されるのが生活保護だが、この目安が一人歩きすると、そうならない。最後のセーフティネットである生活保護制度で、間違いが起こっては絶対にいけない」と改善を求めました。

 さらに大阪市の保護行政で、離婚後35年間、音信不通だった父親を扶養できないかと、50代の女性と複数の孫に「扶養照会」通知が届いた問題を告発。「こういう事例は大阪だけでなく全国で起きている。現行法の運用は現場では守られていない。無理な人に扶養義務を押しつけようとするのが今の保護行政だ」と批判。質問の最後でたつみ議員はこう強調しました。

 「生活保護法は改悪されましたが憲法25条は生きています。命を守る、人間らしい暮らしを保障する。生存権の魂を生活保護行政に入れ込むことを強く求めます」

(大阪民主新報、2018年9月2日号より)

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