大阪府大・市大統合計画中止を
大阪市議会都市経済委員会は19日、大阪市の吉村洋文市長が提出した府立大学と市立大学を運営する法人(2019年4月設立予定)の中期目標案(19年度~24年度)を審議しました。日本共産党の小川陽太市議が質疑に立ち、大学「統合」計画は、大学の内発的なものではなく政治主導であり、公立大学を統合して学部・学域を削減する大学リストラだとして、同案に反対を表明しました。維新が賛成、自民と公明が留保したことで、同日の採決は行われませんでした。
中期目標案は、両大学の教育研究に関する目標を示すとともに、「22年度を目途とする両大学の統合による新大学の実現に向け準備を進める」ことを明記し、教育研究組織の検討や、キャンパス再編に取り組むことを掲げています。
同趣旨の議案は26日開会の府議会に、府知事から提案される予定です。
維新府・市政が推進する府大・市大「統合」計画は、重大な問題点をもっています。
第一に、法人統合に続く大学統合で、大学リストラが狙われているということです。今年2月の市議会都市経済委員会で吉村市長は、大学統合で学部・学域を集約化し、新キャンパスは「森之宮地域が有力な一つ」だとして、建設費を現大学用地の売却益などであてる方針を明らかにしました。統合と移転(切り売り)をセットにした計画に、住民や大学関係者から怒りの声が上がっています。
第二に、維新政治のもと両大学への運営費交付金が大幅に減額され、大学統合の十分な財政的保障がない問題です。府大で6億6300万円、市大で6億4000万円(16年度、11年度比)も減らされた結果、教職員が大幅に削減され、教員1人あたりの学生数が増え、卒論などの学生指導が行き届かず、基礎研究の継続が危ぶまれています。
第三に、「新大学」構想についての問題です。「都市シンクタンク」や「技術インキュベーション」という特定分野の教育研究に「選択と集中」する大学でいいのかが問われています。
第四に、憲法が保障する学問の自由・大学の自治が蹂躙(じゅうりん)されている問題です。「統合」計画は両大学の内発的要求から出発せず、維新政治が強権的に大学に押し付けたものです。
こうした問題点をもつ、府大・市大「統合」計画は中止し、大学改革は大学関係者の議論と合意で進められるべきです。同時に、府民・市民の教育研究への願いにこたえ、学費負担の軽減や両大学運営費交付金の増額による教育研究条件の改善が求められます。
(小林裕和・日本共産党大阪府委員会学術文化委員会責任者)
(「しんぶん赤旗」2018年9月22日付)