おおさかナウ

2018年09月23日

声を届けて
たつみコータロー参院議員の国会論戦
コンビニFC会計の特殊性 オーナー搾取を告発

 たつみコータロー参院議員は2016年5月2日の参院決算委員会で、コンビニ業界が過去最高の利益を上げる一方、加盟店舗オーナーが搾取されている実態を示し、コンビニ経営者の裁量を骨抜きにするFC契約の仕組みを是正する立法規制が必要だと政府をただしました。

高収益構造の陰で

 質問の冒頭、たつみ議員は、大手コンビニ3社の経営指標を示し、売上に対する経常利益と純利益が他業種より高いと指摘。小売業であるコンビニが高収益をあげる背景には、「店舗オーナーや労働者の犠牲がある。彼らが置かれている労働環境が極めて深刻になっている。この認識がとても重要だ」と強調しました。

 経済産業省が設置した研究会がまとめた「コンビニエンスストアの経済・社会的役割に関する調査報告書」(14年)でも、コンビニ経営者の深刻な実情取り上げられており、深刻な人手不足の問題や深夜防犯対応への不安、コンビニ会計やFC加盟店契約をめぐり、「本部の商品発注アドバイスは強制である」「見切り販売で本部が不利益な対応を示唆する」などの問題点が指摘されています。

見切りが契約違反

コンビニ問題を取り上げるたつみコータロー参院議員

コンビニ問題を取り上げるたつみコータロー参院議員

 FC契約は、売上金から原価を差し引いた利益(粗利)を本部側と加盟店側が分配する仕組みで、加盟店は粗利の一定割合をロイヤリティとして本部側へ支払います。

 一般的にロイヤリティーは総売上から原価を引いた粗利を基に計算しますが、コンビニ業界では、販売期間切れの弁当など廃棄商品などは仕入れ原価に含みません。

 この会計手法の特殊性から大問題となるのが、弁当など毎日発注する「デイリー商品」です。メーカーが定める消費期限・賞味期限の前に、店舗で陳列できる「販売期限」が決められており、期限切れで廃棄した商品の仕入れ原価は、加盟店が全額負担しなければなりません。

 コンビニ各社のFC契約には、加盟店側の価格決定を認める記載もありますが、本部の「推奨価格」で販売するのが実情。各店舗を巡回訪問する本部社員の業務は、あくまでコンサルティングと位置付けられていますが、見切り販売を行うオーナーに対し、「デイリー商品の見切りは契約違反」「方針に従わないなら契約更新しない」「他FCチェーンに乗り換えたら」などと圧力をかけるケースが各地で報告されています。

優越的地位の濫用

 独占禁止法第19条は、「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない」と定め、第20条で、違反行為があれば、公正取引委員会が事業者に当該行為差止めや契約条項削除など排除措置を命ずることができると規定しています。

 公正取引員会は2009年6月22日、期限の迫ったデイリー商品を値引きする「見切り販売」を制限したのは独占禁止法違反の優越地位の濫用に当たるとして、セブンイレブン社に排除措置命令を下しました。

 公正取引委員会の排除措置命令は、「セブンイレブンの取引上の地位が加盟者に対して優越している」とし、▽加盟店の見切り販売を制限▽加盟店契約の解除を示唆――などの行為について、加盟者が自らの合理的な経営判断に従い廃棄による原価負担を軽減する機会を失わせたと判断。「優越的地位の濫用」に該当し独占禁止法に違反するとして、セブン社に対し、同様の行為を行わないよう取締役会の決議や社内法令遵守体制の整備、従業員への周知徹底や見切り販売のマニュアル作成などを命じました。

オーナーに負担が

 たつみ議員は、公正取引委員会の排除措置命令とセブン社に賠償を命じた東京高裁判決の確定後も、見切り販売の妨害が行われていると批判。「加盟店は廃棄をできるだけ出さないために値下げを考えます。この見切り販売は、店舗オーナーにとって極めて経済的な問題になっています」「オーナーに負担を強いる不公正なコンビニ会計が本部に莫大な利益をもたらしているという認識はあるか」と政府をただしました。

(大阪民主新報、2018年9月23日号より)

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