政策・提言・声明

2018年10月24日

安倍9条改憲阻止、「平和のための五つの緊急提案」
常軌を逸した9条改憲への暴走――国民運動、共闘の力で断固阻止しよう

 たたかいの最大の課題は、安倍首相による改憲策動を許さないことであります。

 安倍首相の9条改憲への暴走ぶりは、常軌を逸したものとなっています。

 首相は、総裁選をうけて、自分の任期中に改憲を強行する決意を示し、この秋の臨時国会に自民党改憲案を提起すると宣言しました。さらに首相は9月、自衛隊高級幹部会同での訓示で改憲への意欲を示しました。政治的中立を大原則とする実力組織の高級幹部への訓示で、その最高指揮官が憲法改定の持論をのべる。自衛隊を自らの野望のための道具にするつもりか。それがどんなに危険で異常なことかは明白です。閣僚に憲法尊重・順守を義務づけた憲法99条を蹂躙(じゅうりん)した言語道断の常軌を逸した暴走が続けられていることは、絶対に許すわけにいきません。

 安倍首相は、「9条に自衛隊を明記する」だけであり、「自衛隊の権限・任務は変わらない」といいます。しかし、ひとたび憲法に自衛隊を明記すれば、戦力保持を禁止した9条2項の空文化=死文化に道を開き、海外での武力行使が無制限になってしまいます。

 首相は、「自衛隊の違憲・合憲論争に決着をつける」といいます。しかし、自衛隊は、9条2項との厳しい矛盾、緊張関係に置かれていたからこそ、軍事力行使に強い抑制がかかり、「戦後一人の外国人も殺さず、一人の戦死者も出さない」となったのです。この矛盾、緊張関係を解き放してしまったら、自衛隊の軍事力行使の制約はなくなってしまいます。

 首相は、「自衛隊員が誇りをもって任務を全うできるようにする」ためだといいます。しかし、海外の戦地で「殺し、殺される」戦闘にのぞむことに「誇りをもて」というのは、多くの自衛隊員のみなさんの初心にも反することではないでしょうか。

 どの世論調査を見ても、自民党改憲案を秋の臨時国会に提起することに対して、国民の多数が反対しています。国民が望んでもいないのに、権力を握る政権・与党が、自らへの制約をとりはらう改憲議論を強引に推し進めることは、それ自体が立憲主義の乱暴な否定であり、絶対にやってはならないことであります。

 「3000万人署名」を集め切り、国民の世論と運動、市民と野党の共闘の力で、このたくらみを断固阻止しようではありませんか。

「平和のための五つの緊急提案」

 いま政治に求められているのは、憲法を変えることでなく、憲法を生かした平和日本を築くことであります。
 日本共産党として「平和のための五つの緊急提案」を行います。

1、安保法制をはじめ一連の違憲立法を廃止し、立憲主義・民主主義を取り戻す

 第一は、安保法制=戦争法、秘密保護法、共謀罪など、一連の違憲立法を廃止し、立憲主義と民主主義を取り戻すことです。安保法制によって自衛隊の姿が大きく変容しています。南スーダンPKOに派兵されていた自衛隊への「駆け付け警護」など新任務の付与、海上自衛隊による「米艦防護」や「燃料補給」の実施、日米共同演習の質量とものエスカレート、南シナ海やシナイ半島などへの新たな海外派兵の動きなどが相次いでおり、そのどれもが日本に新たな危険をもたらすものであります。安保法制=戦争法の廃止は、待ったなしの緊急課題となっています。

2、大軍拡計画を中止し、軍縮への転換をはかる

 第二は、大軍拡計画の中止と軍縮への転換をはかることです。防衛省の2019年度概算要求は実質総額で5兆5000億円超にふくれあがっています。ステルス戦闘機F35、オスプレイ、新型空中給油機、無人偵察機、長距離巡航ミサイルなど、「専守防衛」の原則すら逸脱した海外派兵のための武器購入は中止すべきです。トランプ大統領いいなりでの米国製兵器の「爆買い」は絶対に許されません。世界でも突出した在日米軍への「思いやり予算」はきっぱり廃止すべきであります。

3、在日米軍に異常な特権を与えている日米地位協定の抜本改定をはかる

 第三は、在日米軍に異常な特権を与えている日米地位協定の抜本改定をはかることです。米軍に、全国どこへでも部隊を自由に配備し、国内法も無視して自由に訓練するなどの異常な特権を与えている国は、世界でも日本だけです。沖縄県の翁長前知事の要請をうけ、今年7月、全国知事会は「日米地位協定抜本見直し」を求める「提言」を全会一致で採択しました。画期的なことであります。「提言」は、「日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させることや、事件・事故時の自治体職員の迅速かつ円滑な立入の保障などを明記すること」を求めています。独立国としてあまりにも当然の要求ではないでしょうか。

 MV22オスプレイの沖縄配備に続いて、この10月、CV22オスプレイが横田基地に配備され、超低空飛行を含む訓練を開始しました。CV22は、敵陣地に低空で侵入する強襲作戦などの特殊作戦を任務としています。その配備によって、横田基地がアジア・太平洋における米軍の特殊作戦の拠点とされたことはきわめて重大であります。事故多発の危険なオスプレイは、沖縄からも、本土からも、ただちに撤去することを強く求めるものであります。

4、「北東アジア平和協力構想」の実現に力をつくす

 第四は、北東アジア地域に、平和と安定のための多国間の安全保障のメカニズムをつくることです。すでに日本共産党は、2014年の第26回党大会で「北東アジア平和協力構想」を提唱しています。その一番要となる考えは、北東アジア規模でのTAC(友好協力条約)を結び、あらゆる紛争問題を平和的な話し合いで解決することを締約国に義務づけることにあります。これは難しい課題ではありません。すでに、2005年の「6カ国協議の共同声明」、2011年の東アジア首脳会議での「バリ原則」宣言などで、関係国はこうした方向に合意しています。いま進展している朝鮮半島の平和のプロセスが成功をおさめるならば、私たちの「北東アジア平和協力構想」が現実のものとなる可能性は大いにあります。この構想を実現させるために引き続き内外で力をつくす決意を表明するものです。

5、核兵器禁止条約に日本政府が署名、批准することを強く求める

 第五は、核兵器禁止条約に署名、批准することです。条約採択から1年余、核保有大国の妨害をはねのけて、署名国は69、批准国は19となり、近い将来の条約発効が見通せる情勢となりました。アメリカの最大の州――人口4千万を擁するカリフォルニアの州議会が核兵器禁止条約を支持する決議を採択するなど、核保有大国でも変化が起こりつつあります。日本でもすでに320以上の自治体で、核兵器禁止条約への調印・批准を日本政府に求める意見書が採択されています。唯一の戦争被爆国・日本の政府が、この流れに背を向ける恥ずべき態度を続けていいのかが厳しく問われています。私たちは、日本政府が、核兵器禁止条約にサインすることを強く求めます。サインを拒否するなら、サインする政府を国民の手でつくろうではありませんか。

      (日本共産党第27回大会第5回中央委員会報告より)

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